ワールドカップ優勝を本気で目指すなら、日本サッカーは次のステージへ進まなければならない
2026年ワールドカップ、日本代表は決勝トーナメント1回戦でブラジルに1-2と敗れた。
先制しながら逆転を許した試合だった。
日本は世界との差を確実に縮めている。
しかし同時に、「あと一歩」を勝ち切るためには、もう一段階上のレベルへ進化しなければならないことも証明した大会だった。
私は、森保一監督の功績を高く評価している。
攻撃でも守備でも献身的に走る。
ボールを失えば全員で奪い返し、攻撃では全員が連動する。
個人能力で欧州や南米の強豪国に及ばない日本が世界と戦うためには、この方向性は間違っていない。
森保監督は、日本サッカーの土台を築いた監督だと思う。
しかし、それと「ワールドカップ優勝を目標に掲げ続けること」は別問題である。
優勝を目標にする以上、ベスト16という結果にはきちんと区切りをつけるべきだ。
森保監督を否定する必要はない。
むしろ森保監督が築いた土台を継承し、その上に世界最高峰のゲームマネジメントを積み上げられる監督へバトンを渡すことが、日本サッカーにとって自然な流れではないだろうか。
日本が目指すべきは「90分走るサッカー」ではない
「もっと走れ」「もっと強度を上げろ」という意見はよく聞く。
しかし、現代サッカーはそんな単純ではない。
ファイヤーフォーメーションのようなハイテンポなサッカーを90分続けられるチームは存在しない。
世界の強豪は必ずチェンジ・オブ・ペースを使う。
強度を上げる時間。
ボールを保持して休む時間。
相手を誘い込み、一気に仕留める時間。
この緩急こそがトップレベルのサッカーである。
だから私は、日本が参考にすべきはフランスよりもアルゼンチンだと思っている。
アルゼンチンはメッシを90分間走らせない。
その代わり、周囲が献身的に守備を行い、メッシは最も価値のある局面で違いを生み出す。
「走らない」のではない。
「走る場所を選んでいる」のである。
日本代表でも鎌田大地は、その考え方を体現している。
試合中に姿を消す時間を作り、体力を温存し、本当に必要な瞬間だけ一気にギアを上げる。
これは手抜きではない。
90分を設計する能力である。
日本代表は、献身性という武器に加えて、この知性をもっと身につけなければ世界一には届かない。
ラグビー日本代表の「Japan Way」と同じ発想
私は、日本サッカーが目指すべき姿は、ラグビー日本代表の「Japan Way」と共通していると思う。
体格では勝てない。
だから運動量、規律、準備、組織力で世界と戦う。
しかし、それは精神論ではない。
どこでエネルギーを使い、どこで休み、どこで勝負するかまで設計された戦い方だった。
サッカーも同じだ。
献身性だけでは世界一にはなれない。
献身性と知性を両立してこそ、本当の「Japan’s Way」が完成する。
次の監督には世界最高峰の経験が必要だ
だから私は、次期日本代表監督には外国人監督を迎えるべきだと考える。
森保監督が築いた土台を壊す必要はない。
しかし、その土台を世界最高峰のレベルへ引き上げられる監督が必要である。
その中で以前から疑問なのが、エルネスト・バルベルデの名前が日本ではほとんど候補として語られないことだ。
バルベルデはアスレティック・ビルバオで限られた戦力を最大限に生かし、バルセロナでもタイトルを獲得した。
スター選手だけに依存せず、組織として勝つサッカーを知る監督であり、日本代表との相性は決して悪くない。
実際、原博実氏が技術委員長だった時代には、バルベルデにもオファーを検討したと言われている。
当時のJFAには、「世界で勝てる監督ならまず当たる」という姿勢があった。
その挑戦する姿勢は、今のJFAにも必要ではないだろうか。
「お金がない」は挑戦しない理由にはならない
よく「JFAには世界的な監督を呼ぶお金がない」という声を聞く。
確かに予算には限りがある。
しかし、それは世界トップクラスの監督にオファーを出さなくていい理由にはならない。
本気でワールドカップ優勝を目指すのであれば、まずは世界最高峰の監督に打診する。
条件を提示し、日本代表という仕事の魅力を伝える。
断られたなら、その時に次の候補へ進めばいい。
最初から「予算がないから無理」と決めつけ、候補から外してしまうことこそ、優勝という目標に対する覚悟の欠如ではないだろうか。
世界トップクラスの監督が必ず来てくれるとは限らない。
しかし、優勝を目指す組織には、その扉を叩き続ける責任がある。
挑戦する前から諦める組織が、世界一になれるはずがない。
優勝を掲げるなら、それにふさわしい組織へ
森保一監督は、日本サッカーの基礎を築いた。
その功績は大きい。
だからこそ、その土台を次の世代へ引き継ぎ、さらに世界最高峰の経験を持つ監督によって発展させるべき時期に来ている。
ワールドカップ優勝とは、単なるスローガンではない。
その言葉を掲げる以上、監督人事も、育成も、組織運営も、すべてが世界基準でなければならない。
必要なのは路線変更ではない。
森保監督が築いた「Japan’s Way」を継承しながら、それを世界一を狙えるレベルまで進化させることである。
その覚悟を示して初めて、「ワールドカップ優勝」という目標は現実味を帯びるのではないだろうか。
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