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【otsumami】楽曲紹介(中編)~未完の未来へ、餞と羽を歌にして~

まえがき

※こちらの記事は、2025年3月に投稿したものを間違えて削除してしまい以前のデータを修正、再掲したものです。


 本稿は、こちらの記事からの続きものとなっております。

 この記事でわたしがやることは、相も変わらず良い曲とそれを歌っている人を紹介するだけなので、何かの偶然でこのエントリに辿り着いた方はどの記事から読んでくださっても大歓迎です。

 それでは本題に。
 北海道は札幌を拠点として活動しているアイドルグループ「タイトル未定」のメンバー、冨樫優花さんがmikan名義で参加しているクリエイターユニット、otsumamiが5月22日にワンマンライブ『開花』を開催するとのことで。


 配信もあるんだって。

 前回に続き、今回は「第一章」とされている楽曲のうち後半にリリースされた6曲について触れていきましょう。今回もこのエントリを書くにあたりはじめて聴かせていただきました。お手柔らかに。

というわけで、全曲シングルレビュー(+α)続きます。

楽曲紹介(中編)

『さよならにさよなら』(2022.8)

 爽やかなバンドサウンドに乗るのは淡く儚い記憶。そんな夏ソング。
 7曲目で気付きましたがotsumami、さよならというか「別離」を唄う楽曲が多いですね。
 ただこの楽曲は別離の瞬間というよりも「既に"さよなら"してしまった人と過ごした季節、その断片を思い出す」詞世界ですね。巡りくる季節とともにその"さよなら"が遠くなっていき、色褪せていくことで「さよならにさよなら」していくのでしょう。
 mikanの優しいボーカル、いい意味で風のように流れるようなメロディがこの世界観を美しく表現しています。サビのリフレインが「まず音楽として惹かれるすてきな曲」ですよね。

 でも個人的にはこの歌詞の主人公、来年の夏もたぶん同じように未練がましく郷愁に浸っててさよならできてないと思う。そして突然インスタとかでその人の結婚出産のお知らせ投稿みたいなのを見てちゃんと落ち込むまでが様式美。

(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)


『サビしか知らない』(2022.9)

 otsumamiの楽曲はバンドサウンドが主ですが、この曲は特にエレキギターが印象的ですね~。刻むミュートに単音が重なるこの感じ、元バンドキッズとしては懐かしくなっちゃう。サビどころかまずイントロで心を掴まれました。

 いやサビ以外も聴けよ!!音楽をいちゃいちゃのファッションにするんじゃないよ!!!とか思いながら聴き進めてましたが、2サビ終わりDメロの展開~大サビ転調からのラストフレーズ"今は知らないまま"で見事に喰らいました。
 なるほどね~~、恋愛の楽しいところだけを享受してる瞬間の二人を「サビしか知らない」で表現してるんだ…はえーすっごい…と。

 その視点で最初から聴き直すと「分かり合った気がしてる」「同じメロディを繰り返す」「シラケる前に」「焦ったいから口づけをしよう」
 ようできてるな…MVのイラストもそんな情景が似合う大学生の恋愛感がある。いやちゃんと勉強しろ。ゼミとかちゃんと行け。教授の雑談とかもためになるからちゃんと聞いて卒業するんだぞ。

(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)


『忘れ者』(2022.10)

 こちらも「お別れ」を描いた楽曲ですね。折り目正しい譜割とミディアムバラードな構成、いきものを育てる国民的バンドとかが歌っても違和感ないと思います。「ご家族に勧めたいotsumamiの曲」上位(あと冒頭のメロでsumka『Lovers』をちょっと想起しました)。

 …と思いきやそれだけで終わらないのがこのユニットの楽曲で。
 2サビ後半(大サビ?)からのコーラスワークが本当に美しい。この重なりが走馬灯のように過ぎ去る思い出を表現しているかのようでとても素敵です。ここが楽曲の締めかと思いきや、長めにAメロをリフレインするラスト。mikanボーカルオンリーで「季節は終わってた」で容赦なく切るのがとても切ない。
 これ、ギター弾き語りオンリーで演ってほしいなぁ…原曲と印象大幅に変わる気がする。(個人的にはこちらの主人公のほうが「さよならにさよなら」してると思うのですが、まぁそれはそれとして)

 最近、公式サイトにてmikanの中の人が出演しているこの楽曲のClip Videoが公開されたみたいです(ワンコーラスのみ)。黒髪ボブが似合う素敵な方ですが、果たして誰なんでしょう。なぜか見たことある気がします。

(好き度:☆☆☆☆☆☆)


『うたのつくりかた』(2022.11)

 『うたのつくりかた』というタイトルで初手静寂のmikan独唱、そこから純粋に良いメロと良いボーカル。そして落ちサビの決め所でのアカペラ。
こんなストロングスタイルの良い曲お出しされた時にわたしは感想で何を書くか迷うのです。だって「良い曲です!おすすめです!聴けばいいと思います!」くらいしか言うことないので。
 こういうのが出せるくらい、順を追って聴いていくとmikanのボーカル表現が幅を増しているといいますか、等身大の気を張りすぎていない、かつ自身の軸がより楽曲に乗っているような上手さになっていますよね。

 この楽曲、CMソングのタイアップが付いたみたいで、第一章楽曲の中で再生数が多いのはそれも加味されているのでしょうか。あとYouTubeコメントで察するに広告打ってたのかな。

 また、青葉さんの作風もあると察しますが音色、和音の使い方などでタイトル未定『』とかなり共通するものを感じました。異母兄弟的な。

(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)


『冬のうた』(2022.12)

 わたし的に『冬のうた』と聞けばKiroroの名曲が想起されるのですが。
ハードル高めにして聴いてみたら、これがまた…良い曲…いやそんなことされたら泣きそうになるじゃないですか…ずるいですよ…

 楽曲としては6/8拍子、弾き語りから徐々にアコースティックセットな楽器が加わる構成なんですが、Dメロ~キー上げ大サビ転調がエモーショナルすぎて。誘うアコーディオンにまんまとやられました。この曲は絶対フルで流れを味わいましょう、サビしか聴かないのはダメダメです。こういう「シンプルだけど、でも良いんだよな~」に弱いんです。「音数増やせば感動するってもんじゃないんだよ」のひねくれ思想わたしを完全に手玉に取っている。くやしい。

 そもそもイントロから軸としてこの曲を支えているアコギのカッティング(Gコード?)がシンプルかつ超いいんですよ。コブクロの弾き語りカバーとか学生時代やってた身としてはたまらん。

そしてそこに乗るのがこの詞ですよ。

雨の朝も 星の夜も
真面目にいつもやってきたじゃないか
だから今日は 今日くらいは
全てを忘れてしまえ
おつかれさま
本当にここまでよく頑張った

作詞曲:otsumami,2022年,otsumami『冬のうた』より引用

 「頑張れ」じゃなくて「よく頑張った、おつかれさま」。こんなの一番言われたい言葉じゃないですか(現在、筆者が中途採用で転職しはじめての年末度を迎えようとしているためそのバイアスが多めにかかっていることは認めます)。

 リリース1年後にアコースティックverの動画を出されております。楽曲の優しさ、mikanのボーカルから得られる癒しが増しますねこのアレンジ。
今まさにこの記事を書いているタイミングで楽曲を摂取した身なので原曲→こちらのコンボで二重の極みかと思いました。

(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆)


『醒めない予感』(2023.1)

 12ヵ月連続リリースのトリを飾るのは、ポップロック!ロックロック!な切れ味のいい楽曲。『タイムカプセル』に続き、テレビ番組「部活ピーポー全力応援!ブカピ!」のタイアップとのことです。お久しぶりです、ブカピ。

 これは生バンドで聴きたいですね~、キメがめちゃくちゃ気持ち良い。
1サビ後の間奏、バンドメンバーの渋いおじさま達によるどっしりとしたアンサンブル、それに微笑みながら乗るmikanの姿が曲を聴いただけで頭に浮かびます。妄想です。

 しかしこのmikan、明らかに楽曲仕様に歌い方を変えてますね。この気だるい感じ、聞き覚えがあるのでおそらく意識されている元があるのだと察しますがパッと出てこない。有識者ご教授を。

 「本気出すのは 今ここから」で第一章を締め、次なるフェーズに進むという形が、まだ未完かつ未定の未来に溢れたmikanをフロントに置くこのグループのコンセプトとしてとても期待が持てますよね。「ここまでが自己紹介だよ」と言いますか。

↑こちらの13:37~よりスタジオライブ映像でございます。
(ほかにも弊noteで紹介した楽曲では、1曲目に『きみのものにだけ』5曲目に『タイムカプセル』が披露されています)


(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)


 そんなわけで素敵な第一章の楽曲群でしたが、(前編)(中編)(後編)という形でotsumami全曲レビューを構成するにあたり触れておきたいものがあるのです。


 以下がこちら、otsumamiの名曲カバーEP。

1st cover album 「ピアノと私#1」(2023.3)

<収録曲>
1.『春の歌』
(オリジナル:スピッツ)
2.『3月9日』
(オリジナル:レミオロメン)
3.『深夜高速』
(オリジナル:フラワーカンパニーズ)
4.『太陽4号』
(オリジナル:10-FEET)
5.『若者のすべて』
(オリジナル:フジファブリック)

公式チャンネルでカバー動画が上がっていますが、その中より5曲の音源が収録されています。「ピアノと私」というタイトル通り、ピアノ弾き語りオンリーのストロングスタイル。よりmikanの歌声が響きます。

 曲目を眺めると、全て男性バンドのカバーですね。単なる"コピー"でなく、「mikanがこの曲を歌ったらどうなるか」がそこに鳴る素敵なカバー集だと思います。
 彼女の癒されるボーカルは根底にありつつも『深夜高速』では原曲リスペクトさながらで感情をぶつけており、かつmikanとしての節回しでもあるという素敵な歌唱が聴けます。

わたし的おすすめは、原曲贔屓なのもありますが『若者のすべて』。

 Aメロの軽快かつ爽やかなボーカルはまるでCMソングのようで、原曲とは違う味わい。でもBメロ~サビになると原曲の儚さはしっかり存在しており、同時にボーカルが非常に等身大であるように感じました。mikanが歌うことに確かな意味があるカバーだと思います。


2nd cover album「ピアノと私#2」(2023.10)

<収録曲>
1
.『渋谷で5時』(オリジナル:鈴木雅之、菊池桃子)
2.『悲しみがとまらない』(オリジナル:杏里)
3.『セーラー服と機関銃』(オリジナル:薬師丸ひろ子)
4.『レモネードの夏』(オリジナル:松田聖子)
5.『真夜中のドア~stay with me』(オリジナル:松原みき)

 時系列は飛びますが、こちらの第二弾も。この時期はmikanが冨樫優花であることを明かして以降のリリースですね。

 それもあってか、本作は全曲mikanによる選曲であり「いま うたいたい うた。」がコンセプトとなっています。彼女は1980~90年代初頭のポップスや歌謡曲から強く影響を受けているとのことで(上記リンク参照)本人セレクトによる5曲が収録されています。

 #1に続き、選曲は比較的王道寄り(強いていうなら太陽4号はサプライズ?)ですが、松田聖子で『レモネードの夏』を選曲してくるのが面白いなあと。これまた彼女の声質にマッチしてるんですよね~。

(本人弾き語りのSWEET MEMORIESもいいぞ)(前回も載せてるけど)

 わたし的おすすめは、こちらも「そもそも曲が好き」もありますが『悲しみがとまらない』です。

 他アーティストの話になってしまいますが、わたしがこの曲を知ったのはこれまたカバーのAcid Black Cherryによるものなんですよね。(『Recreation 3』はいいぞ)(サブスク復活やったね)

 カバーのいいところって、ジャンルや性別関係なく「アーティストを経由して時代を超えられる」ことだと思います。音楽に限りませんが、どうしても年齢・世代や嗜好の違い、価値観の変遷により過去の時代のコンテンツの良さが現代に届ききらないということはある種仕方のないことで。

 それを「自身の追っているアーティスト(いま風に言うと推し?)」を通じ原典との接続ができる、そんな導線になっていると思うのです。
 そういう「他アーティストを経由して好きになった曲」を「いまわたしの魅かれているボーカリスト」が歌ってくれていることが嬉しくて。

 おそらくリードとして売りたいのは『深夜で5時』、世間的に支持が高いのは近年のシティポップリバイバル影響もあり『真夜中のドア~stay with me』だと思いますがわたしの好きはこれ。

 ちなみにわたしの杏里おすすめ曲は『夏の月』(幼少期父親がめっちゃ車で流してた影響です)。

 ABCのおすすめ曲は『黒猫~Adult Black Cat~』です(ベタですみません、でもこれyasuがやってきたジャズロック×大衆向けポップソングの完成形だと思います)。


 話は戻り、otsumamiについて。
 前述したワンマンライブの前月である4月4日に新曲を出すとの情報。その名はライブタイトルと同様に『開花』。来るべき公演に向けて、その力強い意志が込められた楽曲であることが予想されます。たのしみかん🍊

それでは、また(後編)で~。

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