今週のUS HIP HOP【2026年5月第2週】
Migos 再結成、12歳の North West 衝撃デビュー、Kanye が法廷で笑わせた週
今週のヒップホップは、感動あり、笑いあり、そして伝説の復活ありでした。今週起きた激アツなニュースを一気にまとめます。
Migos 再結成—「仕事はまだ終わってない」Quavo と Offset がスタジオに入った

2022年11月、Migos(ミーゴス)のメンバー Takeoff(テイクオフ)がヒューストンのボウリング場で銃撃され、28歳で亡くなりました。
残された Quavo(クエヴォ)と Offset(オフセット)は、もともと不仲だったこともあり、しばらく別々の道を歩んでいました。
それが今週、空気が変わりました。
4月27日、Quavo がインスタグラムのストーリーにこう書いてました。「Warriors Never fold(戦士は決して折れない)。Jobs Not Finished(仕事はまだ終わってない)。TAKEOFF ALBUM。UNC N PHEW 2。LAST ????? ALBUM」。
Takeoff の写真と一緒に投稿されたこのメッセージに、数時間後 Offset が3人全員の写真を添えて「On dat!!!(やる!)」と応答。
そして5月6日、2年以上止まっていた Migos の公式 Instagram アカウントが復活。
QuavoとOffsetが一緒にスタジオにいる写真が投稿され、キャプションは工事中の絵文字だけ。この投稿は瞬く間に35万以上の「いいね」を集めました。
Migos とは、2013年の「Versace」から始まり「Bad and Boujee」「MotorSport」などの大ヒットを連発した、アトランタ出身のトリオです。
彼らが生み出した「トリプレット・フロウ(三連符のリズムでラップするスタイル)」は、現代のヒップホップの基本文法のひとつになっています。
Takeoff の死後、「Migos の音楽はもう終わった」と誰もが思っていた中での、この再結成の動きは業界全体に衝撃を与えました。
まだ正式な新曲やリリース日は発表されていませんが、Quavoの計画には「Takeoff の未発表曲を使ったポスチュマス(死後)アルバム」「Unc & Phew(クアヴォとテイクオフの元ユニット名)2」、そして「最後の Migos アルバム」が含まれるようです。
Drake の新作「ICEMAN」に Quavo と Offset がゲスト参加するのではという噂も飛び交っています!
Takeoff への愛と敬意が、二人を再び結びつけた。それだけで十分すぎるニュースです。
12歳の North West がデビューEPをリリース—Rolling Stone が本気で絶賛した

Kanye West(カニエ・ウェスト)と Kim Kardashian(キム・カーダシアン)の長女、North West(ノース・ウェスト)が5月1日、デビューEP「N0rth4evr(ノースフォーエバー)」を全6曲でリリースしました。
North、なんと12歳です。
「有名人の子供が出した話題作り」と思って聴いたリスナーたちの多くが、予想を裏切られました。
EPの全曲を North 自身がプロデュース(音楽制作)しています。サウンドは最近話題のRageラップ(激しく歪んだビートとエネルギッシュなラップ)、ハイパーポップ、ゴシックエモが混在した、Z世代のインターネット的な感覚そのもの。
ファッションも黒づくめのゴシックスタイルで、フェイクのアンダーアイピアス、黒く染めた歯、青いスパイクウィッグという衝撃ビジュアルで登場しました。
Rolling Stone はこう評しました。
「わずか10分間で彼女は本物のスター性を証明した。12歳という事実を抜きにしても、これは印象的な作品だ」と。
さらに音楽評論家として知られる Anthony Fantano(アンソニー・ファンタノ)がYouTubeのレビューで「5〜6点」という評価を下したことが、SNSで大炎上。
なぜかというと、その点数が Kanye の最高傑作と名高い「My Beautiful Dark Twisted Fantasy」(2010年)に与えた点数と同じだったからです。これはファン間で論争を呼びました。
「I was born a star / I never had a choice(私はスターとして生まれた、選択肢なんてなかった)」という歌詞は、公の視線に晒されながら育った12歳の超本音が出てますよね。
リリースに合わせてロサンゼルスの Complex LA で開催されたポップアップイベントには、Ye(旧名Kanye)と Kim が揃って駆けつけました。
この夏、Lyrical Lemonade Summer Smash(シカゴの大型音楽フェス)への出演も予定されており、North West はデビューしたてでいきなり大舞台に立つことになります。
Kanye が法廷で「本当のタイトルは何?」—著作権裁判で笑いを取った男

5月7日、Kanye West(現・Ye)がアトランタの連邦裁判所に証人として出廷しました。
裁判の内容は、2021年のアルバム「Donda」のリリースイベントで使われた「Hurricane」のデモ版が、プロデューサー4人(DJ Khalil、Sam Barsh、John Mease、Dan Seeff)の楽曲「MSD PT2」のサンプルを無断使用したというもの。
4人は、自分たちの楽曲が適切に処理されないまま使われたと主張しています。
Ye は証言台で「俺はサンプルのクリアランス(楽曲の使用許可手続き)に関して正しい手順を踏んだ。自分のコラボレーターには正当な扱いをすることを誇りにしている」と語りました。
そして法廷の緊張感をぶち壊す瞬間が訪れます。
Ye の弁護士が「あなたは『Brothers in Paris(ブラザーズ・イン・パリ)』でグラミー賞を受賞しましたか?」と質問しました。
「Brothers in Paris」は「Niggas in Paris」の法廷用の言い換えです。
しばらく無表情だった Ye が、少し間を置いてから答えました。
「ちゃんとした名称で言って?」
法廷内が笑いに包まれました。Ye 本人も一緒に笑っていたといいます。
裁判自体はまだ継続中で、結果次第ではYeは追加の損害賠償を求められる可能性があります。
ただし請求は2021年のリリースイベントに限定されており、「Hurricane」の商業的な収益には及ばないとされています。なお、この裁判はちょうど彼のアルバム「Bully」のリリース直後というタイミングで、何かと騒がしい一週間でした。
Drake の「ICEMAN」が5月15日に迫る—MVをCNタワーで撮影か

今週もDrakeの話題は外せません。
「ICEMAN」のリリースが迫ったDrakeが、カナダを代表するランドマーク、CNタワーでミュージックビデオを撮影している様子が目撃されました。
先週までのトロントの氷塊スタント、消防車の出動、Twitch配信者がリリース日を生放送で発見するという一連のドラマに続き、今度はカナダ最大の建造物でのMV撮影です。
「ICEMAN」というアルバムタイトルと、トロントの冬景色を象徴するCNタワーの組み合わせは、視覚的な意図がはっきり伝わってきます。
Kendrick Lamar とのビーフで一度は「終わった」と言われた Drake が、新作でどう自分を再定義するか——ヒップホップシーン全体が固唾を飲んで5月15日を待っています。
先ほど触れましたが、Offset と Quavo が Drake の ICEMAN アルバムにゲスト参加するのではという噂も飛び交っており、もし Migos の再結成と ICEMAN が絡んでくるとしたら、5月15日は今年最大のヒップホップデーになるかもしれません。
今週の総括
Migos が再び動き出し、12歳の子供が批評家を黙らせ、Kanye が法廷で笑いを取り、Drake のカウントダウンが始まりました。
4月から続く2026年のヒップホップの濃密さは、まだまだ続きそうです。
来週もお楽しみに!
