詩的随筆_音律詩人のFermata #10 噂の古典副業② feat.国語便覧
概要
観察対象:古典文学、古典芸能
前回に引き続き、武士たちの副業について覗いていく
古典副業①を読んでからこの記事を読むと、より武士たちが暇だったことがわかるだろう
本文
江戸時代後期
武士の刀は筆に代わった
斬るものが敵から世間に代わった
例えば 前回でも名前が出た滝沢馬琴(曲亭馬琴)
彼はほぼ原稿料で生計を立てていたと言われている
では江戸時代の作家たちは 具体的に何を書いていたのだろう
この時代では本のことを草子と呼んでいる
仮名草子 浮世草子 草双紙 洒落本 滑稽本 人情本
なんとなく字面で分かるもの 完全に意味が分からないもの
いろいろあるが順番に見ていこう
仮名草子
江戸時代初期が全盛期
文字通り、平仮名中心で読みやすいものを指す
初期の読み物全般総称をいう
浮世草子
江戸時代の初期から中期が全盛期
町人の恋愛、金銭、出世なの欲望を描く町人文学小説といわれている
カラッとしたリアリティと皮肉が作風
草双紙
江戸時代の中期から後期が全盛期
絵が主役 漫画・絵本の祖先ともいわれているもの
ジャンルごとに表紙の色が違う
赤色は子供向け絵本 黒色はゴリゴリの時代劇
青色はパロディ 黄色は大人の風刺ギャク
洒落本
江戸時代の後期はじめが全盛期
遊郭に行くときの「アソビの会話術」を楽しむもの
会話、やりとりを重視するアソビ指南書だ
滑稽本
江戸時代の後期が全盛期
庶民の旅、噂、失敗などの日常を笑いで描く
とにかく笑い重視
遊戯的な面白さがここにある
人情本
江戸時代の後期の幕末くらいが全盛期
町人の恋愛、人の情をしっとり描く恋愛ドラマ
現代でも恋愛ドラマで泣いているのは
きっと彼らの努力の賜物かもしれない
そして現代は 媒体が大きく変わった
テレビやPCはもちろん、スマートフォンやタブレットは 今では必須媒体だ
だが、媒体が変わっただけで 書く人間の心意気が変わったわけじゃない
むしろ どこでも誰でも気軽に 作家になることができる
自分の一挙手一投足をSNSに投稿する時代
清少納言の枕草子はその先を行った
枕草子がバズったのは 当時、超高級品だった紙を日々使うメモ帳にしたという革新的な視点があったからだ
いわば新品最新機種のタブレットでメモをとるようなものだ
きっと彼女は、自分の書いた日記が 未来の日本人の国語学習に使われているとは思っていなかっただろう
清少納言に手を合わせておこう 合掌
誰に自分の作品や投稿を見られるか分からないという緊張感が
現代において劇的に欠けている
緊張感のない作品に責任を負えるのだろうか
こういうものをネットリテラシーと呼ぶのかもしれない
おわりに
参考文献:新訂総合国語便覧/第一学習社
URL:Wikipedia 曲亭馬琴、仮名草子、浮世草子、草双紙、洒落本、滑稽本、人情本
ここまで国語便覧のお話に長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。書いていてとても楽しかったです。やはり国語便覧はネタの宝箱ですね。
この数か月、noteで投稿をしていて、この世界はとても広いなと感じました。執筆の世界は、どこで誰がどう動くかは分からない。正直、「いいねがつかないからいいや」とどこか甘かった姿勢があったと思います。
でも、好きなことを好きなように、けれど責任を持ってこれからも執筆を続けていければなと思います。
ひとまず国語便覧での詩的随筆は一区切りといたします。次回からは「お手軽哲学」を更新いたします。
※本記事は2026年2月18日に有料化予定です。
