ホラー小説「レンタル」
職を失い、住む場所も失った男が、公園のベンチで途方に暮れていた。
そこへ現れたのは、黒いスーツの男。
「簡単な仕事をするだけで、一時間一万円」──
怪しさを感じながらも、空腹には勝てず話を聞くことにした男。
しかし、その仕事は“普通のバイト”ではなかった。
金と引き換えに「貸し出されたもの」とは――。

夜の公園のベンチでうなだれている男がいた。
「腹が減った……。」
数ヶ月前に会社を首になり、ついには家賃を滞納していた家からも追い出されてしまった。
「上司を殴っただけでこんな目に遭うなんてひどすぎだろ……。」
その時は同業他社に簡単に転職できるだろうと思っていた。しかし、男の悪評は思っていた以上にいろいろな会社に伝わっていた。同業だからこそ、ネットワークはしっかりしていたようだ。
「ああ、働きたくねぇ。寝ているだけで飯も出て、何もしないですむ生活がしたい……。」
そんな男に声をかける者がいた。
「失礼ですが、お金が欲しくありませんか?」
顔を上げると、一人の黒いスーツを着た男がいた。あからさまに怪しい。が、今の男に無視をすることはできなかった。
「金か、欲しいに決まってる。」
「でしたら、簡単な仕事をしませんか? 一時間で一万円差し上げます。」
一時間で一万円? どんな怪しいことをさせられるのやら。
「別にかまわんぞ。ただし、先払いだ。」
するとスーツの男は胸から封筒を取り出した。中を見ると一万円が入っていた。
「で、何をするんだ? 白い粉でも運ぶか?」
冗談混じりに言うと、いつの間にかスーツの男はタブレットをこちらに向けていた。そこにはベッドに寝ている老人が映されている。
「この老人のために、あなたの手を貸していただきます。」
……手を? いったいどういうことだ?
すると、手の感覚が徐々に消えてきた。
「なんだこれ……?」
戸惑う男をよそに、ボールやグリップなどを用意してきた。
「これを握ってください。」
戸惑いながらも、感覚の無い手を動かしボールを握ってみる。
変な感覚だが、どうにか握ることはできた。
一時間ほどそんなことをさせられた。
「どうやらご老人も満足したようだ。」
タブレットに映る老人は特に反応していないようだが、どうやら良かったようだ。
「ではこれで失礼致します。もし、まだお金が欲しかったら三日後の昼にここに来てください。」
そんな言葉を残し、スーツの男は消えていった。
そして、気がつけば手の感覚は戻っていた。
全くよくわからなかったが、男はその足で久しぶりの食事にありつけた。
三日後の昼、男はベンチに座っていた。
「さすがに一万円じゃギリギリだったな。」
そう呟きながら座っていると、スーツの男が現れた。
スッと封筒を渡してきた。中を確認すると十万円が入っていた。
「おいおい、結構大金じゃないか。いったい何させる気だ?」
そう言うとスーツの男は答えた。
「あなたの足を三時間貸してもらいます。」
今度は足か……。
「前回、ご老人は大変喜んでおられた。久しぶりに物を握る感触が嬉しかったようだ。」
……なるほど。俺のなくなった感覚は、老人の感覚に共有されるのか。
それから三時間ほど、感覚の無い足でどうにか散歩をした。
足がなくなったわけでも、動かないわけでもないので、どうにか歩くことはできた。
気がつくと、足に感覚が戻っていた。
「どうやらご老人も満足されたようです。」
結局最初の公園に戻った。
「次は一週間後です。来ていただければ百万円差し上げます。」
「百万円!」
こんな簡単な仕事で百万円か。だが、あまり欲張ると痛い目に遭いそうだ。次くらいで撤収するか。
「わかった。待っているから、必ず来てくれ。」
そう言って別れた。
一週間後、男はやはり同じベンチに座っていた。
「何をさせられるかわからないが、百万円貰って終わりにしよう。」
その金があれば、人生を立て直せるかもしれない。
すると、黒いスーツの男がやってきた。手には厚めの封筒を持って。
「確認してください。」
渡された封筒の中を確認する。帯のついた綺麗な一万円札の束が入っていた。一番上の一枚だけ掴み、持ち上げてみた。
すると、帯から抜けることもなく持ち上がった。
「確かに百万円あるようだ。で、今度はどこを貸せば良いんだ?」
「一週間、あなたの右目を貸してもらいたい。」
……一週間か。長いが、一週間で百万円も稼げる仕事があるか?
「わかった。一週間、俺は何をしていれば良いんだ?」
「はい。普通に生活をしていただければ良いです。ご老人もそれを望んでおられます。」
あの老人、入院しているようだったな。それだとむしろ普通の生活の方が楽しいのかもしれない。
「わかった。今から一週間だな?」
「はい。よろしくお願いします。」
すると、右目の感覚がなくなった。つまり、一切見えなくなった。
「これは……思ったより不便かもしれないな……。」
左目だけで一週間の生活か。
「一週間後、この場所に来てください。ここでないと右目の感覚は返還できません。」
なるほど。そのままバックレることはできなさそうか。
まぁ、次の依頼を断れば良いだけだ。
どちらかと言えば、右目返してもらえない方が困るしな。
「わかった。」
それから一週間、右目が見えない生活をした。なるべく普通の生活を心がけて。左目の生活に慣れてきた頃、一週間が過ぎた。
「これで百万円はチョロすぎるな。もう一回くらい……まぁ、次があれば話だけは聞くかな。」
ベンチに座って待っていると、黒いスーツの男がやってきた。
それと同時に右目が戻ってきた。
「お疲れ様でした。ご老人も大喜びでした。」
やはり、普通の生活が良かったのだろうか。
まぁ、金持ちの考えることはわからん。
「じゃあ俺はこれで帰るよ。」
帰ろうとすると、やはり黒いスーツの男は呼び止めてきた。そして、手に持っていたアタッシュケースを開いた。そこには札束が詰まっていた。
「……おいおい、いったいいくらあるんだよ。」
さすがに目がくらむ。
「一億円あります。こちらで──」
言い終わる前に飛びついてしまった。
「わかった! それが貰えるなら何でもやる!」
多分一年くらい不便な生活を送れば一億貰えるのだろう。
長めの治験だと思えば良い。
「わかりました。ではこの一億円であなたの体を買わせていただきます。」
え? 買う? どういうことだ?
黒いスーツの男はニヤリと笑った。
その瞬間、男はベッドの上にいた。
右目が見えない、手も足も動かない。
かろうじて見える左目で周りを見ると鏡があった。
そこに映っているのは……老人の姿だった。
「うわああああああああああああああああああああああ!!!!!」
訳もわからず叫んでいた。
「何か騒がしいようだが、良かったのかね。」
男は黒いスーツの男に話しかけていた。
「はい。一億円で購入したのですから、気兼ねなくその体をお使いください。」
「そうかそうか。しかし、たかだか一億で若くて健康な体を売るなんてな。」
少し悪い気もした。
「いえ、彼も寝ているだけで食事が出てきて、何もしないですむ生活を望んでいたようですから。お互いの望みを叶えただけですよ。」
「なるほどな。まぁ、一億あれば死ぬまでその生活ができるだろうな。」
一つの悲鳴と、二つの笑い声が響いた。
「俺はな、本当はまだ20代なんだ。でも、体を奪われてな……。」
「はいはい、何度も聞きましたよ。」
介護してくれている人は信じようとしない。
もうこのまま死ぬのだろうか……。
そう思っていたら、黒いスーツの男が現れた。
「お久しぶりです。」
かろうじて見える左目を見開いた。こいつのせいで今俺は……!
「そう怒らないでください。今日はご相談があります。」
いったい何だ。
「今お金はありますか?」
この体の元の持ち主が、ずいぶんこの病院に金を入れていたらしく、手持ちの金は減っていない。
「そうですか。一億円ありますか。では──若い体、欲しくありませんか?」
※この作品はChatGPTのAI支援のもと、筆者が構成・執筆しました。
「AI×ホラー」の新しい形をゆるく模索中です。
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