HR NOVA SUMITTで気づいたこと

ぼくはMIMIGURIというコンサルファームで働いていますがCo CEOの安斎さんがどんなイベントに登壇しているのか、そこでどんな会話がなされているのかあまりよく知っていませんでした。

それを知りたくて、HR NOVA SUMITTでテーブルでファシリテーターをさせていただきました。

なぜビジネスパーソンは「情報交換」をしたいと思うのか

HR NOVA SUM MITは、人事のリーダー層、部長や役員の方々が集まるイベントでした。そして、どちらのイベントでも、名刺交換をしたらその場で会話が始まっていました。特に問いもなく、ワークの指定をしなくても。

ワークショップデザインを専門としている立場からすると、疑問でした。なぜ、何も問いがなくても初対面でこんなに会話が始まるのか。

そもそも、ビジネスパーソンの方々と「また情報交換させてください」「またディスカッションをさせてください」という話をよくしてきたが、なぜそれをしたくなるのかよくわかっていなかったことにも気づきました。

相手の話を聞くことで相対化される自分の景色

名刺交換をする。相手の会社のことを知っていれば、知っていますよと話す。知らなければどんな会社なんですか?と聞く。知っていても、こういうことは知っていますが、〇〇さんはどんなお仕事をされているんですか?と、肩書きや役職をふかぼる。

すると自然と「うちの会社は〇〇の事業をしていて、その中で組織がこういう体制になっているんです。そこでいま、XXXを担当していて」というふうに話していただける。

へ〜!なるほど、XX社ってそんなふうになっているんだ、その中でこの方は難しい課題に取り組んでいらっしゃるんだなぁ、とか、その中でこの方は、こんなやり方を選んでらっしゃるんだなぁとか、そういうことを知ることができます。

何人かお話を伺っていると、そこで気づいたことがありました。「情報交換」という言葉の意味です。

なるほど、人事部長や役員として、戦略人事を推進しようとしているが、他社がどう進めているか、どんな人がどんな感じで、どんな課題感で何を取り組んでいるのか、それを知りたいから「情報交換」するのか!

それはたしかに「情報交換」である。そしてその「交換」に価値がある。

組織や事業は固有であり、そうであれば人事のあり方もその組織固有なものになる。戦略があり、組織図の設計があり、人材の要件があり、育成の体系や人材のポートフォリオやキャリアの開発がある。こういう大まかな構造は共通していても、戦略が異なれば要件も異なり、要件が異なれば育成やキャリア開発のあり方も異なる。

ただ、人事という共通の立場でありながら、組織ごとの固有のストーリーがあるので、その違いによって自社が相対化される。相対化されると、自社がよく見える。

自社がよく見えると、「あ、じゃあここがボトルネックかも」「そのやり方ちょっととりいれてみようかな」と気づいていく。だからこういうイベントで情報交換がなされるんだな。

加えて、AIと人事の論点が昨今話題になっていて、AI活用事情を人事目線で交換することも求められているのかもしれません。

「情報交換」、もうちょい設計すれば、それはもはや、「ピアラーニング」とすら呼べるのでは?

ピアラーニングとは、学習者どうしが対話を通じて主体的に学び合う学習方法です。従来の講師と受講者という学習形態では得られない効果が期待できる学習方法として、企業の人材育成に導入する企業も出始めています。

ピアラーニングとは|仲間とともに主体的な学びを実現する方法を考察 Schoo for Biziness

自分の話をすることで得られる外からの景色

ここまでは聞くことで得られる情報・景色だ。

相手の方の企業・人事・そのやり方を聴きながら、自分の会社だとどうだろうかと相対化される。ぼくのようにファシリテーションファームとして人事戦略の創造・推進に伴走していると、「あ、あの企業と似てるな」「あの企業とは全然ちがうな」などといくつも頭に浮かぶ。それはなにか、本を読むのとは違う、人の姿が見えるかたちで知識の深まりと広がりを感じる場になる。それが学びか。

逆に、相手の話が途切れたタイミングで「ぼくはこういうことをしていて」と自分の立場や仕事を話すこともやってみたりする。そうすると「それ面白いですね」「それは難しい課題に取り組んでいらっしゃいますね」と共感をしていただいたりする。

ああ、そういうのって、素朴に「自分の仕事が外からどう見えるかを確かめられる場」にもなるんだなぁ、と感じる。MIMIGURIの特殊性に気づくこともできて、それはとてもよかった。ぼくのなかでの素朴な気づきは、MIMIGURIが「知的資産」を戦略の核においてるという点って、やっぱりMIMIGURI固有の論理なんだなということだった。

組織のブランクスペースに絵を描きにいく

話を聞いていくなかで、ぼくの好奇心がくすぐられるトピックがありました。

それは、「戦略人事」という考え方が取り入れられはじめたものの、自社の組織の目標が明確にないという事象に対して、どのような目標設定をすると良いのかを悩んでいる、探っている、というトピックでした。

いわば「組織の戦略・ストーリー」がブランクスペースになっているところを、描きにいく人たちの物語とも言えるかもしれません。まさに探究であり冒険であり創造性の発揮だなぁと思った。

たとえば、グループ企業で、子会社各社が固有の事業を営んでいる。共通の人材データ基盤もなければ、共通の等級・評価制度も整っていない。事業戦略全体に紐づいた組織の戦略という部分が抜け落ちてしまっている。どんな組織図のなかで、どんな人材たちが、どんな業務構造のなかで、どんな経験をしてもらって、どんな研修を通じて、どんなキャリアを構築するのか。そのストーリーがない。

「経営と事業のストーリーはある。だが組織のストーリーがない」というのは安斎さんの登壇時の発言でした。

その「ブランクスペース」に絵を描きに行こうとしている人たちが現れているということがよくわかりました。いわゆるオペレーション人事から戦略人事への転換をはかろうとしているといえばそれまでだが、個別の企業ごとに異なる物語を描く必要がある。

経営とは、事業を作ることと同時に、人の仕事をつくることでもある。資本主義社会の中で、働いて生きていくことが前提となっている。なんで人は働くのか、そのなかでなんでこの組織で働くのか、という意味が欠落した時、ぼくたちはとても苦しい状態になる。この「組織のストーリーという空白に絵を描き、動かそうとする人たち」の冒険は、こうした社会のインフラ、基盤を作ることになってもいる。

そこに絵を描こうとする人たちと一緒にぼくも冒険したいなと思った。

感想は以上です

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臼井 隆志|Art Educator 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。いただいたサポートは、赤ちゃんの発達や子育てについてのリサーチのための費用に使わせていただきます。