見出し画像

“空気”で司法を歪めるな 有識者の会、公正な審理求め会見

家庭連合めぐる解散請求に警鐘

「公平公正な裁判を求める有識者の会」が8月6日、都内の会場で記者会見を開きました。この会見は、世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)に対する解散命令請求について、現在審理が進められている東京高等裁判所に対し、世論や政治的圧力に流されることなく、法と証拠に基づいた公平かつ公正な審理を求めることを目的として開催されたものです。呼びかけ人には、法曹界、学術界、ジャーナリズム、そして様々な宗派の宗教者など、多様な分野の専門家が名を連ね、それぞれの立場から深刻な懸念を表明しました。

会見の冒頭、呼びかけ人代表の中山達樹弁護士は、会見当日が広島に原爆が投下された日であることに触れ、戦争へと突き進んだ当時の日本社会が「空気に動かされた」歴史を振り返りました。そして、現在の家庭連合に対する一連の動きが、同様に冷静な議論を欠いた「空気」によって司法判断がゆがめられようとしているのではないかと強い危機感を表明しました。

中山氏は、三権分立の原則に基づき、司法は世間の雰囲気や政治の意向から独立していなければならないと強調しました。しかし、今回の解散命令請求に至る過程は、法治国家の根幹を揺るがしかねない問題をはらんでいると指摘しました。続いて、「有識者の会」が発表した声明文を読み上げ、以下の4つの主要な問題点を挙げました。

①解散命令の根拠 多くが古い事案:解散命令の根拠とされた民事訴訟の多くが、平均して32年も前の古い事案であること
②近年のコンプライアンス遵守:教団がコンプライアンス宣言を行った後の最近11年間において、違法な献金認定は1件もないにもかかわらず、その事実が無視されていること
③文部科学省提出資料の捏造疑惑:文科省が裁判所に提出した資料の中に、証言者が「そんなことは言っていない」と否定する内容が含まれるなど、改ざんや捏造の疑いが濃厚であること
④非公開審理の問題点:憲法が保障する「裁判を受ける権利」や国民の「知る権利」を侵害する非公開の審理(非訟事件)で、信教の自由という重大な人権が左右されることの危険性

中山氏は、これらの問題点を踏まえ、高裁には先入観なく証拠を精査し、公正な判断を下すことを強く求めました。

続いて、各分野の専門家がそれぞれの見地から意見を述べました。

浜田聡・前参議院議員はビデオメッセージで、国会での質疑においても文科省が資料の「捏造」疑惑を明確に否定しなかった事実を重く指摘しました。また、教団の2009年以降の改善努力を無視し、古い事案のみを問題視する政府の姿勢は不当であると訴えました。

元武蔵野女子大学教授の杉原誠四郎氏(憲法学者)は、宗教法人の解散命令審判が非公開で行われることの憲法上の問題点に言及しました。オウム真理教のような刑事事件が明白なケースと異なり、民事上の問題を非公開で審理することは、信教の自由を不当に制限する危険な前例になると警告しました。

仲正昌樹・金沢大学教授(政治学者・元信者)は、自身の11年半にわたる信者生活の経験から、メディアで広く報じられている「地獄に落ちる」といった脅し文句や、特殊な「マインドコントロール」技術は教団内に一般的に存在しなかったと証言しました。断食や長時間の祈祷などはあったものの、それらは自発的なものであり、他の宗教や組織にも見られる現象だと述べ、一部の過激な事例が全体像であるかのように報道されている現状を批判しました。

福田ますみ氏(ノンフィクションライター)は、一連の動きを「テロリストの願いを国が叶えるもの」と厳しく断じました。被害を訴える元信者の多くが、反対派の弁護士や牧師らが関与する「拉致監禁」による脱会者であり、その証言は、脱会を正当化するための「法廷戦術」として形成されたものである可能性を指摘しました。「国によるでっち上げ」「魔女狩り」であると、強い言葉で告発しました。

中川晴久氏(プロテスタント教会牧師)は、かつては反対派の立場だったが、実際に信者と交流する中で認識が大きく変わったと告白しました。そして、キリスト教会の牧師200名以上が信者の「拉致監禁」に関与してきたという衝撃的な事実を明らかにし、「キリスト教会として恥ずべきこと」として被害者に謝罪しました。その上で、司法やメディアが長年無視してきた人権侵害の問題が、今回の裁判の背景にあると訴えました。

フマユン・ムガール氏(イスラム評論家)は、国際的な平和活動を通じて家庭連合と交流してきた経験から、彼らが社会貢献に熱心な団体であると評価しました。教団の解散は、多くの信者たちの「心の拠り所」を奪うことになり、人権的な観点から深刻な問題であると懸念を表明しました。

水田真道氏(臨済宗住職)は、自身も当初は解散に賛成していましたが、地元の信者と対話し、自らも調査を進める中で考えを改めたと語りました。そして、この問題は家庭連合だけのものではなく、「対岸の火事」として傍観すべきではないと全国の宗教者に呼びかけました。1つの宗教団体が世論によって不当に扱われるならば、それは明日の我が身であり、日本の信教の自由そのものの危機であると訴えました。

質疑応答では、会の今後の活動について質問がなされ、中山弁護士は、国内外の有識者から署名を集め、それを東京高裁に提出することで、公正な審理を求めていくと回答しました。現在、356名の有識者(うち氏名公表は104名)が声明に賛同していることが報告され、今後さらにシンポジウムの開催などを通じて、国民に問題の本質を広く訴えかけていく方針が示されました。

会見を通じ、登壇した有識者らは皆、特定の宗教団体を擁護するという立場を超え、日本の司法の独立性、そして憲法が保障する信教の自由という民主主義社会の根幹が、世論や政治的圧力によって脅かされている現状に対する強い危機感を表明しました。法と証拠に基づいた冷静で公正な司法判断が下されることを、切に願うと締めくくりました。

【公平・公正な裁判を求める有識者の会】


いいなと思ったら応援しよう!