必死さのいささか足りず稲雀 市堀玉宗

豊かに実る稲穂の波に漂う雀たち。群れを成し、ピーチクパーチクおしゃべりしながら稲穂をついばむ。人影を察知すると、警戒する鳥が一羽飛び立つやわらわらと一斉に鳥の群れたちが続く。どこへ逃げようか。不意をくらって行き先の定まらぬまま、安住の地を求めてのびやかに大きく蛇行する。電線につかまったり、他の稲田に移ったり。人は飛べないのを知っているから、余裕である。人が去るのを待って、食べごろの稲穂に戻ってくる。