アカハラの被害を抑える「処方箋」として提示された書籍を正直レビュー。
毎年いくつかの大学で「アカデミック・ハラスメント」による懲戒処分が行われ、報道されるようになりました。昔は問題にもされず、被害に遭った人が我慢したり、黙って大学を去っていったりして終わっていたことが、今は懲戒の対象になっています。こうして、泣き寝入りするだけの時代は終わりましたが、研究指導の現場の混乱や迷いは依然としてあります。
『アカデミック・ハラスメントの解決 大学の常識を問い直す』4頁
懲戒の対象となるのは、明らかに民事上で損害賠償請求になると判断できるものや刑事罰の対象になるものに限られているように思う。なので、多くのアカハラが、懲戒の対象とはなっていないのが現実。懲戒処分が少ないうえ、処分が軽い。
ハラスメント相談員に相談しても解決に至らず、我慢したり大学を去る人は今現在も大勢いると認識している。追い込まれたうえに、もっと酷い結果を迎えた人も知っている。X(Twitter)で「アカハラ」と検索すれば、今もゴロゴロ出てくる。
大学などの高等教育機関で、学生・教職員のハラスメント相談に実際に携わっている相談員や対策委員、学内の紛争解決に関わる立場の方々に役立てていただければと思います。
『アカデミック・ハラスメントの解決 大学の常識を問い直す』5・6頁
このアカハラ解決本は、誰に向けられたものなのか。相談員・対策委員・紛争解決に関わる人に向けて執筆されたものであって、相談者に向けられて執筆されたものではない。
なので、アカハラに苦しむ人自身がこの本を読んでも、「は?」ってなる可能性があるかもしれない。
ハラスメント相談のために専任の大学教員ポストを置いた大学は広島大学が初めてでした。
『アカデミック・ハラスメントの解決 大学の常識を問い直す』6頁
広島大学は、何故、日本で初めて同じ大学内の教員をハラスメント相談員にしたのだろう?これを先進的な取り組みと教育機関では評価しているのかもしれないが、そもそも身内が身内を調査する構造に、本当の独立性が成立するのか疑問。
大学の身内である教員がハラスメント相談室を運営している限り、「学内有識者では完全な第三者性は担保できない」と言われても、言い返せないように感じる。
ハラスメント相談員は、完全なる独立性や中立性を担保しなければならないと思う。同じ大学内の教員である以上、利害関係がまったくないとは言い切れないのではないか。
キツい言い方になるかもしれないが、大学内の教員に相談を委ねるという前提そのものが、組織統治上の構造的な課題を内包しているように思う。
なので、私はハラスメント相談室自体を、第三者機関に全面委託するのが一番よいのではないかと思う。
この本の「はじめに」を読んだけで、お腹いっぱいになってしまった。
この本の感想は、また改めてnote記事に書く・・・かもしれない。
