「仕方ない」と思った時、私の希望は消えていた
ある予定について、段取りを話していた時のことだった。
示された流れに従うと、私が毎週大切にしている時間を諦めることになる。
けれど私は、そのことにほとんど引っかからなかった。
「ああ、そうか。仕方ないな」
ごく自然に、そう受け入れた。
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「仕方ない」と普通に受け入れていた
しばらくしてから、ふと気づいた。
考えてみれば、私が予定を諦めなくても済む方法はあった。
その段取りしか選べなかったわけではない。
私の予定を残したまま、別の組み方を考えることもできた。
そこで初めて、
「なぜ私は、最初から自分が譲る前提で考えていたのだろう」
と思った。
自分の希望を伝えると、予定は組み直された。
どうにもならない事情だったわけではなかった。
私は、ひとつの案を「仕方のない現実」として受け取っていたのだ。
理不尽さより、驚いたこと
そのことに気づいた時、強い怒りが湧いた。
なぜ私が我慢する前提だったのだろう。
なぜ私の大切な時間は、最初からないもののように扱われたのだろう。
少し理不尽に感じた。
けれど、怒りをたどっていくと、それだけではなかった。
私自身も、自分の予定をあっさり消していた。
「私はこの時間を大切にしたい」
「この予定は残したい」
そう伝える前に、自分から引っ込めていた。
誰かに強く命じられたわけでもない。
諦めるよう説得されたわけでもない。
相手の都合が出てきた瞬間に、私の中で自動的に、
「それなら私が譲ろう」
という処理が始まっていた。
そのことに、私は愕然とした。
譲ることを選んでいたわけではなかった
私はこれまで、自分には譲る癖があると思っていた。
けれど、今回見えたのは、もう少し手前にあるものだった。
私は、自分と誰かの希望を並べて、
そのうえで譲ることを選んでいたのではない。
誰かの都合が出てくると、
最初から自分の希望を候補から外していた。
譲るか、譲らないか。
その二つを比べていたわけではなかった。
私の中には、そもそも「譲らない」という選択肢がなかった。
譲る癖とは、いつも我慢を選ぶことではないのかもしれない。
自分の希望を、選択肢に入れないことなのかもしれない。
譲ることと、自分を消すことは違う
もちろん、譲ることが悪いわけではない。
相手の事情を知って、こちらが予定を変えることもある。
大切な人のために、自分から譲りたい日もある。
けれど、自分の希望を出したうえで譲ることと、
自分の希望を最初から消してしまうことは、同じではなかった。
前者には、自分の意思がある。
後者では、自分が話し合いから抜けている。
私は、いつも後ろからついていくように、誰かが決めた段取りへ自分を合わせていたのかもしれない。
自分の都合を出さなければ、誰かが決める。
そして、文句を言わずについていけば、その配置はそのまま続いていく。
誰かが決める人になり、私は譲る人になる。
その形を作っていたものの一つは、私自身の「仕方ない」だった。
私も、段取りを決める一人だった
だからといって、これからは何も譲らない人になろうとは思わない。
何でも自分の思いどおりにしよう、とも思わない。
ただ、自分の予定も、最初からそこに置いてよかった。
「私はこうしたい」
「この時間は残したい」
その一言を出したうえで、どう組むかを一緒に考えてよかった。
主体性というと、自分ですべてを仕切ることのように感じる。
けれど、そうではないのかもしれない。
自分も、段取りを決める一人に入ること。
自分の希望も、調整する条件の一つとして扱うこと。
私は譲る前に、自分を消さなくてよかったのだ。
今回気づいたのは、譲らない方法ではない。
譲るかどうかを、自分も選んでよかったということだった。
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