重さに愛情がある、と思った
突然食べたくなる、ということ。福岡・美野島「yummy sugar」のシュークリーム
理由は、なかったんです。
その日は別に疲れていたわけでも、何かいいことがあったわけでもなくて。ただ、頭のなかにふと、シュークリームが浮かんだんです。それも「yummy sugar」の、あのシュークリームが。

食べたい、「もう一回確かめたい」。あの重さを、手のひらで感じたくなったんだと思います。
美野島の細い道を歩くと、白いひさしに赤いレトロなロゴが見えてくる。「CAKE SHOP yummy sugar」。

はじめて来たとき、すこし意外に思ったんです。こんな場所に、お菓子屋さんがあるんだ、と。でも今はもう、この街にあることがちゃんと腑に落ちている。派手な場所にいる必要なんてない。このお店は、必要な人が来てくれるお店だから。
yummy sugarは2015年の創業以来、基本材料を九州産にこだわり、一つひとつ手作りで作り続けています。生クリームも北海道産の低脂肪タイプで、甘さを控えめに。そのこだわりを知ってから食べると、シュークリーム一個の重さの意味が変わってくるんです。
袋を受け取ったとき、まず思うのは「重い」ということ。
シュークリームって、こんなに重かったかな。毎回そう思う。
袋の上から透けて見える、ふんわりと山なりに盛り上がった生地。粉糖が薄く雪のように積もっている。
ゆっくり口をつけた瞬間、シュー生地が予想よりずっとやわらかく潰れた。外側はほろほろと、内側はしっとり。そこへ、冷たくてなめらかなカスタードがどっと広がってくる。
「ぎっしり」という言葉はよく使われるけれど、ここのクリームはぎっしりというより「ちゃんといる」という感じです。逃げ場なく、でも押しつけがましくなく、生地のすみずみまで存在している。甘さは深くて、でも重たくない。後味がすっと引いていく。気がついたら、二口目、三口目を食べていた。
よく、シュークリームは「シンプルな分、誤魔化しがきかない」と言われます。
このお店のシュークリームを食べるたびに、その言葉を実感します。材料の産地を選んで、手作りで仕上げることを続けてきたお店の味というのは、説明しなくてもどこかで伝わってくる。理屈じゃなくて、体がわかる、というか。
丁寧に作られたものを食べているという感覚が、体のどこかに響くんだと思う。もちろん、ケーキも美味しいの。
帰り道、早く食べたくてすこし早足になりながら、思ったんです。
「突然食べたくなる」って、実はすごいことだな、と。

流行っているから行くわけじゃない。誰かに勧められたからでもない。ただ体が覚えていて、勝手に向かってしまうお店というのがあって。yummy sugarのシュークリームは、私にとってそのひとつになっていた。
次に食べたくなるのは、きっとまた突然です。
CAKE SHOP yummy sugar
福岡市博多区美野島3丁目11-7
TEL:092-203-8311
営業時間:11:00〜20:00
定休日:火曜日・水曜日
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