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【SB】ワイルド・ブラッド:第1章 1 パワフルセクシーbomber‼︎‼︎ 

▼前回▼


「あ、新しい献血ルームだ♡」
 厚底ブーツで街を歩いていた美紅は、ビルの上のほうのある、献血ルールに目を向けた。
 大学二年、ちょうど二十歳のお年頃の美紅の趣味は、献血だった。
 速攻ルームに向かう。
「お願いします!」

「はぁ〜」
 謝礼のトマトジュースを飲み干す。
 献血したばかりなのに、美紅の頬は紅潮《こうちょう》し、たっかいヘアケアでもつけてるかのように、髪はつやつや。お肌は、ぷるんぷるん。
 むしろ、献血前より、元気になっている。
 そう、美紅は、献血しても、ダイエットしても、リバウンド(?)する、ちょー増血体質なのだ。
(体がピンチと思って、血を増やすんだね)

  ***

 若木は珍しく、慌てていた。
 美紅に聞いた話、牙が一般ピープルを襲いに行ったというのだ。
「あの子、そろそろ、血に飢える時期だから」
(あの変態吸血鬼、どこに行きやがった⁈)
 マッハな速度で、太陽公園に向かう。
 そのだいぶ後ろを、美紅が追いかけている。
「ちょ、きみ、まって……!」

 新月の闇夜。
 お決まりに牙は、<男>に声をかけていた。なかなかに整った顔立ちだ。
「アハハハハ、いい感じの青年。今宵の出逢いに乾杯!」
「はい? なんだ、おまえ?」
「問答無用! いただきま〜す‼︎」
 牙の牙(?)が、青年に迫る!
「待てー‼︎」」
 現れた若木が、緑リュックから、にんにく、十字架などを放りまくる。
「吸血鬼バスタぁぁぁあ3‼︎!」
「ぐおおおお?!」
 あっけなく、牙がぶっ倒れる。
「ふぅ、やれやれ」
 一仕事《《おわた》》クールスマイルを浮かべる。
 そんな若木を、後ろから牙が抱きしめる。
「な⁈」
「今日は新月だからな。闇がオレを強くするんだ」
「何その設定⁈ 満月じゃなくて?」
「オレは、狼じゃないぜ、ハニー」
「痛っ!」
 若木の一つ結びの髪を、無理やり解く。
「このほうが綺麗だぜ、ベイビー」
 彼の柑橘類の香りにうっとりする。
「じゃ、いただきまあすっ‼︎!」
 口からのぞいた長い牙が、若木の首筋にヒット!
「いやだあああああぁぁぁぁ‼︎」

 きらきらりんなポップエフェクトはないけど、瞬く間に双葉の姿に変わる。
 目には、大粒のパールの涙。
「……ぐわぁぁぁ‼︎ 」
 牙も負けずの、大々々粒の怪物の涙。
「女の血なんか吸っちまったぜ! 今日はダメージもひとしお‼︎ ぐわあああぁぁ‼︎」
 若木=泣くと双葉。
 を、学習しない吸血牙は、
「きゅう〜〜〜〜」
 派手な音を立てて、ぶっ倒れた。

「は⁈」
 起き上がると、赤黒かった目が、黒く戻っている。
「ふ、双葉さん?」
 朦朧としながら、目の前の双葉に気づく。
「双葉さん、実はぼ、僕、双葉さんのこ……ぐげ⁈」
 双葉の蹴りが決まる。
「ねぼけて、2回も告白しようとしてんじゃねぇー!」

 牙を無造作に引きずって歩いていた双葉は、
「あれ?」
 どっかで見たような顔をみつけた。
「あれは???」

「はぁはぁはぁ」
 若木を追いかけていた美紅は、急に立ち止まった。
 太陽公園まであと少しだった。
「やば、夜だし、献血行ったらなぜかまた体重増えちゃったし……
 た、たぎってきた‼︎」

「牙のお姉さん? メガネどうしたんですか?
 は‼︎ もしかして、ギャップ効果狙って……?」
 呟く双葉を、メガネなしの美紅が見る。長い髪も下ろしている。いつもより、なんだか魅力的だ。
 その目がなぜか、金色に煌めく。
「きゃわ♡ かわい! 何この子!」
「……え?」
 双葉は野生の勘(?)で、危機を悟る。
 牙を捨て、自慢の俊足で逃げようとするが━━
「だーめ、逃がさないわよ、スウィーティ♡」
 後ろ襟を掴まれ、捕まる。
「す、すい……??」
「さぁ、少女よ、わたしの血をお吸いなさい!」
「━━は??」
 いや〜な予感がした。
「そういえば、赤羽が前に、家族全員吸血鬼だと言ってた?
 じゃ、じゃあ……お姉さんも……?」
 唾を飲み込む。
「や〜だ、スウィーティ♡ お姉さんなんて、他人行儀!       
 ━━美紅って、お呼びなさい!」
「………み……?」
 ミクはいきなり前ボタンを外し、服の肩をはだけた。
「さ、血を吸って!」
 爛々と光る目で、美紅は双葉に迫る。
「え、え……?」
 はだけた白い肩には、黒いブラの紐が見えちゃってる。
 ここから先は、厳重警戒注意報。
 高校生には、絵的にまずい‼︎
「ほらほらほらほら♡」
 双葉の顔が真っ赤になる。
 なんていうか、大人の色香が漂っている。
 血圧計があったら、瞬時にぶっ壊れそうだ。
「み、美紅さ……パワフルセクシーbomber‼︎‼︎」
 謎の言葉と鼻血と共に、双葉が気絶する!
 奇しくも、牙の黒く戻った瞳が、それを捉えていた。
「あぁ⁈ 双葉さん⁈」

 夜の闇が、すべてを見ていた。


▼次回▼


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