見出し画像

【Biz×Tech VP対談】圧倒的なスケールを見据えた非連続成長に賭けた技術投資

2025年、UPSIDERにとっては様々な変化のある年でした。「PRESIDENT CARD」や「UPSIDER AI経理」など複数の新規事業が矢継ぎ早に始動し、7月にはみずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)への参画も発表しました。

背景にあったのは、非連続の成長に向けて「これまでの延長線上の成長を捨てる」という考えです。テック基盤の大規模刷新、ビジネスサイドの圧倒的なトライアンドエラー、そしてみずほFGへのグループイン…。

2025年、UPSIDERがどのように変わり、2026年にどう花開くのか。VP of Growth・米田陽介VPoE・泉雄介が、Biz×Techの両輪から2025年を振り返り、「二度目のシード期」ともいえる2026年への展望を語ります。

「既存事業の延長線上にある成長」をあえて捨てた覚悟の1年

——  2025年も激動の年となりましたが、Techチーム/Bizチームにとってはどんな1年でしたか?

:Techの観点で振り返ると、2025年は「順調に伸ばす」という選択肢を、意図的に取らなかった1年だったと思っています。

次の成長曲線を思いっきり作るために、既存のプロダクトを今の延長線上で伸ばすことよりも、未来の成長に向けた「基盤作り」にかなり投資をしました。具体的には主力のエンジニアを中心に、既存のカード事業から、AI与信モデルなどの法人カード基盤の外部提供を行う「ホワイトレーベル事業」などの新規領域へとガッと人を寄せました。

もちろん既存事業が伸びていないわけではありませんが、僕たちにとっては「(既存事業に注力したとすれば)本来期待できるはずのパワーを意図的に他に向けた」時期だった。2026年以降に飛躍するための、助走期間のような1年間だったように感じています。

米田:そうですね。事業としては延長線上でも十分に成長できる状況でしたが、それを続けた先に、僕たちが目指すスケールはない。だからあえて、堅調な成長を捨てる覚悟をした、という感覚が近いです。

2024年の11月頃、代表の宮城から全社に向けて話があったんです。「今の延長戦上でも成長はできるし、その方がある意味、楽かもしれない。だけど自分たちが思い描いているような非連続の成長は難しい。だから新規事業に思い切りベットしよう」と。

もともとUPSIDERはシングルヒットやツーベースヒットを狙うよりも、場外ホームランを目指すようなスタンスで運営されてきた会社です。だからこそ、既存事業がグングン成長している今だからこそ、危機感を持って新規事業にベットしようという決断がされた。

その具体例の一つが、泉さんが挙げたホワイトレーベル事業のようなスケールの大きなチャレンジです。

一方で僕たちBizサイドとしては、普通の成長角度ではない「異常なスピードの成長」を実現するため、同時並行でトライアンドエラーを重ねてきました。

PRESIDENT CARD」のように新しいブランドを立ち上げたり、「UPSIDER AI経理」のように新しい市場に参入していったり。本来は多くのリソースが必要なところでも、とにかくスピード最優先で「少人数で果敢に突っ込んでいった」という表現が1番適切かもしれません。

僕はUPSIDERで丸1年間を過ごすというのは2025年が初めてでしたが、それ以前からいるメンバーにとっても、こんなにも「どうなるか予測できない未来」に向けて走りきった1年間はなかったのではないか。それぐらい、みんなが勇気を振り絞った1年間だったと思います。

: 確かにそうかもしれない。僕個人としても、2025年は桁違いに出力を上げられた感覚があります。

ホワイトレーベル事業を中心に「今後数年間で投資すべきと考えていたポイント」に対して、戦略的に投資することができた。個人としても、チームとしてもプロダクティブかつアウトプットの多い1年でした。

飛躍に向けた「礎」を築けた

——  複数の新規事業が始動し、既存事業も導入企業数10万社・累計決済額1兆円を突破するなど、事業面で大きな進捗がありました。お二人は組織としてどのような点が特に加速したと思いますか?

:基盤化を進めるという面で明確にアップデートしました。2月に「PRESIDENT CARD」をローンチしましたが、宮城とも「今後さらにGMV(流通総額)を拡大していくために、もっと違うアプローチを取りたいね」という話をしたんです。そこからはホワイトレーベル化を見据えた基盤作りに向けた取り組みを強化してきました。

例えば従来の法人カードの基盤はかなりモノリシックで、巨大なコンポーネントに様々な機能が搭載されているような構造でした。この数ヶ月でその基盤の分解が大幅に進んだ結果、ホワイトレーベル事業が掲げる「最短2週間で新ブランドのカードを立ち上げられる」という世界観を、実現できる環境に近づいてきています。

米田: 今まででは難しかったスピード感を実現するためには欠かせない「技術負債の解消」が一気に進みましたよね。これは、Techチームの技術的判断を事業戦略の核として尊重した結果だと思います。

もちろんスピードが求められる局面では、Bizサイドから事業の優先度を伝えますが、それをどう技術的に着地させるかはTechチームの専門性を最大限に尊重しています。「この順番、この手法でやってほしい」と一方的に指示を出すような形とは違い、「どうすれば最速で本質的な価値を届けられるか」を議論し、最終的な技術判断はプロである彼らに委ねるという形です。

こうした現場レベルでのリスペクトがあるからこそ、Techサイドも本質的な改善にフルコミットしつつも常に事業スピードを意識した最適な設計を選択してくれますし、結果として組織全体の「変化に対する耐性」も非常に高まったと感じています。

「変化に対する耐性」の一例を挙げると、この半年ほどはGrowth Partner部門のKPIを毎月変えていました。「今月はPRESIDENT CARDの〇〇の指標を、その翌月はAI経理の〇〇をKPIにする」といった具合にです。

UPSIDERは創業時からマーケットインの考え方が強い会社で、机上の空論ではなく、確かなお客様のニーズに対して、本当に価値があるプロダクトを提供することで成長してきました。つまり事業としての勝ち筋を見つける上で「お客様の一次情報」をすごく大切にしてきました。

UPSIDERの最初の事業である法人カードは、単なる決済手段ではなく、企業の挑戦を前に進める“起点”でした。実際にお客様からは、「与信の不安がなくなったことで、初めて採用や新規事業に踏み出せた」「これまで選択肢にすらなかった成長戦略を描けるようになった」といった声をいただいています。
そこから、さらにお客様の声に向き合う中で生まれたのが、資金繰りの悩みを解決する「支払い.com」であり、人手不足に悩む経営者を支える「UPSIDER AI経理」です。

企業が成長すれば、次は融資や資本の課題が出てくる。そうした声を受けて、グロースデットファンドである「UPSIDER BLUE DREAM Fund」などの金融ソリューションも立ち上げてきました。

こうしてUPSIDERは、創業期から成長期、さらには次の拡大フェーズまで、企業のあらゆるステージに寄り添える存在へと進化してきました。

そして今、ホワイトレーベルという形で、より多くの企業の挑戦を“裏側から支える”フェーズに入ろうとしています。目標が右往左往したといえばネガティブに聞こえるかもしれませんが、非連続の成長のためには「これさえやっていれば安心」という安全圏から脱却し、変化し続けなければならないこともある。この1年でそのための耐性がついて、組織としてより一層強くなったと感じます。

:2020年に事業を開始してから約5年間かけて現在の顧客基盤を築いてきたわけですが、この数字が5年後に2倍になったとしても、誰もハッピーにはならない。その数字を10倍、20倍にするようなアクションを仕掛けていくとなった時に、新しいチャレンジをせざるを得なかったんですよね。

ホワイトレーベル事業に関しても、その規模の事業を目指すにあたって、必ずしも自分たちで全てのお客様に直接サービスを届けていくことに固執する必要はない。日本のプラットフォーマーと一緒にサービスを提供していく領域があっても良いよね、という思想からスタートしています。

会社の規模に関係なく、志を持って挑戦する企業が、日本中でもっと元気になること。そのために必要なのは、お金の悩みで、挑戦が止まらない社会を作ることだと考えています。

安心の上にこそ、大胆な挑戦は成り立つ。その土台を、技術の力で、もっと強く、もっと広くアップデートしていく。UPSIDERは、日本の企業が何度でも挑戦できる社会を実現するために、このスケールの大きな挑戦に向き合っています。

みずほFGへのグループインで変わったこと、変わらなかったこと

——  2025年の変化としては、7月にみずほFGへのグループインが発表されました。グループインの前後で組織として変わったことを教えてください。

米田:まず前提としてお伝えしたいのは、グループインによって「挑戦しづらくなった」という感覚は、全くないということです。

むしろ、これまで以上に大きな挑戦を、本気で考えられるようになった。そこが一番の変化だと思っています。

もちろん、情報管理やガバナンスの基準が上がった部分はあります。でもそれは、仮に僕たちが独立したスタートアップとしてIPOを目指していたとしても、遅かれ早かれ必要になることです。それが今のタイミングで訪れただけなので、進化だと捉えています。

週次でみずほFGの方とミーティングをしていますが「ルールだから」と思考停止するのではなく、むしろ「スタートアップのスピード感を学びたい」というスタンスで接してくれます。

逆に、僕たちとしても脇が甘い部分があれば改善できる。良い具合に相互補完できている感覚があります。

泉:  僕も相互にリスペクトできる関係性になっていると思います。先方も僕らのやり方に興味を持ってくれるし、僕らも「通ったことのない道」に直面した時に気軽に相談できる。例えばセキュリティや大規模なシステム運用についても、みずほFGの皆さんは膨大な知見を持っているので、学ばせてもらえる点が多く、非常に良いパートナーだと感じています。

組織体制や働き方についても自由度は変わらず、やれることの選択肢が増えた印象です。

金融事業は、突き詰めると「お金を仕入れて、貸す」ビジネスです。資金調達コストが下がれば、それだけ利益が出るし、お客様により良い条件を提示できる。みずほFGの巨大な資本があることで、取れるオプションの幅が劇的に広がりました。

また、エンジニアとしてはこれまで以上に「中長期的に望ましい開発」ができるようになった感覚があって、それが嬉しいんです。

—— 「中長期的に望ましい開発」とはどういうことでしょうか?

泉: 初期のスタートアップは、プロダクトをリリースしないことには何も始まらないですよね。まさにマーク・ザッカーバーグの「Done is better than perfect」という言葉が示すように、完璧を目指すよりも早くやることが重視されます。

でもその後、Facebookが事業として大きくスケールしていく中で、スローガンは「Move Fast with Stable Infrastructure」へとアップデートされていきました。

フェーズが変われば、求められる理想や判断軸も変わっていく。その変化も含めて僕はすごく好きなんです。

「速さ」と「安定」はトレードオフの関係にあると思われがちですが、僕はそうは思いません。むしろ事業の規模が大きくなってくると、盤石な基盤があることで、安心してスピードが出せるんです。

みずほFGという看板への責任があるからこそ、目先のスピードのために品質を犠牲にするのではなく、数年先までを見据え、腰を据えて本質的な開発ができる。これはエンジニアにとって、すごく健全で幸せな環境だと思います。

2026年のUPSIDERは「二度目のシード期」

—— 2025年は、非連続の成長を見据えた試行錯誤や基盤作りに力を入れてきたというお話でした。2026年はUPSIDERを「どんな状態」にしていきたいですか?

米田: 2025年に積み上げてきた選択や投資が、ようやく一本の線としてつながり始めていく年になると思います。僕たちは2026年を「二度目のシード期」だと捉えています。

泉: Techとしても、ここからが本番という感覚ですね。基盤が整ってきたからこそ、ようやく思いきりアクセルを踏めるフェーズに入ると思っています。

米田: プロダクトを作っていく速度もそうですし、事業の広がりという意味でも、来年から本格的にみずほFGとのシナジーを発揮できる場面が増えていくはず。リーチできるマーケットも広がるので、より大きなインパクトを与えられるようにしたいです。

ただ、そのためには一緒に挑戦する仲間をさらに集めたいので、間違いなく採用をものすごく頑張らないといけない1年になると思います。

—— 非連続の成長を実現する上で最大のボトルネックを挙げるとすると、「人」になりますか?

米田 :  人ですね。「UPSIDERは、今まさに二度目のシード期を迎えている」と話しましたが、倍ぐらいに組織を大きくしても良い。本気でそう思っています。

泉: 僕も仲間を増やしたいけれど、人海戦術でオペレーションを回すオペレーションヘビーな会社にはしたくないですね。

米田 :  おっしゃる通りですね。全て人力でなんとかするというカルチャーの会社ではないので、ゲームのルールを変えられるような人に仲間になってもらいたい。これだけAIが発展している時代だからこそ、AIの方が得意なことはAIを活用しながらレバレッジを効かせて、スループットを上げていくようなことが組織全体としてさらにできれば良いですよね。

最近はありがたいことに、様々な企業からの引き合いがすごく増えているんです。ただ、自分たちのキャパシティが足りていないことが原因で、その期待にすぐにお応えすることができず、「ちょっとお待ちいただけますか」といわざるを得ない状況になってしまっている。それがすごくもったいないと感じているんです。

それはBiz/Tech問わず、任せられる人がいればどんどんお願いしたいと考えています。

——  会社として成長しているのもそうですが、法人金融の領域自体の注目度が増していて、面白いタイミングということですよね。

米田 :   巨大なマーケットであることははっきりとしているけれど、まだ誰も正解がわかっていないところに対して道を作っている感覚があるんです。それは僕たちに限った話ではなく、他の企業の方々も同じだと思います。この規模で、みんなが手探りでやっている市場は、珍しいかもしれませんね。

——  確かに市場の変化など、外部環境は必ずしも自分たちの努力次第でどうこうなるものでもない。

米田 :   何かうまくいかなかった時に「環境のせいにするな」といわれることが良くありますよね。これは精神論としては正しいかもしれませんが、個人の成長においては「環境」がものすごく大事です。

例えば野球選手がメジャーリーグの球団に所属するか、地域リーグのチームに所属するかでは、環境が全く違う。メジャーリーグで練習すれば自然と視座が上がるように、基準の高い環境に身を置くことが、自分を引き上げる一番の近道です。

また、僕は過去の原体験から、組織に「勝ち癖」がある人がいるかどうかも同じくらい重要だと思っています。前職の楽天にいた頃、要職に日本を代表する企業出身の方が何人もいらっしゃいました。

まさにそれらの企業が国内だけでなく、世界的に業界を牽引していた時代に在籍し、「どうすれば勝てるか」「どんな組織が勝てるのか」を身をもって経験されてきた方です。その方々に共通するのは、必ずしもビジネス書などで書かれているセオリーに則るわけではないけれど、組織を勝たせる術を感覚的に知っているということ。

今のUPSIDERには様々な業界で近しい経験を積んだメンバーがどんどん集まってきています。

例えば泉さんは前職のラクスルが急成長する様子をCTOという立場で支えてきた。共同創業者の水野はNewsPicksに立ち上げから参画し、ユーザベースグループ全体のマーケティング責任者も経験しています。いかに同社が飛躍を遂げていったのか、その歴史を中で経験しているんです。

僕自身も楽天で執行役員を務め、勝ち癖のある方々と触れる中で、その考え方を自分なりに吸収してきました。

まとめると外部環境に恵まれていて、社内の環境としても自分の視座を引き上げてくれるような土台ができてきている。今のUPSIDERはそんなタイミングなんです。

——  泉さんは、2026年はUPSIDERをどんな状態にしていきたいですか?

泉 : 2025年に投資をしてきたホワイトレーベル事業に関しては、まずはファーストクライアント、セカンドクライアントをしっかりとハッピーにすること。その上で1年後には、複数のお客様のプロジェクトが始動し、「2週間〜1ヶ月で新ブランドのカードがローンチできた」という体験がどんどん生まれている状態にしていきたいです。

また、個人的には、収益構造を変えるようなプロダクトを作りたいという思いがずっとあります。UPSIDERのミッションは「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」ことです。法人カードを通じて挑戦者の方々に新しい機会を創出するというのも1つの道ですが、それだけでは十分ではない。

僕たちの事業規模が成長していかないことには、お客様により良いサービス、プロダクトを提供し続けることはできません。そのような意味でも、UPSIDERの事業に風穴をあけるような、新しい収益構造のビジネスに挑戦し、UPSIDER自体が今以上に利益を生み出せる体制を作っていきたいです。

—— VPoEの泉さんからそういった話が出るのが、UPSIDERらしいかもしれませんね。

泉 :   金融事業はシステムそのものがプロダクトだと考えているので、エンジニアにこそ変革を担ってほしいと思っています。事業に「ズブズブ入っていく」ようなエンジニアにどんどん仲間になってほしいです。

米田 :   そうですよね。実は今朝、宮城と1on1をした際にも「人」の話になったんです。今のUPSIDERはどんな絵も描けるぐらい贅沢な環境にいるけれど、その絵を本当に実現するための仲間が揃っているかというと、もっと集めたいよねと。

UPSIDERの挑戦のスケールも拡大し、徐々に国を変えるくらいのことをやろうという規模になってきています。だからいつまでもスタートアップの中だけで比較される存在ではダメなんです。

例えば総合商社で大きな仕事をしたいと考えている人の選択肢に上がってくるようにならないといけないし、そこで働く人たちが次のキャリアを築く場所として検討する対象にならなければいけない。総合商社に限らず、国内を代表するプラットフォーム企業やメガバンクなど、そういった企業の人たちにも選ばれる会社になっていく必要がある。これは全職種においてです。

宮城が以前「人に投資しよう。1兆円企業を目指して」というnoteを書いていましたが、宮城個人としても、会社全体としてもこのカルチャーが非常に強いし、ブレない軸になっています。2026年は新しい仲間も含めて、みんなで頑張っていきたいですよね。

▽コーポレートサイト

▽採用サイト

▽カジュアル面談