昭仁天皇が、望んだこと
2019年2月、1枚の絵が公開された。天皇皇后両陛下の肖像画だ。4年近い歳月をかけ、この巨大な油絵を描いたのは、リアリズム絵画の巨匠、野田弘志さん。完成までの最後の半年間、カメラがアトリエに入り制作の様子をつぶさに記録した。両陛下と30年にわたる親交がある野田さんは、象徴として常に国民に寄り添われてきたお二人の人間性と存在感を表そうと苦闘する。両陛下にとって最初で最後の肖像画が完成するまでを描く。
以上、NHKが野田弘志が両陛下の肖像画を描いている様子をドキュメントとして放映したときのコメントで、私はその番組を見てないけど、肖像画は見ているので、それについて、一言、二言。
昭仁天皇の生前退位された時、大きな肖像画がマスコミに載ったわけだが、それを見て、こういう表現をしていいのか、とも思うけど、より過激な第二の人間宣言だ、と思った。野田弘志のリアリズムは、そういうものだと。
つまり、両陛下は、自分は一般庶民と同じ、人間だよ、と。



同じ野田弘志が描いた谷川俊太郎、その他の肖像画を載せておくけど野田弘志の過激なリアリズムが明らかにしている事実、即ち、明仁天皇も、美智子皇后も、谷川俊太郎も、その他の人も、全て同じ人間だという事実を、生前退位を期に息子夫婦、つまり次の天皇と皇后、そして孫娘の愛子さま(生まれていた……と思う)に、伝えたいと望んだのだ。そして最も重大なことは、国民に伝えようとしていたことは間違いない。国民の統合のシンボルなのだから。でも、当時のマスコミは、ただ「よー似てる」と呑気な反応でしかなかった……ような気がする。絵画には伝えたいことがあるわけで、そこを読まなきゃ、絵画を見たことにはならないのではないか。写真も同じだ。というのは明仁天皇の母親、つまり裕仁天皇の皇后が亡くなった時、しばしば宮内庁病院に見舞いに訪れていたが、某日、容態が急変、危篤状態になったと知らされ、Uターンして急足で病院に戻ろうとしているとき、足下の水溜りを軽くジャンプした写真がどこかの新聞に載っていたが、それを見て、天皇も普通の人間だと思い、以来、明仁天皇のファンになった。
それにしても、両陛下が野田弘志と30年の親交があるということに驚いた。つまり、両陛下は、野田弘志の絵画の意味を充分に理解して、肖像画を依頼したはずだから。
