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吾輩は少々ずんべらぼんである

ズボラ、と言いたくないし、そもそも言葉の響きが好みでないので使いたくはないのだが、わたしは少々ズボラだ。少々だ。

きついズボンはジャンプして履くトランポリンタイプだし、靴は靴べらを使わずに爪先をカッカッとやって履く足で太鼓の達人タイプ、ゴミ箱へ紙を丸めて投げるけど、外したらそれはそれで「おーい!」と言いながら拾いに行く自給自足タイプ。
電子レンジでチンするときは、一つずつじゃなくて一気にやるタイプ。
でも一気にやるけど熱が行き渡らなくてまたひとつずつやり直す、または面倒なのでそのまま食べてしまうタイプ。
この前はごはんパックを3つ重ねて温めたものの、そもそも少し蓋を開けないといけないのを開けもせずにあたためスターティン!したため、全然硬すぎるごはんができた。わたしはそのまま食べたけれど(元々噛みごたえあるのが好き)、友達はまたチンしていて二度手間どころではない。

大変な目に遭ったのは、パスタを作っている時だった。まずお湯を沸騰させる時間が嫌なのでポットで沸かす。ポットで沸いたお湯を、レンジでパスタが茹でられるという容器に投入、そこにパスタを入れる。そして宅配のおかずだけ詰め込まれているヘルシーが売りの冷凍弁当(冷凍室が小さいのに安いからと買い込んだら全部入り切らずその場でいくつか食べる羽目になった。ヘルシーもくそもない。)も解凍したかったので、それを下敷きにして、熱湯の入ったパスタを茹でる容器を上に乗せてレンジにぶち込み、レッツあたためスターティン!
お弁当は10分待たねばならないので、ひとつずつ温めていたらそれぞれが冷めてしまうし、電気代だって時間だってかかる。こういう小さな習慣が人生に影響してくるのだ、と、実は全て億劫なのをそれっぽい言い訳で誤魔化す。
自分のことなので簡単に誤魔化すことができるし、わざと誤魔化されてあげることもできるのである。便利でしょう。

しかし待っている、と意識すると、時間というものはなかなかすぎてくれない。
お腹が空いたらもう食物のことしか考えられない。理性があるとはいえ所詮動物。餌を待て、される犬は別に待つ必要ないのにかわいそうだ。早く食べさせてあげてほしい。ていうかあの待て、ってなんの待ち時間なの?

電子レンジを見るとまだ1分しか経っていない。しかしここで違和感。ガラスの中の景色が変わらない。そう、パスタ容器がでかいために壁に引っかかり動かなくなっていた。この時点では、まぁ温まるし別に回る必要ないか。というか逆になんでいつも回ってるんだよ程度の感想しか持てなかった。
しかしこの違和感がのちに大きな問題となる。

次にちらりとみたときには、恐ろしい事態になっていた。
下敷きにしていたお弁当のせいでバランスを崩したパスタ容器が、レンジのドア側に寄りかかり、倒れかかっていたのだ。もうこの時点で終了である。今停止ボタンを押したところでドアを開けた瞬間に熱湯がこちらにかかる。かかりまくりだ。火傷は嫌。しかし停止ボタンを押さなくともずるずると倒れかかっているので、と考えているうちにもうパスタが見えるほど器が横になっていて、熱湯がレンジの隙間から流れ出てきた。
「誰か助けて!」と、勘違いされないように大声ではなく小声で言う。今思えばそれはわたしの声ではなく、レンジの中のあいつらだったのかもしれない。助けてやれなくてごめんな。
もうどうにもこうにも終了なので、思考も一旦終了。とりあえず隙間を埋めなくては。小さな布巾なんかでは足りないのでフェイスタオルで拭きまくる。拭いても拭いてもだらだら流れてくるのをとにかく拭きまくる。ダラダラすんな!まるでわたしみたいだ。「ひーん」と誰も聞いてくれない鳴き声で泣く。馬どしの年女、24歳うしお。牛どしなら「もー!」って言えたのに。

イライラという擬音を首を左右に振って口にする。流石、身体はリズムに乗れている。流れ切ったお湯を拭き終わり、レンジのドアを開ける。
仕方なくパスタをお皿に移して、食す。
なぜだろう、パスタがまだ硬い。しかしそのまま食べた。確かに噛みごたえがあるものが好きと公言しているが、パスタは話が違うだろう、と思ったしだいぶ硬かった。

後日、スタッフさんにこの話をしたら、インスタライブすれば良かったのにー。と言われた。
できるけえ!

いやしかし、まるでどうしようもないような時間だった。本当にどうしようもない。どうすればよかったんだろう?今も疑問である。でもお得意の無理やりポジティブシンキングで乗り越える。爆弾を取っても取らなくても死んでしまう運命にある、そんな映画みたいな気分を味わえて、硬いパスタを味わえて、良かった。
ズボラに生まれて、良かった。
「ねぇなんであんなことになっちゃったかわかってんでしょ?」
「10分の億劫」
「それより億劫!」とズボランちえみが振り向いて教えてくれる。こっち見ないで。

序盤からズボラズボラと言っておいて、由来が今更気になってきたので調べてみた。
諸説あるらしいが、江戸時代で使われていた俗語「ずんべらぼん」が変化したものらしい。
略したのかな?じゃあなんでズラボじゃないの?順序勝手に変えちゃだめよ。とも思ったけれど、ブラボーと勘違いしちゃうのを考慮してくれたのかなと思った(ズラボー)。私が今一瞬見間違えたので。それならばありがとう。日本の伝統大事にしてこう。日本語であそぼ。
でもごめんね、普通にずんべらぼんが一番かわいいからそれでいきたいです。

ではもう一度、井伊直弼させて頂こう。
吾輩は少々ずんべらぼんである。

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