もし明日、自分に羽が生えたら?― セミの抜け殻から考えた人生とキャリア|あいまいな日々に、名前をつけて― 気づきとこころのエッセイ⑰
台風一過。
ここ数日の空模様が嘘だったように、久しぶりに真っ青な空が広がっていました。
どんよりとした曇り空だったり、突然のゲリラ雷雨だったり。
空のご機嫌に振り回される日が続いていたので、この青空を見ただけで、なんだか外を歩いてみたくなりました。
少しだけ、気分転換。
神社のように木々が多い場所を歩いていると、真夏でもところどころに木陰があります。
葉っぱの隙間から落ちてくる木漏れ日。
枝と枝の間からのぞく青い空。
「ああ、晴れっていいなあ」
なんて思います。
……ついこの前まで、連日の酷暑に、
「もう晴れなくていいです」くらいのことを思っていたのに。
人間というのは、なかなか勝手な生き物です(笑)。

🌳 ご神木に残されていたもの
そんなことを考えながら、ご神木のそばまで歩いてみました。
すると、幹のあちらこちらにセミの抜け殻。
ひとつ、ふたつ……。
よく見ると、けっこうあります。
しっかりと木の幹につかまったまま残っている抜け殻を眺めていたら、ふと不思議な気持ちになりました。

セミって、おもしろい生き物ですよね。
人生の途中で、暮らす世界がまるごと変わってしまう。
地中から地上へ。
しかも、引っ越しどころの話ではありません。
身体の形まで変わって、さらには羽までついて、空を飛べるようになる。
人間だって成長すれば身体は大きくなりますが、ある朝突然、
「あれ?背中に羽がある」
なんてことにはなりません。
もしなったら会社どころではありません。
たぶん午前休を取ります。
いや、一日休みます(笑)。
でも、セミにとってはそれが一生の中に組み込まれている。
地中で暮らしているとき、セミは何を思っているのでしょう。
もちろん本当のところはわかりません。
でも、想像してみるとちょっと楽しい。
「なんか最近、身体がムズムズするな」
「ちょっと上に行ってみようかな」
「なんだ、この殻。窮屈だな」
よいしょ。
パカッ。
「えっ……飛べるんですけど!」
そんな感じなのでしょうか。
ご神木の前で、私はしばらくセミの気持ちを想像していました。
暑さにやられているのかもしれません。
🌱 変わることと、変わらないこと
人間の目線から見ると、地中よりも地上のほうが楽しそうに見えます。
青い空があって、風があって、木々があって。
短い時間ではあるけれど、
「せっかく地上に出てきたんだから、思いっきり飛び回ってね」
そんな気持ちになります。
でも、セミからすると、どうなのでしょうね。
もしかすると、「いや、別に地中のままでよかったんだけど」と思っているセミもいるかもしれません。
人間だって同じですよね。
職場でも、「今のままでいいです」という人はたくさんいます。
それは決して悪いことではないと思っています。
今の仕事が好き。
今の暮らしが心地いい。
大きな変化は望んでいない。
それも、その人が大切にしている価値観です。
「変化すること=成長」と決めつけてしまうのも、少し違う気がします。
ただ、セミの場合はそうはいかない。
時期が来たら地上へ出る。殻を破る。羽を広げる。
そして、それまで経験したことのない世界で生きていく。
本人の希望を聞く面談なんてありません。
「来期から地上勤務でお願いします」
ほぼ強制異動です(笑)。
それでもセミは、新しい身体で、新しい環境を生きていく。
そう考えると、すごいですよね。
🪶 思いきって環境を変えるのも、アリなのかもしれない
私たちも、ときには環境を思いきって変えてみることで、今まで知らなかった自分に出会えるのかもしれません。
転職したり。新しい仕事に挑戦したり。知らない場所へ行ってみたり。
ずっとやりたかったことを始めてみたり。
地中にいるときには、自分に羽があることなんて想像できない。
でも、環境が変わって初めて、「あれ、自分ってこんなこともできたんだ」と気づくことがあります。
キャリアでも、そんな瞬間はありますよね。
一方で、劇的な変化がいつも正解とも限りません。無理をして環境を変えて、心や身体がついていかなくなることもあります。
セミの地上での時間が短いことと、それが関係しているのかはわかりませんが、「変わればいいってもんでもないよ」と、抜け殻が言っているようにも見えてきます。
……まあ、たぶん言っていません(笑)。
変わる勇気も大切。
変わらない選択も大切。
そして、変わってしまった環境の中で「さて、ここでどう生きようか」と考える力も大切なのだと思います。
☀️ もし、明日突然「羽」が生えたら
暑い夏の日。
一本の木に残されたセミの抜け殻から、キャリアやEQのことまで考えてしまいました。
やっぱり少し夏バテなのかもしれません(笑)。
でも、みなさんならどうでしょう。
もしセミのように、ある日突然、自分を取り巻く環境が劇的に変わったら。
戸惑うでしょうか。
「前のほうがよかった」と思うでしょうか。
それとも、「せっかくだから飛んでみるか」と思えるでしょうか。
そしてもうひとつ。
セミ自身は、地中と地上、どちらの暮らしを「いいな」と思っているのでしょうね。
「虫だからそんなこと考えてないよ」という答えは禁止です(笑)。
ぜひ、想像してみてください。

🌿 夏の一コマから、思いを巡らせる
木漏れ日。
真っ青な空。
ご神木に残された、小さな抜け殻。
いつもなら通り過ぎてしまう風景も、少し立ち止まって眺めてみると、そこからいろいろな思いが広がっていきます。
物事にちょっと興味を持つこと。
「なんでだろう?」「どんな感じなんだろう?」と想像してみること。
それもまた、「今ココ」に意識を向ける小さな時間なのかもしれません。
マインドフルネスの記事では、そんなことを何度も書いてきましたが、今回は私自身が夏の散歩の途中で実践していたようです。
地中にいる時間にも、きっと意味がある。
地上へ出る時間にも、きっと意味がある。
どちらが正解ということでもないのでしょう。
ただ、もし自分に羽が生えたことに気づいたなら。
ほんの少しだけ、飛んでみてもいいのかもしれません。
まだまだ暑い夏は続きます。
セミの声を聞きながら、ときどき木陰でひと休みして。
どうぞ、お身体ご自愛ください。🌳
✍️シリーズタイトル:あいまいな日々に、名前をつけてー気づきとこころのエッセイ
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