芋出し画像

🏰プリンセスぞの招埅状✉✚

※倏の短線セレクション第2匟です

▌第䞀匟▌


 星の海を芋䞊げお、オヌシャンは溜め息を぀いた。今倜はお城で舞螏䌚。王子りィングズ様の花嫁様遞びのスペシャルディ。
た、あたしには関係ないけどさ
 腰から䞋げた゜ヌドに目をやり、圌女は倜色の広い庭を芋回した。自然が豊かだ。
「異垞なし。あぁ、いいんだいいんだ。もうすぐ報酬が出るさ。それで倧奜きなペヌゞェント芳るさ芳るよ芳るずもよッ」
 だから甚心棒だろうず譊備員だろうず、なんだっおやっおみせよう。
でも、もしも、もしも、だよ
 䜕か自分には蚈り知れないようなラッキヌなハプニングが起こっお、お城に招埅されたずしたら  

 シャンデリアの茝く倧広間。楜士たちが䞊品か぀華やかな曲を奏で、テヌブルを芋たこずもないような食べ物飲み物、それに花などが圩っおいる。
 ドレスアップした人たちが笑い合う。
 そしお、倧階段の䞊から䞋りおいらっしゃるりィングズ王子
 高貎なる矎貌。お優しい県差し。お幎は確か、十六。
 王子は広間を芋枡し、䞀人の壁際の少女りォヌルガヌルに歩み寄る。俯いおいた圌女は顔を䞊げ  
「螊っおいただけたせんか」
 王子様は熱っぜい瞳で圌女の手を取るのであった    

それで、そのあず二人はダンスしお、そのあずバルコニヌに行っお  
 劇的な恋 時間はいらない‌ 䞀目出逢ったその瞬間から、二人にはもうラノ゜ングしか聞こえない  りェディングベルでも可
あぁ、すおき♡♡ そしおあたしは玉の奥
 めくるめくようなロマンスでゎヌゞャスな日々  
「  あ、ありえない  どヌせあたしはしがない剣䜿い  。
 いいんだ、いいんだ、ペヌゞェント芳るからいいんだ  っお、きゃ⁉」
 そばの茂みの蟺りから音がした。
「な、なななに⁉ ドロボヌノラ猫人さらい⁉」
 スピンしおる感じに激しくなる心音。だがオヌシャンもこれでもプロ。圌女は゜ヌドを抜き、慎重に茂みぞず返づく。
 现い月の䞋、男の子が立っおいた。
 フルヌの髪。銀色の瞳。生意気そうな、十䞉、四歳くらいの少幎──  
う、うわぁ、かっこいい  
 思わず芋ずれおしたう。少幎はオヌシャンを睚むず、おもむろに圌女に近づく。
「  ランはどうした」
「ラン 誰その人」
「い぀もここのガヌドをしおるオッサンだ。この時間はい぀もランがここの配眮だ」
「違う、この時間この堎所は、あたしが任されおるの   䞉週間くらい前にこの屋敷に掟遣されおきたばかりなんだけど」
「なんだ、ランの奎、蟞めちたったのか」
「ずいうか、どちらさたでしょうかあなた」
「気にするな、怪しい者じゃない。あばよ」
 軜くいうず、少幎はオヌシャンに背を向ける。石壁をよじ登っおゆく。
「た、埅お埅お埅お⁉」
 魅せられたように立ち぀くしおいたオヌシャンが慌おた時にはもう、少幎はたるで翌があるように身軜に、塀の向こう偎ぞ姿を消すずころだった。

 少幎は寝静たった町を走っおいる。
 城では舞螏䌚が開かれ、その呚蟺や貎族の屋敷などには灯がひずもっおいるずころも倚いが、庶民は早寝早起きが基本だ。
 朮の銙りが匷くなる。
姫
 心が逞《はや》る。
姫  

「はぁはぁはぁ  や、やっず  
芋぀けた」
 前方のパン屋の看板の陰から、゜ヌドマンらしき嚘が珟れる。
 少幎は本圓に意倖だったのだろう、立ち止たり瞬きした。
「おたえは、ランのアトガマ」
「逃がしたせんッ」
 オヌシャンは少幎ぞの間合いを詰める。゜ヌドを圌ぞ向けながら。
「仕事熱心だず壊めおやりたいずころだが、ガヌドマンが単身屋敷を抜け出しおどうする」
「うっ。でも屋敷にはあたしの他にもただ譊備員いるし  劖しい奎芋逃すのはあたし的にどうかず  」
「その若さでしかも女性でそんな仕事をしおるくらいだ。ツワモノだろうな うむ  」
 少幎はポケットから䜕か取り出すず、オヌシャンぞ投げた。巊手で反射的に掎むず、青い宝石がきらめいた。
「スタヌサファむアだ。それをやれるから芋逃せ」
「え、え」
「チッ、意倖ず欲深いな。他に䜕が欲しい
 アクアマリンの涙滎型のペンダント、ルビヌのサラマンダヌ巻き぀いおる感じの腕茪。ダむアモンドの矜型の指茪。あず今オレ䜕぀けおたっけ 
 ああ、゚メラルドのリヌフ型ピアスはどうだ、今シヌズンの新デザむンだ」
「    」
「チッ。ランは即買収されたぞ」
「ば、買っお  劖しい  あんた䜕者⁉」
「现かいこずは気にするな、ハゲるぞ」
「あなた、どうやっおお屋敷の庭に忍び蟌んだの なんのためにッ⁉」「ただの通り道だっお」
 少幎は軜く埌頭郚を掻くず、笑った。芋事に尖った倧歯が芗く。
「た、いいや。オレはりィング  じゃねぇ、りィンドっおいうさる貎族の什息なのだがな。あの庭にはオレの䜏たいから隠し地䞋通路が通じおいお、オレは時折利甚するんだ。
 あ、オレの他にこのこず知っおるのはランず他数人くらいだ。他蚀無蚀にな。──ちなみにオレんちは特殊だからな。非垞時に備え、他にもいく぀か隠し通路があったり、隠し郚屋があったりするんだ」
「えぇっ」
 りィンドはふいに悲しそうな顔をした。
「ここたで聞いおおいお  裏切ったりしないよな
 倧倉なんだぜオレ 退屈で窮屈で寂しい日々を送っおるんだ。
 たたにはこっそり抜け出しお息抜きしたくなっお圓然だろう
 あ、でさ」
 りィンドは、倜明けの海のようなアメゞスト色のオヌシャンの瞳を芋ながら笑った。
「おたえ、名前は」
「お、え、えヌず  オ、オヌシャンです」
「いい名だ」
 オヌシャンの゜ヌドはなぜかい぀のたにか地面ぞず向いおいた。
 りィンドは通り過ぎざた圌女の金の髪を軜く撫でた。
「じゃ、たたな」
 たたしおも魅せられたように惚けおしたった圌女が我に返ったずきにはもう、圌は颚のように玠速くその堎から去ったあずだった。

 りィンドは走る。闇の䞭癜っぜく芋える浜蟺が近づいおくる。すべおを優しく包むような海が波が、自分を手招きしおいる。
姫
 胞が高鳎る。
姫、姫、姫  

「はぁ、はぁ、はぁ  み、芋぀けた」
「う、うぉぉっっ」
 心臓飛び出しそうな感じに叫んで、りィンドは埌方ぞ飛び退いた。
「い、いい加枛し぀こいぞオヌシャン」
 オヌシャンはもう゜ヌドを鞘《さや》に収めたたただったが、ゆっくりずりィンドぞ歩み寄る。
「い、いやそうなんだけどさ。やっぱり正䜓いたいちはっきりしない䞍法䟵入者を芋逃すのはあたし的に、ど、どうなのかず  」
「今さらかもしれんが女性の䞀人歩きは危険だ。気を぀けお垰れ」
 りィンドはオヌシャンに背を向けお、海蟺を歩く。オヌシャンはそれに぀いおゆく。
「男の子の䞀人歩きも危険だず思うんだけど」
「ほっずけよ」
 振り返らずに歩いたたたりィンドは䞍機嫌に蚀う。
「おたえ、欲しい物は」
「え 欲しい物」
「やるから、なんでもやるから、頌むから、オレに自由をくれよ  」「海蟺を䞀人で歩くこずがあなたの自由なの」
「  悪いかよ。あぁ、そうだよ、奜きだよ、海が奜きだよ、誰もいない倜の海を歩くのが、オレのちっぜけな自由だよ  」
「う、うヌん  」
「  だよ」
 りィンドがオヌシャンを脱む。
「ガキだっおんだろ 䞖間知らずだっおんだろ、あぁオレはバカだよバヌドケヌゞから抜け出したくおたたらない、ただのガキだよ‌ ──そのケヌゞが、いくら高䟡だっお──庶民の血ず汗でできおいおも  それ
でも、オレは  。韍の䞭から倖ぞ矜ばたいおみたいんだ」
「    」
「知っおるか、今日城で舞螏䌚が開かれおる」
 砂浜を぀た先で軜く蹎るようにしながら、りィンドは䞋を向いおいる。
 茝く月も星々も、今の圌には芋えない  
「オレには理解できない。よく知りもしない王子に嫁ぐために出かける嚘たちの気持ちが。そんな䞭からたった䞀人の女性を遞ぶ、王子の気持ちが──理解、したくない  オレは」
 りィンドは銀の瞳をオヌシャンぞ向ける。
「オレは  ッ、わがたたでもガキでも、自分のこずは自分で決めたい 自分の意志で、自分の力で矜ばたき生きお、自分の奜きな姫だっお、自分で決める‌」
 オヌシャンが䜕かを蚀いかける。それを遮るように、高い少女の声が飛んでくる。
「りィンド」
 砂浜を走っおくる、癜いツヌピヌスの少女。
「姫 ミアシャム姫‌」
 りィンドは䞀目散にミアシャムの元ぞ駆けおゆく。
「よかった、姫 来おくださらないかず  」
 頬を䞊気させ、瞳を最たせるりィンド。
「来ないはずがないわ だっお、私、こんなにあなたを愛しおいるんだもの」
「姫  」
 ミアシャムはどうみおも庶民──町姫である。
 この堎合りィンドにずっお盞手の身分は関係ない。圌にずっお自分の愛するただ䞀人の女性こそが「姫」なのである。
「誰、それ、ボディヌガヌド」
 ミアシャムはオヌシャンを䞊から䞋たで舐めるように芋回し、脳ち誇ったように笑う。
な、なんかむか぀く  
「姫、さぁ、今のうちに行きたしょう この先に船を隠しおありたす。ひそやかに準備臎したしたゆえ、買収した者たち以倖、誰も知りたせん」「りィンド、やだそれ、冗談じゃなかったの」
「姫、オレはい぀でも本気です」
「え、えヌず  どういうこずですか」
「オヌシャン  止めないでくれ、オレず姫は、今倜  駆け萜ちする」「えっ、えぇぇっ、か、駆け萜ち⁉」
 オヌシャンが叫び、ミアシャムも叫ぶ。
「ちょっ、嘘でしょ嘘よね嘘だよねぇッ」
「姫‌」
 りィンドはミアシャムの手を掎む。
「オレに぀いおきおくれたすよね」
「嫌っ‌」
 ミアシャムは乱玠に手を振り解ぐ。
「ひ、姫  」
「バカじゃない⁉ あんた、頭おかしいわ‌ あたしがあんたず぀きあったのは──あんたが貎族の息子だからよ‌
 それなのに、それを捚おおどこかぞ行こうなんお、信じられない‌
  だから金持ちっお嫌なのよッ 自分がどんなに恵たれおるか党然わかっおない‌」
「姫    」
「さよなら。もう䌚わない」
 冷たく蚀い攟ち、ミアシャムは去っおいった。
 りィンドは呆然ず圌女の消えた方角を、い぀たでも芋぀めおいた  

 波打ち際に座り蟌んで、りィンドは呟ぐ。
「オレが家から抜け出しお、䞀人海を歩いおいたある倜  」
 オヌシャンも隣に座っおいる。
「圌女に出逢った」
 冷たい海氎に手をやり、りィンドは目を぀むる。
「䜕があったのか、圌女は倜の海蟺で泣いおいた。だけど、オレを芋るず笑っお声をかけおきた。
 それからオレたちは時折この海で違うようになった  」
 りィンドの声が少し襲える。
「嬉しかったんだ。初めおだった  。
 いなかったから、オレ  友だち。
 いるのは、友だちずは決しお呌べないような連䞭だけ。
 オレをオレずしお芋ない奎ら。
   でも、圌女もそうだったんだな  」
 ──金持ちだから぀きあっただけ。
「わかっおいたんだ。圌女にはオレずは違っお、たくさんの友だちがいる。オレなんか、その他倧勢。仮に友だちだずしおもランクは䞋の䞋の䞋っおいうか  。そんな感じで。
 だけど、圌女はオレが奜きだっおいっおくれたから  愛しおるっお、オレず぀きあっおくれるっお  」
 涙がりィンドの頬を䌝う。
「  圌女のいうずおりだ。オレは、バカな金持ちで  民の気持ちも考えられず、責任感も協調性もなく、金があるっおだけが取り柄の    
どヌしようもない人間  」
「    」
 りむンドは乱景に袖《そで》で涙を拭うず立ち䞊がる。
 癜く茝く月の䞋で笑う。
「垰る。オレ━─そしお、オレはあの堎所で生き、民のために䜕かできるような──そんな人間になる」
「え、えっず  」
 オヌシャンも立ち䞊がる。
「あ、あのね  。その人にはその人の生き方があるし。個性があるし。䜕が正しい、正しくないなんお簡単には蚀えないず思うけど  。
 あなたがそれでいいなら、それでもいいけど  たったずえば
舞螏䌚だっお、だった䞀床で気に入った姫が芋぀からないなら 䜕床でも舞階䌚を開いお、この人だ っお思える人が芋぀かるたでやっおみたらいいし、舞螏䌚で芋぀からないなら、他の所で芋぀かるかもしれないし  っ」
 圌は䜕も蚀わず、ただ圌女を芋぀めおいる。
「え、えヌずだから  だからきっず、あなたには  翌があるから」
 拳を握っお、オヌシャンは蚀う。
「矜ばたけるから」
 波の音が聞こえるなか、りィンドは俯いお、䞊げた瞳で笑った。
「おかしな奎。  。悪かったな、぀きあわせお──  ありがずう」

   

 きらびやかな倧広間に、オヌシャンは居る。
 玳士淑女が行き亀い、ダンスし、テヌブルの䞊には高玚な料理が䞊んでいる。
思いっきり堎違いなのでは  
 圌女は粟䞀杯ドレスアップ&メヌキャップした姿で壁際に立っおいる。 䜕か自分には蚈り知れないようなラッキヌなハプニングが起こっお、お城に招埅されおしたった  
ど、どうしおこうなったあたし
 なぜか王子りィングズ盎筆の舞螏䌚招埅状が届いたのだ。家に。
 ──りィンドず逢ったあの日の舞螏䌚で、どうも王子様はただ䞀人の姫君を芋぀けられなかったようで、今回は第二回目の舞螏䌚だったりする  。
䜕かのたちがいだったのでは。来おはいけなかったのでは
 静かに流れおいた楜の音が、曲を倉え、華やかに高鳎る。
「な、なになに」
 どうやら王子様ご登堎のようである。倧階段を䞋りおくるのは、青い髪に、銀の瞳、正装をした十䞉、四くらいに芋える少幎  
「う、うそっ  嘘々⁉
 パニック状態になるオヌシャンに、王子様はたっすぐ歩いおくる。他の人たちのこずも無芖、舞螏䌚の段取りも無芖である。
「え、なんで だっお前の舞螏䌚の時  」
「知りたいか」
 りィングズは気軜にオヌシャンの頭を叩く。
「あの日は、圱歊者に任せお、オレは城を抜け出しお海ぞ行ったんだ」
「かっ、かげむしゃ」
「フフフ。すごいだろう」
 劙に自ありげに笑い、りィングズはオヌシャンの手を取る。りィンクする。
「螊っおいただけたすか」

 寄り添うようにしお二人は螊る。自分たちに人々が泚目しおいるのは明らかだ。
「ち、ちょっずりむンド  じゃない、りィングズ王子。あ、あたしダンスなんで  」
「りィンドでいい。オレがリヌドするから心配はいらない」「
え、あ、だっお、そんな  」
 王子だけあっお、圌はダンスがうたかった。が、圌女は䜕床か圌の足を螏んでしたった。
「あ、あぁ、ごめんなさいっ」
 だけどりィンドは楜しそうに笑うのだ。

 匊月型の癜いバルコニヌに出るず、涌しげな颚ず倖の空気が二人を包んだ。グラスのゞュヌスを飲んで、オヌシャンは䞀息぀く。
「ふう。おゆうか、りィンド  」
「あぁはいはい。勝手におたえんち調べさせお招埅状送らせたのはオレだよ。いやぁおたえいたら少しは楜しいかもしれないず思っお」
「いや、おいうか  十六歳だったのね  っおいおうずしたんだけど」「悪かったな、十六に芋えなくお」
「ちなみにあたしは今十五」
「ふヌん ぀ヌかダメダメ。ちっずもいねヌよいい女。もしかしたらこの囜にはいらっしゃらないのかもしれない、オレだけの姫君」
 倢芋るように、りィンドは倜空を芋䞊げる。
「あぁ、今すぐ姫のおそばに飛んでゆきたい。自由にオレだけの生を矜ばたきたい」
 そうしお、オヌシャンのほうぞ振り向く。
「た、ずりあえずはこの城でがんばろうず思っおいるがな」
「が、がんばっおください」
「おたえは なんで剣士をやっおるんだ」
「はぁ。なんずなく。おいうか友だちが剣の名手で、いろいろ教わっお。幞い剣才があったらしく道堎に通っお免蚱皆䌝しお。゜ヌドギルドに入っお、仕事もらっお  」
「友だち」
 りィンドは目を狭め、含笑する。
「男か」
「なっ──⁉ ち、違う違う」
「オレずどっちがいい男だ」
「う、うん、どっちだろう  」
 腕組み考えるオヌシャン。
「やっぱ、男なんじゃねぇか この小嚘」
 額にチョップをくれお、りィンドはオヌシャンの飲みかけのゞュヌスを奪い飲み干す。
「いや、でも、別に普通の友だちだし」
「なんかむか぀いおきた」
 りィンドは手すりに手をやっお、䞋を向ぐ。
「あぁわかるぜわかるぜおたえは友だちいっぱいいるんだろうなぁ  。 
 オレみたいなロンリヌガむな気持はわかんねぇよなあ。仮にオレがおたえの友だちだずしおもランクは䞋の䞋の䞋の䞋の䞋なんだろヌなぁ」
「おいうか、友だちにランクづけなんおしおないんだけど」
「あぁそうさオレにはランク぀けるほど友だちいねヌよ」
「う、うん  性栌歪んでるなぁ  
「なんか蚀った⁉」
「い、蚀っおない蚀っおない」
 オヌシャンは華やいだ舞螏䌚堎を頌みる。
「  でも、こんなに人がいるんだから、いるんじゃない 王子でなくお、なんおいうかりィンドの友だち になっおくれる人」
「そうか うむ  倧勢の友より、たった䞀人の友。たった䞀人の姫。たぶん、オレが欲しいのは、そういう存圚  」
 りィンドは芪指を立おる。
「でな、オレはな、王子ずか城ずか金ずか、そんな物に目もくれず、自分の力で生きおゆくような、そんな嚘が奜みだ
 だから、王子目圓おに舞螏䌚にやっおくるような、そんな嚘どもは目に入らないのだよ」
 圌は手すりにもたれお、圌女を芋぀める。
「  おたえさ、オレず぀きあっおみない」
「はぁ。  っお、えぇッ⁉」
 りィンドはマゞな顔をしお、オヌシャンの顎に手をやる。アメゞストの瞳を芋぀める。
「オレが知っおる姫たちの䞭では、おたえが䞀番だ」
 オヌシャンの頬が赀らむ。
 りィンドはオヌシャンに顔を寄せ  
「なぁヌんおな、本気にしたか本気にしたか」
 デコピンした。
「か、からかったの」
「からかったからかった あははははッ」
「  む、むか぀く」
「あ、あはははは 怒るなるな。はははは、冗談だけどさ、だけどさ、本気だぜ」
「ど、どっちなのよ」
「本気本気 姫ずしおっお面では冗談だけど、友人ずしおっお意味ではすげ本気」
「えヌ、えヌず  それは、぀たり」
「友だちになっおくれ オヌシャン」
「えヌず  でもあたし、舞螏䌚ずか玉の茿ずかにも心動いちゃうような人間なんだけど」
 りィンドはオヌシャンに背を向けしゃがむ。
「あぁ、やっぱりオレなんぞ嫌なんだな。ランク䞋の䞋の䞋の䞋の䞋でも嫌なんだな」
「いや、だからランクなんお぀けおないっお」
「  くせに」
 りィンドは非難がたしげにオヌシャンを芋る。
「さりげにスタヌサファむア持っおったたたのくせに」
「あ、いや違うよ アレは思わずキャッチしちゃったたんた返しそびれちゃっただけで」
「フフフフフ」 
 りィンドは立ち䞊がり、腕組んでオヌシャンを芋䞋ろし䞍敵に笑う。「぀ヌこずで、なるよな オレの友に‌」
「う”  」
 オヌシャンは少し蚀葉に詰たる。
「な、なんか  ハメられたような気が  」
 りィンドは眉を八の字にする。
「あぁ、やっぱり嫌なんだ嫌なんだ  ッ」
「──あぁ  ッ、わ、わかったわかった、なりたすなるずもなるっおば」
「フフフフフ。䞀぀だけ忠告しおおこう、オヌシャン。オレに惚れるなよ」
「ほ、惚れないっお」

あぁ、なんでこうなったんだあたし
 オヌシャンは自身が着おいる真っ癜なりェディングドレスを芋䞋ろし吐息を぀く。
「姫‌」
 ドアを蹎り開け、癜いタキシヌド姿のりィンドが入っおくる。
「ああ、姫‌ なんおお矎しい‌」
 瞳を最たせ頬を赀くするりィンド。
惚れるなよ、ずかいったくせに  
 惚れられおしたったのである。
「姫がいれば、それだけでそこがパラダむスです、ヘノンです
 そこがたずえ退屈な城だろうず、窮屈な鳥籠だろうず、あなたがいれば、それだけで──そこは茝く海なのです
 オレが自由に矜ばたける、どこたでも広がる、䞖界最匷最高の、至高の海なのです」
「は、はぁ  。う、うん  」
 倧教䌚でオヌシャンずりィンドは誓いの蚀葉を玡ぎ、たくさんの人の祝犏を受け、二人で救䌚の倖ぞ歩みだす。
 巊手の薬指にはあの日のスタヌサファむアを加工したリング  
う、うヌん  これでよかったんだろうか」
「姫‌」
 お姫様抱っこしたたたのオヌシャンに、りィンドはりィンクする。
「さぁ、いざ行きたしょう 新婚旅行は䞖界䞀呚の旅です  勿論お忍びで フフフ。その間は圱歊者にこの囜でがんばっおもらうぜッ」
「もしかしおそれが目圓おだったんじゃ  」
「  う”。や、やだなぁ、姫 そんなこずないですっおば マゞだっおば」
 嚘たちのほうぞブヌケを投げお、オヌシャンは自分の足で歩きだす。
「ん、でも、゜ヌド持っお旅に出る  っおいうのも、楜しそうかなぁ」
「ですよですよ 姫には城より旅のほうが䌌合っおたすよ‌」
「䞖界各囜のペヌゞェントが芳れるっおいうのは、魅力的だしなぁ」 
 二人で銬車に乗り、オヌシャンは隣に座るりィンドを芋぀める。
「おいうか、ちゃんずお城に戻っおくるよね そのたた行方くらたしたりしないよね」
「もっ、勿論だオヌシャン たったずえそうだずしおも、おたえをおいおどこかぞ行ったりはしないぜ‌  オレの愛は本物だッ‌」
「    」
「オレを信じろよオヌシャン オレもおたえを信じおるぜ‌ .
   あぁ信じおるよ、信じるけどさぁ、ほんずだよなほんずなんだよな」
 りィンドはオヌシャンの手を取っお、圌女の瞳を真剣に芋぀める。
「━━ほんずにおたえ、オレのこず、奜きなんだよな  」
 オヌシャンは溜め息を぀く。
「  䜕床蚀わせるかな、この王子は。あたしもう䜕床も蚀ったような気がするんだけど」
「でも姫、今日テンション䜎いし  心配なんだよ、ほんずは埌悔しおる  」
「いや、おいうか呆然ずしおるっおいうか  ただ実感かないっおいうか  なんか隙されおるような気が  冷静になっおみるず」
「姫  オレにはあなただけです‌  たずえ王子じゃなくお䞀文無しになっおも、䞖界䞭の人間がオレを吊定しおも──姫だけは、オレのそばにいおくれたすよね
 オレのこず、芋捚おないでくれたすよね  」
「う、うん。あたしも勿論りィンドが奜きだよ  じゃなかったら結婚なんでしないっお」
 圌は自分の顎に手を圓お、悪魔的に笑む。
「フフフフ。それでこそオヌシャンだ。もしそれが嘘だずしおも、もうオレのブレヌキは利かないぜ利かないさ、ああもう利かんッ‌」
「はぁ」
「責任取っお、䞀生オレに぀いおこい‌!  ぀ヌかもう離さんッ‌!」
 りィンドは砎顔する。
「フフフフ。実はな、オヌシャン。オレはりィングズではないんだ。
 オレは、りィングズの圱歊者、りィンドなのさ‌」
「    う、嘘⁉」
「この囜では結婚しないず王子は王になれないからな
 バカ攟浪王子の代わりにオレが結婚匏たでしおやったのさ。
 あぁ頌たれたんだよずうずうキレちたった囜王に。適圓な姫芋぀けお結婚匏あげおくれっおさぁ。
 フッ、これであのバカ王子も逃げられんさ。盎に城に連れ戻されお、䞖継ぎずしお培底的に曎生させられお、そんでやがお囜王だザマ〜ミロ」「ち、ちょっず埅っお  」
「そんでもっお、オレは䞀生かかっおも䜿い切れないような報酬もらっお、晎れお自由の身さ
 あ、オレの他にも䜕人かただ圱歊者いるから䜕かあっおも倧䞈倫。
 さぁ、オヌシャン 文句は蚀わせないぜ、オレが王子じゃなくおも、おたえはオレの嫁だ‌
 倧䞈倫 愛があればい぀だっおなんずかなるッ‌   自由も金もある‌ 完璧だ‌!」
「──そういうこずは結婚する前に蚀えッ‌」
 オヌシャンのパンチが圌の頬に決たる。
「おいうかそれっおあたし、王子様ずりィンドず重婚
 どヌなっおんのよ結婚届けずか」
「现かいこずは気にするな ぀ヌかバッグに囜王が぀いおるんだ 暩力さえあればなんだっおできるのだよ。フフフ。
 あ、姫ずりィングスは新婚旅行《ハネムヌン》離婚するっおシナリオな」
「あんたずヌっずあたしのこず隙しおたのね。窮屈な城がどヌの立掟な王子になるだの  」
「いやいや、オレはメむンな圱歊者だったからな、だんだん自分でも本圓の王子のような錯芚に萜ちいっちたうくらいだった぀ヌか、オレは完璧䞻矩だからな 
 やるからには埮底的に王子の挔技やっおたのさ。結婚匏あげおりィングズ連れ垰るっお条件で王様説埗しお、やヌっずこの契玄から解攟だ。このたんたじゃほんずに䞀生王子のふりしお生きおくかず思ったぜ。
 オレがあたりに優秀すぎお蟞めさせおくんなくっおさぁ。
 ぀ヌこずでずっずずりィングス捕たえに行くぜ」
「い」
「あ、オレさ、超優秀な魔法䜿いなんだよ。マゞックギルドの゚ヌゞェント。
 で、最埌の仕事が本物王子の捕獲 ──姫‌」
 りィンドはオヌシャンの䞡肩を掎む。
「勿論オレに぀いおくるよな」
 オヌシャンはりィンドを芋぀める。匷気な蚀葉ずは裏腹な、䞍安に揺れるその瞳.


「ほ、本圓にあたしのこず奜きなんだよね」
「あぁ、正盎蚀っお最初はそうでもなかったんだけど、今はマゞだぜ。
 挔技でもやっぱり結婚匏は奜きな奎ずあげたいからな 仕事ず信念ず板挟みだったんだ」
「う、うヌん  おいうか、じゃあ、あのミアシャムず駆け萜ちしようずしたのは  」
「う”っ。お、芚えおたか  。あ、あれはその  王子身代わり生掻ずか嫌になっちたっお  ミアシャムはすげヌ矎人だったし  、あ、いや、違う違う あれも挔技挔技‌ オヌシャンが䞖界䞀さッ‌!  マゞだっお‌」
ほんずに蚀じおいいんだろうかコむツ  。
 おいうかどこからどこたでがほんずで嘘よ
 でもた、しかたない。
 奜きになっちゃったんだから。
「姫 奜きです‌」
 りィンドが抱き぀いおくる。その背に回したオヌシャンの巊手の薬指でスタヌサファむアがきらめく。オヌシャンは静かに瞳を閉じる。りィンドの唇が、圌女の唇に觊れる。
 瞳を開けるず、そこに初めお目にする少幎が笑っおいた。緑の髪に、金の瞳──  。十四、五歳くらいの勝ち気そうな少幎──  。
「な オレのほうが、りィングズよかずヌっずいい男だろ
 今たで倉化の術でりむングスに化けおたんだッ」
「──だから、そういうこずは先に蚀えッ‌」
 二人を乗せた銬車は、街を走りゆく。
 遥かな海では、翌を広げ颚に乗り、鳥たちが矜ばたいおいった──。


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