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若返ったサポーターは、日本サッカーを強くするのか──「お客様」の世代交代と、口うるさいサポーターの消滅



日本代表の現地サポーターが若返っているという。

それ自体は、悪いことではない。

コロナ禍で卒業旅行に行けなかった世代が社会人になり、海外へ出る。
ワールドカップという世界最大級のイベントを体験する。
日本代表のユニフォームを着て、スタジアムで応援する。

新しい世代がサッカーに触れることは、本来なら歓迎すべきことだ。

しかし、私はどうしても一つの疑問を持ってしまう。

サポーターが若返ることと、日本サッカーが強くなることは、本当に同じなのだろうか。

ワールドカップを見る。

そこからJリーグを見るようになる。
地元のクラブへ行く。
サッカーを深く知る。
子どもが競技を始める。
指導者や審判になる。
地域クラブを支える。

この循環が生まれるなら、ワールドカップの熱狂は日本サッカーの資産になる。

しかし、

ワールドカップへ行く。
写真や動画を撮る。
SNSに投稿する。
次の大型イベントへ行く。

これで終わるなら、それは日本サッカーの普及ではなく、単なるイベント消費である。

もちろん、若いサポーターを責める話ではない。

JFAやJリーグのクラブからすれば、チケットを買ってくれるだけでお客様だ。

ユニフォームを買う。
グッズを買う。
スポンサーの商品に触れる。
SNSで拡散する。

それだけでも、興行ビジネスとしては十分に価値がある。

むしろ厄介なのは、長年サッカーを見てきた「口うるさいサポーター」なのかもしれない。

監督人事に文句を言う。

強化方針を批判する。

「なぜ世界一を目標に掲げながら、この体制なのか」と問い続ける。

大会に負ければ、「感動をありがとう」だけでは終わらず、検証と説明を求める。

昔のJFAを知っているから、過去と現在を比較する。

組織から見れば、面倒な存在だろう。

一方で、新しいファンが、

「日本代表かっこいい」

「初めてのW杯、最高だった」

「推しの選手のユニフォームを買った」

と楽しんでくれるなら、興行としては何の問題もない。

ここで、非常に大きな問題が生まれる。

「日本サッカーを強くすること」と、「日本代表というコンテンツを売ること」は、必ずしも同じではない。

日本代表は、強くならなくても商品として成長できる。

SNSのフォロワーが増える。
若い観客が増える。
ユニフォームが売れる。
スポンサーがつく。
スタジアムが満員になる。

これらはすべて、ビジネスとしては成功だ。

しかし、それとワールドカップで優勝できるチームを作ることは別の話である。

本気で強くなろうとすれば、失敗を検証しなければならない。

監督を評価する。
技術委員会を評価する。
育成を見直す。
強化試合の組み方を考える。
必要なら組織内部の責任も問う。

それは、とても面倒な作業だ。

しかし、コンテンツビジネスとして考えるなら、

勝てば盛り上がる。

負ければ「感動をありがとう」。

そして次の大会で、また新しい物語を売る。

これでも商売は続いていく。

だから私は、サポーターの若返りを手放しでは喜べない。

怖いのは、日本サッカーの衰退ではない。

興行として成功しているために、構造的な問題を誰も直そうとしなくなることだ。

「スタジアムは満員だ」

「若いファンが増えた」

「グッズが売れている」

「SNSも盛り上がっている」

それらの数字が良ければ、組織は自分たちが正しいと思える。

その一方で、長年見てきたサポーターは年を取る。

監督人事に文句を言い、JFAの強化方針を批判し、説明責任を求める人間は、

「昔の話ばかりする」

「時代についていけない」

「老害だ」

と言われ、少しずつ消えていく。

そして新しい世代のお客様に入れ替わる。

もちろん、世代交代そのものは自然なことだ。

若いファンが悪いわけでもない。

しかし、サポーターを単なる「消費者」としてしか見なくなったとき、日本サッカーは何か大切なものを失うのではないか。

サポーターとは、チケットとグッズを買うお客様なのか。

それとも、日本サッカーの歴史を記憶し、時には組織に異議を唱え、未来を一緒に考える当事者なのか。

私は後者であってほしい。

しかし、今のJFAに、ワールドカップで生まれた新しい熱狂をJリーグ、地域サッカー、育成、指導者文化へつなげていく長期的な設計を期待できるか。

残念ながら、私はかなり悲観的だ。

若者はワールドカップの入口まで来ている。

問題は、その先に道があるかだ。

若返ったのは、日本サッカーの担い手なのか。
それとも、日本代表というコンテンツのお客様なのか。

その答えが見えるのは、ワールドカップが終わった後なのだと思う。



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#サッカー文化
#日本サッカー

(了)

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