私が覚悟を持つまで。
教育の仕事をしていた頃のことです。
私は毎日、子どもたちと向き合っていました。
夢を語る子。
努力を続ける子。
将来に希望を持つ子。
そんな子どもたちを見ながら、私はいつも思っていました。
「この子たちには、自分らしい人生を歩んでほしい。」
勉強を教えることが私の仕事でした。
でも、ある日、ふと思ったのです。
勉強だけでは、この子たちの将来は守れない。
学校では教えてくれないことがある。
社会に出て初めて知ることがある。
お金のこと。
時間のこと。
人とのつながり。
判断する力。
人生を生きるために必要なことは、勉強だけでは足りない。
そのことに気づいたとき、私はもう一つのことに気づきました。
自分自身も、お金に縛られた人生を生きていた。
やりたいことはある。
守りたい人もいる。
それでも現実は思うようにはいかない。
「このままで、本当にいいのだろうか。」
その問いが、頭から離れませんでした。
そんなとき、
私は人生で一番信頼している恩人に相談しました。
その人は、答えを教えてくれたわけではありません。
私が自分自身で気づけるように、
きっかけをくれました。
問いをくれました。
人との縁をつないでくれました。
信頼を寄せてくれました。
挑戦する機会をくれました。
そして、
今までの自分では見ることのできなかった世界に触れる環境を与えてくれました。
その一つひとつが重なり、
私の人生は少しずつ変わり始めました。
私はそこで初めて気づきました。
人生を変えるのは、
誰かから与えられる答えではない。
自分自身で気づくことなのだと。
その時間の中で、
ずっと心の奥にあった想いも見えてきました。
一つは、
大切な人に幸せになってほしい。
家族。
関わってきた子どもたち。
友人。
目標を持って頑張る人。
そんな人たちが、
将来、お金や時間に縛られることなく、
自分らしく豊かな人生を歩んでほしい。
その想いは、
昔から変わることなく、
私の中にあり続けました。
もう一つあります。
私は、
人生は才能ではなく、想いであってほしい。
そう願っています。
生まれ持った才能だけで人生が決まるのではなく、
誰かを想い、
努力し、
学び、
成長しようとする人が報われる社会であってほしい。
自分だけが豊かになる人生ではなく、
相手を想える人ほど、
自分自身のことも大切にできる。
そんな人が増えてほしい。
私は、
心からそう願っています。
そして、
もう一つ大切にしたいことがあります。
それは、
恩送りという生き方です。
私は、
本当に多くの人に人生を支えていただきました。
人生を彩ってくれた人たちがいました。
でも、
その人たちは誰一人として、
「いつか私に返してほしい。」
とは言いませんでした。
願っていたのは、
自分が受け取った想いを、次の誰かへ届けること。
その姿を見てきたからこそ、
私も同じように生きたいと思いました。
恩返しではなく、
恩送り。
自分が受け取った優しさを、
次の人へ。
自分が受け取った学びを、
次の人へ。
自分が人生を変えるきっかけをいただいたように、
今度は誰かが、
自分自身の人生に気づくきっかけを届けたい。
それが、
私の生き方になりました。
この三つの想いが重なったとき、
私は初めて、
人生を懸けて叶えたい未来が見えました。
だから、
学ぼうと思いました。
自分の知らないことを認めようと思いました。
人の話を「聴こう」と思いました。
一人の人だけではなく、
あらゆる人から。
あらゆる経験から。
あらゆる出来事から。
学び続けようと思いました。
全部、
この想いを叶えるためです。
だから私は、
**「燈」**をつくりました。
私が人生を変えていただいたように、
誰かに答えを教えたいのではありません。
自分自身で気づくきっかけを届けたい。
一緒に考えられる問いを届けたい。
新しい世界と出会う機会を届けたい。
人と人との縁をつなぎたい。
そして、
一人ひとりが、
自分の人生を自分で選び、
自分なりの覚悟を持てる場所をつくりたい。
そんな想いを込めて、
この場所を「燈」と名付けました。
暗い夜道で、
燈は進む道を決めるものではありません。
ただ、
足元を照らしてくれるものです。
どの道を歩くのかを決めるのは、
自分自身です。
だから私も、
誰かの人生の答えにはなりません。
その人が自分の人生を考え、
自分の心に素直になり、
覚悟を持って歩き出すための、
小さな燈でありたいと思っています。
私は、
覚悟とは、
強くなることではないと思っています。
我慢することでもありません。
自分の考えを押し通すことでもありません。
覚悟とは、人生を懸けて叶えたい未来を決め、その未来のために学び続けること。
これが、
私が覚悟を持つまでの物語です。
次の記事
覚悟を持つためには、自分の弱さや分からなさを認め、人の言葉を受け取る素直さも必要です。
次は、素直であることの強さについて考えます。
素直であるという強さ。
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