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小物写真が劇的に変わる“100均グッズだけで作る”物撮りライティング

ハンドメイド作品や小物の商品写真を撮っている方、
これから撮ってみたいと思っている方へ。

作品は良いのに、写真で損をしていませんか?

「室内灯の下、机の上で撮ると、画面が暗い・黄色い・安っぽく見える」
「背景に生活感が出てしまう」
「光が硬く、影が濃すぎて細部が見えない……」

ハンドメイド作家さんで、このような悩みを抱えている方は少なくないかと思います。SNSやECサイトでの販売において、写真は「商品の命」です。
実物のクオリティがどれほど高くても、写真の印象だけで価値が下がってしまうのは非常にもったいないことです。

とはいえ、本格的な一眼カメラやストロボ機材を揃えるとなると高額ですし、使いこなせるか不安で二の足を踏んでしまうのも無理はありません。
そこで本記事では、初心者でもすぐに実践できる
「100均ショップのグッズだけで作る低予算ライティング」
を紹介します。(ライティング=照明を組むこと)

自己紹介
まずは自己紹介を。
カメラマン/写真家の稲田大樹と申します。SNSや雑誌への寄稿、テレビへの素材提供や出演などで京都の風景写真家として活動する傍ら、普段の仕事では家具や雑貨などの商品撮影(物撮り)をしています。
また、京都の写真を使ったグッズ制作・販売も手掛けており、撮影から販売までを自分自身で行っています。

極彩色の京都 / 京都浪漫紀行
美濃焼タイルマグネット - ウッドフレーム


写真は高価な機材の有無よりも「光の当て方」ひとつで劇的に変わります。
今回は、初心者でもやってみやすい100均(ダイソー)で買ったものだけで再現できる手法に絞って解説をまとめました。
本記事は主にハンドメイド作品の撮影を想定していますが、商品撮影や物撮りを学びたい写真初心者の方にも、ライティングの基礎として役立つ内容になっています。

このnoteで学べること
・100均グッズだけで商品写真をプロ級に仕上げる方法
・1灯~3灯のライティングの違いと使い分け
・簡易ディフューザー(光を拡散させる道具)の作り方
・「白ホリ(真っ白な背景)」風の撮影空間を作るコツ
・商品に高級感を与える光の方向(ライティングデザイン)
・背景色を変えて世界観をコントロールする方法
・初心者がやってしまいがちな失敗例

メンバーシップに加入して頂くことでも読んでいただくことができます。
また、オンラインコミュニティ「京都よきかな」Discordでも無料で公開しています

それではここから具体的なセッティング方法と理由を解説していきます。

ビフォーアフター
Before:100均の白画用紙 + 室内照明のみ
After: 100均の白画用紙 + 100均LEDライト + トレーシングペーパー

◆作例紹介
ダイソーライティングで撮影した作例を紹介します。

例① レジン作品

こちらの作品はウッドレジン作家753WORKS様よりお借りしました!

例② スワロフスキーのネックレス
例③ 懐中時計
例④カルサイト結晶化したアンモナイト


この記事が役に立つ方
・ハンドメイド作品をSTORESやminne、Creema等で販売している方
・作品写真の質を上げたいが、具体的な方法がわからない方
・高価な機材を購入することに抵抗がある方
・物撮りに興味があるが、何から始めていいか迷っている方

この記事はプロ向けの高度な照明理論などではなく、
「プロが考えた、初心者でも再現可能な仕組み」を記事にしたものです。
一部専門用語も登場しますが、すべてを完璧に理解する必要はありません。

実際にやってみて、また読み返すことで知識を深め、ライティングの技術向上につながれば幸いです。

【販売部数に応じて価格を改定します】
10部まで:1000円
60部まで:1,500円 (現在価格)
100部まで:2,000円
お早めのご購入がお勧めです。

※こちらの有料記事は随時加筆・アップデートを行います。
2026/5/27 一部修正、デフューザーの解説追加

◆こちらの記事はオンラインコミュニティ「京都よきかな」のメンバー専用Discord内では無料公開しています◆

ハンドメイド作品は色々な種類があると思いますが、
まずは京都の写真を使って製作したウッドフレーム+フォトタイルを使って、立体的なものから解説していこうと思います。


1. 普通に撮ると「なぜ」安っぽく見えるのか

まずは、木目のテーブルに小物を置いて、そのまま撮ってみます。

◆室内灯でそのまま撮影

室内灯+木目のテーブルでただ撮っただけの写真
上から見た図

室内灯だけで撮影した際、「なんか違う……」と感じる違和感。
それはカメラの性能不足などではなく「光のコントロール」ができていないことにあります。

主な要因は以下の5点です。

1-1 室内灯だけで撮るとイマイチになる5つの理由

①室内灯は光源が小さく硬いものが多い
一般的な天井照明(シーリングライト等)は、撮影用ライトと比べると発光面が小さく被写体から距離があるため、写真上では「小さな点」のような光源として作用しやすい傾向があります。

シーリングライト
円盤型の室内灯

ここで重要なのは、照明自体の物理的なサイズではなく、「被写体から見て、その光源がどれくらいの大きさに占有されているか」というところです。たとえ直径が60cmの円盤型のライトであっても、2メートル以上離れた天井にある場合、(被写体のサイズにもよりますが)被写体から見れば非常に小さな光の塊にすぎません。
光源が小さいほど影の境界線はくっきりと「硬く」なり、コントラストが強調されます。
その結果、ハイライト(明るい部分)が白飛びしやすく、素材本来の柔らかさや繊細さが損なわれてしまうのです。
特に布は繊維の凹凸が強調されて硬く見え、陶器や樹脂は必要以上に反射して質感が損なわれることがあります。
本来はやわらかさや繊細さが魅力である素材ほど、硬い光によって印象が単調になりやすいと言えます。

②真上の光(トップライト)は影が黒くなりやすい

被写体が小さな物であれば天井の光源の大きさ自体はさほど問題がないこともありますが、その場合でも他の原因で写真がイマイチになってしまいます。それが、影の出方です。
室内灯は基本的に真上からの光であることが多く、方向を選びにくい固定された光です。真上からの光は被写体の下に濃い影を落としやすく、立体の側面に回り込む光が不足します。

天井からの光だけで撮ると影が真っ黒に濃くなっている

影が黒く潰れると階調が失われ、立体感や素材感が弱まります。
要は明るい部分と暗い部分の差が激しすぎて、見せたい部分がちゃんと見せられない状態ということです。

また、室内で撮影しようとすると影が邪魔になる原因も、光源が頭上にあることです。光源が上にあると、スマホや自分の頭の影が撮りたい物にかかり、邪魔になってしまいます。

スマホ自体の影が写ってしまっている

ちなみに、真上からの光はトップライトと言って、ちゃんとした使い方をすれば有用な光です。
演劇や舞台などで見られる上からのスポットライト、あれがトップライトです。

トップライト

③色温度が偏る
家庭用照明は暖色系(電球色など)が多
く、そのまま撮ると白が黄色く写ります。最近のスマホなどは色温度を自動で補正しますが、補正が効きすぎて青くなりすぎたりと色がブレることもあります。
ハンドメイド作品では色の再現性が重要です。色がおかしくなっている写真は、それだけで品質に不安を抱かせる原因になります。

色温度補正が効きすぎて全体が青くなりすぎている例

④光量不足
生活用の明るさは、撮影用としては不十分な場合が多いです。
光が足りないとカメラはISO感度(光の電気信号をカメラ内部で増幅する機能)を上げて明るさを補おうとしますが、これによって画像にノイズ(ざらつき)が生じます。
スマホの自動処理でノイズを消すと、今度は質感が「のっぺり」としてしまい、シャープさが失われます。

高感度ノイズで画質がざらざらになってしまっている例

⑤光の方向が固定されている
最後に光の方向性です。物撮りでは、被写体の形状や質感に応じて魅力が引き立つように光の当て方を考えます。
斜め方向から光を当てたり、逆光気味にして縁を際立たせたり、レフ板で影を持ち上げたりと、意図的に光を組み立てます。

しかし、天井照明は動かすことができないため、被写体の形を際立たせるなどの「意図的な演出」が不可能になります。「ここをこうしたい!」と思っても、思う通り動かせないということですね。

1-2 問題の本質は「光のコントロール不足」

以上から、室内灯だけで撮るとイマイチに見える問題の本質は光そのものではなく、光をコントロールできていない点にあると考えられます。
つまり、光をコントロールすることで、作品の見せたいところ、良いところを引き出すことができます。

ではさっそく光をコントロールしてみます。
が、
その前にまずやってみてほしいことがあります。

それは、背景の変更です。
小物を撮影すると言っても、部屋が散らかってるとか、オシャレな背景がない・・・とか、どこを背景にするかで頭を抱える人もいるかと思います。

2.背景を整える

白い画用紙を使うだけで背景が整理される
小物の物撮りでは、被写体そのものよりも背景が写真の印象を大きく左右します。特に初心者の場合、「何をどう変えたのか分からないが、なぜか整って見える」という変化が起こりやすいのが背景です。
使用するのは、まずは色画用紙 B4の白紙。
色画用紙10色入りだと、白以外の色も試すことができます。

この白い紙を敷いて、背景を変更します。

白い紙を敷いた状態
上から見た図

撮影する小物の大きさによっては、背景が白い紙からはみ出してしまうことがあります。この写真だと、後ろに若干、机の茶色が見えてしまっていますね。

10色入りの色画用紙だとたくさんの色を試すことができますが、大きさがちょっと小さいので、背景が足りないことがあります。そんな時は、大きめの画用紙を使いましょう。
こちらは特厚口画用紙(4つ切り)です。

特厚口画用紙(4つ切り)

◆背景を変更

四つ切りの画用紙を敷いた状態
上から見た図(さっきより紙が大きい)


背景を白い画用紙に変えることで得られる4つのメリットを解説します。

2-1.白背景に変える4つのメリット

① 画面内の情報量を削ぎ落とす
まず、背景を白に変えることで「画面内の情報量」が劇的に減ります。
部屋の壁紙、机の木目、周囲の日用品などはすべて、無意識のうちに買い手の視線を分散させてしまう要因です。
白い無地の背景にすることで余計な情報が消え、視線は自然と主役である被写体へ集まるようになります。
これが「整理整頓された印象」を生みます。

② 光の反射を安定させ、本来の色を出す
背景を白い紙に変えることは、見た目をスッキリさせるだけでなく、写真の「質」を根本から安定させる役割があります。

明暗の基準が揃う
白い紙は光を反射しやすいため、背景の明るさが安定します。
例えば木目の机などは、木目の色や塗装のテカリによって変に光を反射してしまい、明るい部分と暗い部分のバランスを複雑にしてしまうことがあります。白背景にすることで明るさのバランスを整えやすくなるため、光をコントロールしやすくなります。

例)右側にテカりがあり左側はとの明暗差が強い

「色被り」を防ぐ
背景に強い色があると、その色が商品に反射してしまい本来の色を濁らせてしまう「色被り」という現象が起きます。
白背景は光の反射がニュートラルなため、ハンドメイド作品などの繊細な色味を正確に再現するのに最適です。
例えばこれが木目机で撮影した場合、机から反射した茶色が作品に乗ってしまったりします。金属だと特に顕著に反射が写ります。

机の茶色が反射している
赤と青が反射している

また、背景が茶色だとスマホの自動の色補正が基準を見つけられず、過度に青くなったりと色がおかしくなってしまうこともあります。
茶色の机で撮ろうとすると色温度の自動補正が青くなりすぎることの原因も、背景の茶色に補正をかけすぎていることがあったりします。
背景を白にしておくと、スマホの自動補正がホワイトバランスを補正しやすくなります。

③ 背景を整理する
例えどんなに散らかったり生活感が溢れる部屋だったとしても、
背景を物理的に白い紙で遮断することで、そういった余計な情報の一切がなくなります。

とっ散らかった部屋を背景に撮ると、見栄えが悪い

④ 背景が写真全体の印象を決める
写真は画面の大部分を背景が占めます。
小物を撮影する場合、面積比で見れば背景の方が圧倒的に広いため、人は無意識にその面積の大きい部分の色や明るさに印象を引っ張られます。
背景が暗ければ写真はシックな印象になり、暖色であれば温かい雰囲気になります。つまり、背景は単なる「後ろの面」ではなく、写真全体の空気感を決定する「土台」なのです。
白背景は、その中でも最も「清潔・誠実・正確」という基準を伝えやすい選択肢といえます。

ただし白背景はあくまで一例であり、絶対ではありません。
重要なのは「背景を整理し、商品を目立ちやすくする」ことです。
雰囲気を出すためにアンティークな木製の机を使ったり、グレーや赤、青のペーパーを使うことも背景の整理に有効です。

3. USBライトによるライティング

背景を整えたところで、USBライトを使って照明を当てていきます。
ここでは「1灯・2灯・3灯」と段階を追って、その役割を解説します。
使用するのは「クリップ付きUSBライト」330円のライトです。

3-1. メインライト(1灯目)の役割

ライティングの主軸となる光を「メインライト」と呼びます。まずは基本となる「左斜め前」からの照射を試しましょう。

◆1灯目

左斜め前からライトを当てた状態
左斜め1灯 上からの図

光を当てる基本方向
左斜め前から光を当てる-立体感と質感の強調-


まず1灯目は左前から光を当てます。
左斜め前からライトを当てる配置は、物撮りにおいて基本的で安定したライティングの一つです。
視覚的には、立体感の強調、質感の描写、自然な印象の形成といった効果が生まれます。

コラム
なぜ右ではなく「左斜め前」が基本となるのか
① 視覚の慣習と視線誘導
横書き文化圏では、視線は「左上から右下」へ動く習性(Zの法則・Fの法則)があります。
左側に光(ハイライト)を置き右側に影(シャドウ)を作る構成はこの自然な視線の流れに沿うため、違和感なく商品へと視線を導くことができます。

② 芸術的背景と美意識の形成
フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』に代表される古典的な西洋絵画の多くは、左上に光源を設定しています。
数百年にわたりこの様式の表現に触れ続けてきた結果、私たちは「左からの光」を直感的に「正しく、自然で、美しいもの」として受け入れる美意識が形成されているという説があります。

③ 日常生活における身体的要因
人口の多くを占める右利きの人が作業を行う際、右側に光源があると手元の影が作業を妨げます。
そのため、多くの環境では左側に照明を置くことが習慣化されています。
この「左に光がある状態」が日常の風景として脳に定着しており、最も心理的な落ち着きを感じさせる配置となります。

④ 心理的・印象的な差異
心理学的な観点では、左からの光は「肯定的・活動的・未来志向」といったポジティブな印象を与えやすいとされています。
対して、右からの光は「静寂・内省的」あるいは「ドラマチックな違和感」を演出する際に用いられることが多く、商品の魅力をストレートに伝えたい場面では左側がより適していると考えられます。
もちろん、これらは絶対のルールではなく、商品の形状や見せたい特徴によっては右からの光が正解となる場合もあります。
しかし、まずは「左斜め前」からライティングを基本として組むことで安定した結果を得ることができるでしょう。

左斜め前からメインライトを当てる視覚的効果を以下で解説します。

左斜め前ライトの視覚効果
①立体感の強調

まず立体感についてです。光が斜め方向から当たると、被写体の明るい面と暗い面がはっきり分かれます。
正面光のように影がレンズの後ろに隠れることがなく、側面に柔らかな影が生まれます。
この明暗差が形状の情報を増やし、被写体に厚みや奥行きを感じさせます。
小物の場合、角や縁に自然な陰影が出ることで、平面的な印象を避けることができます。

②質感の表現
次に質感の表現です。布や紙、木材などの細かな凹凸は、斜めからの光によってわずかな影を作ります。
この微細な影が素材の手触りを視覚的に伝えます。真正面の光では見えにくかった繊維や木目の流れが、斜光によって浮かび上がります。
ただし光が硬すぎると陰影が強調されすぎるため、拡散させることでバランスを取ることが重要です。

③視線誘導の効果
視線誘導の効果もあります。左側が明るく、右側に向かって徐々に暗くなる構図は、画面に流れを作ります。
人の視線は明るい部分から入り、暗い方向へと動く傾向があります。
そのため、主役となる面を左寄りに置くと自然な視線の導入が生まれます。
これは商品写真において安定した構成を作る要素になります。

④自然光に近い印象
さらに、自然光に近い印象を与える点も特徴です。私たちは日常的に窓からの横光を見慣れています。

学校の教室は黒板から見て左前の窓から光が射している

そのため、斜め前からの光は無意識に自然で落ち着いた印象を与えます。
例えば学校の教室なんかも、教室の窓から光が入ってきますよね。そういった光も斜め前からの光です。ほとんどの学校が、黒板の左斜め前から光が来るように設計されているんじゃないでしょうか。
人工的な強さを感じにくく、商品が生活空間に溶け込むイメージを作りやすくなります。

⑤背景との関係
背景との関係も重要です。斜め前からの光は、被写体の後方にやわらかな影を落とします。この影が床面や背景との接点を示し、被写体が宙に浮いているような不自然さを防ぎます。

捕捉:ストロボ直当てで真正面から光を当てるとどうなるか
最初は訳もわからず正面から光を当てがちなのですが、これは狙ってしないとハマりにくいライティングになってしまいます。

実際にやってみると、こうなります。

正面から光を当てた例

光を真正面から当てることを、「ストロボ直当て」と言ったりするのですが、この真正面からのライトは、状況によっては強い効果を持ちますが一般的な物撮りや商品撮影では好まれにくい傾向があります。
その理由は、光の性質と視覚の感じ方にあります。

正面光(ストロボ直当て)の特徴

① 真正面からの光は立体感を感じる影ができにくい
まず、真正面からの光は立体感を感じる影を作りにくいという特徴があります。光がカメラと同じ方向から当たって影が後ろに伸びるため、陰影が見え辛くなってしまいます。
影は立体感を伝える重要な要素です。影が弱いと形状の情報が減り、被写体が平面的に見えやすくなります。小物や質感を見せたい商品では、この平板さが不利に働くことがあります。
例の写真だと、ウッドフレームの後ろに影が隠れてしまい、下部分の影がほとんどありません。これだと、奥行きがわからなくなってしまっています。

② 強い反射が起きやすい
次に、反射の問題があります。
正面から強い光を当てると、金属やプラスチック、コーティングされた紙などに強い反射が生じます。反射はカメラ方向に戻りやすいため、白飛びやテカリとして写り込みます。これにより質感が失われたり、安価な印象を与えたりする場合があります。例で撮った写真も、テカリで一番見せたい部分が白く濁ってしまっています。

③ 光が均一になりすぎる
さらに、光が均一になりすぎる点も挙げられます。
真正面からの光は明暗差を弱め、コントラストを平坦にします。
広告写真や商品写真では、光と影のバランスで素材の良さを表現しますが、直当てではその設計が難しくなります。
特に布や革、木材などの微妙な凹凸は、斜めからの光でこそ立体的に浮かび上がります。

④ 正面当ては硬い光になりやすい
また、正面からのストロボ直当ては光源が小さくなりやすく、硬い光になります。
硬い光は影の縁を強調し、細かな傷やシワを目立たせることがあります。
例の写真だと、ウッドフレームの細かい木目が見えています。
この木目に関しては見えても良いとは思いますが、このように小傷が目立って商品が傷だらけに見えてしまうということもあるので注意です。
ファッション誌であえて用いられる場合は、その硬さや即物的な印象を演出として利用していますが、商品を丁寧に見せたい場面では必ずしも適しているとは限りません。

以上の理由から、基本的にはライティングでは斜め前からの光を当てることを推奨します。

捕捉:正面からの直当てが悪いわけではない
一方で、正面直当てが常に悪いわけではありません。
記録写真やスナップ、あるいは意図的にフラットで無機質な印象を作りたい場合には有効です。
重要なのは、光がどのような情報を削り、どのような情報を強調するかを理解することです。

「クリップライトを使う理由」
今回使用しているライトは、クリップタイプのライトですが、なぜクリップライトを使うのか?という疑問が浮かぶかもしれません。
それは、「クリップライトは操作性が高いから」です。
クリップライトは土台がクリップになっているため、棚や机などに簡単に固定することができます。
さらにアームが付いているタイプであれば、光の向きを自由に調整することができます。
本体の向きを左右に動かしたり、アームを使って上からの光にしたり、下から見上げる光にしたりと、光源の位置を細かくコントロールすることができます。
商品撮影では「どこから光を当てるか」によって、影の出方や立体感が大きく変わります。
そのため、光源の位置を自由に調整できるライトはとても扱いやすいのです。
今回はクリップ部分を机の上に置いて使用します。
もしすぐに滑って動いたりしてやりにくければ、両面テープやマスキングテープで動かないように軽く貼っておくのも有効な対策です。

3-2. 補助光(2灯目)による影の調整

1灯目を当てて改めて見てみると、光が当たっている部分は明るくなっていますが、それ以外の光が当たらない部分の影が強く出ていることがわかるかと思います。
2灯目は、メイン側の影を和らげる補助(フィルライト)として機能させます。

◆2灯目

2灯目を当てた状態
上からの図

①左後ろ側から補助として光を当てる
左前のメインライトで出来た影を中和するように、左後ろから2灯目を照射します。
この時、ライトをあまり後ろにやりすぎると、撮影するカメラ(スマホなど)のレンズの画角内にライトが入ってしまうことがあります。
そうするとレンズ内で乱反射が起こって余計な光が写真に写り込む、「フレア・ゴースト」と呼ばれる現象が生じてしまうことに注意です。

②配置と注意点(フレア・ゴースト対策)
フレア・ゴーストとは、太陽や夜のLED街灯など強い光源によってレンズなどの中で光が反射することで写り込んでしまうムラや楕円のような形で写ってしまうことです。
フレア・ゴーストが発生してしまった場合は後ろに行きすぎなので、ライトの位置を少し手前側に移動させる、レンズの画角に入らないぐらいに左側に離すことなどで対策することができます。
スマホで夜景を撮ろうとすると、変な丸いものが写り込んでしまったことはありませんか?あれがゴーストです。

2灯目までの効果
ここまでで、室内灯だけの写真とは明らかに違う状態になったのがわかるかと思います。

室内灯でそのまま
光を2灯当てた状態


しかしまだ「商品として売る写真」としてはもう一歩欲しいところですよね。
光の質、背景処理、そして印象設計まで整えて初めて、写真は“商品力”を持ちます。
ここから先は、その具体的な整え方を解説します。

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