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【SB】ワイルド・ブラッド:第2章 2 託されたもの

▼前回▼


 頭がくらくらした。また倒れそうだ。
「なんでだ、かーちゃん! どうして、」
「あなたの回復を待っていたら、美紅が殺されていたわ」
「でも、だからって」
「私ももう、あなたを産んでから、たいした力がない。
 幸いなことに、仕掛けてくるのも多くなく、撤退したのも、
恐らくまだ……。
 ━━来なさい、牙」

 ***

「若木、あんまりベタベタ触るなよ! 
 トラップがあるかも!」
 再びサンクトゥスにやってきた、牙と<若木>。
 ━━若木はグール姿のままだ。
 美桜から託されたアイテムたちのおかげで、牙たちは聖地の聖気の中でも、無傷で進めた。
 託された装備は、
 牙は包丁(POPの刻印が黄金色に光って、おしゃれ☆)。
 美紅に、と、かわいすぎる三角巾(美紅は大学生)。
 若木くんにでもいーやーとなげやりに託されたのは、まな板(盾はもちろん、兜のように頭ガードもでき、付属のベルトで背負えば、背中も守れる、優れもの?)。
 それから、パーティーアイテム(?)の母の愛情弁当と、なぜか━━ポップコーン。
 牙は呆れたが、母はマジだった。

 聖地を踏み入れた途端、ポップコーンが音を立て、光り出すと、オプションのように、ファンネルのように、二人の周りに舞い飛び、聖なる気を無効化したのだ。
「もーう、わけわからん! いみふ!
 てかなにこの包丁⁈ 無双???」
 銀次の手下なのか、やってくる聖なる刺客を包丁が一網打尽し、
 若木のまな板が、要所要所でガードする。
 なぜか、動物の手下ばかりだった。
「ここは、動物園か?」

「あら⭐︎ 忘れてたわ。ポップくんは、トラップなんて物ともせず、物理攻撃で突進してたから」
 美桜が、煮物を掻き混ぜながら、独り言。
「ママってば、てへぺろ⭐︎」

「うわぁぁぁぁぁ!!!」
 牙が落とし穴に落ちていく。
「綺麗だから、つい壁の石触っちゃたよ! 僕ってバカ〜!!!」
 ━━ただし、シーフ・スキルが皆無だった。
 若木が駆け寄るが、無情にも、穴は板のようなものですぐ塞がれてしまった。
 殴るも、自分の拳が痛くなるばかり。

「……。イタタ」
 尻を撫でながら、立ち上がる。
 見上げるも、白い空が広がり、登るところが見当たらない。
「ここは……?」
 手元には包丁のみ。
 弁当もポップコーンも、なんもない。
 若木にちゃっかり持たせていた弊害か。
 人間の時のなごりか、アイテム収納力が波でなかった、特にリュクのなかが。
 <聖地の毒>で、またぶっ倒れるかとお思いきや、ここではなぜ平気だった。
「なんだここ?」
 進むと、
 一際目につく、
 <大きな石造りの壁>と、
 千はありそうな、塚……。
「……お墓???」

「なんだ?」
 牙がなにげなく壁に触れると、

「来ましたね、聖魔様」

 大きな<獣>が現れる。
「グ、グリフォン⁈」
 ライオンの胴体。ワシの頭とくちばし、鉤爪。そして、翼。
 ━━後退る牙。
「ようこそ、カルワリオへ」

「せ、聖魔……?
 カルワリオ?」
「ポップさまから、メッセージを預かっています」
「メ……」

「牙、美紅、いつかくるのを待ってたよーん」
「……お、親父?」


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