「また断れなかった…」後から思うあなたへ
「また断れなかった…」と思う夜に
「また断れなかったな…」
帰り道、電車の窓に映った自分の顔を見て、
そんな言葉がふっと浮かぶ夜って、ありませんか。
本当はその日は、自分の予定もつまっていて。
「今日はちょっと厳しいです」と言えたらよかったのに、
いざその瞬間になると、
「あ、はい。大丈夫です。やっておきます」
と、いつもの言葉が先に口をついて出てしまう。
頭では
「本当は断りたかったんだけどな」
と分かっているからこそ、
家に帰るころには、そんな自分に少しがっかりしてしまう。
そんなときの、あなたに向けて書いています。
NOが言えないのは、「弱いから」じゃない
まず最初に、ひとつだけ伝えておきたいことがあります。
NOが言えないからといって、
あなたが「弱い人」だとか、
「意志がない人」だとか、
そういうことではきっとないと思うのです。
むしろ、
人を傷つけたくない
場の空気を乱したくない
期待に応えたい
そんなふうに、人や場を大事にしてきた人ほど、
NOが言いづらくなっていくことが多い気がします。
その優しさの裏側で、
「NO=相手を否定してしまうこと」
「NO=嫌われるきっかけになってしまうこと」
そんなイメージが、
少しずつ自分の中に根づいてしまうのかもしれません。
昔、
断ったら、場の空気が少しピリッとした
申し訳なさで、あとから胸がざわざわした
「自分だけ楽をした」ような罪悪感が残った
そんな経験が、一度でもあったなら、
体のほうが覚えてしまっていても不思議ではないですよね。
こんな風に。
「NOを言うのは、ちょっと危ないことかもしれない」
頭では
「本当は断ってもいいはずだ」と分かっていても、
体のどこかが、そっとブレーキをかけてくる。
その結果、あの場面でまた、
「大丈夫です、やりますよ」と引き受けてしまう。
もしもあなたが今、
そんなループの中にいるのだとしたら、
それは「ダメな自分」だから、ではなくて、
それくらい人を大事にしてきた証拠でもあるのだと思います。
いきなり“ど真ん中のNO”じゃなくていい
とはいえ、だからといって
このままずっと、自分を後回しにし続けるのも、
きっとどこかで苦しくなってしまいます。
じゃあ、どうしたらいいんだろう?
と思ったときに、
いきなり「大きなNO」を通そうとしなくていい
という視点がひとつ、役に立つかもしれません。
たとえば、
「今日は残業できません」
「その役は引き受けられません」
こういう、仕事や役割のど真ん中にあるNOって、
どうしてもハードルが高いですよね。
そこで、もう少し手前にある
小さな一歩から始めるやり方があります。
「別のもの」にNOを言う、小さな練習
それは、
まずは「別のもの」に対して、
嫌・苦手・大嫌いを、言葉にしてみること。
です。
対象は、仕事じゃなくてかまいません。
特定の食べ物
苦手な味つけ
人混み
大きな音の場所
夜更かしや、早起き
ホラー映画 など…
「実はあれ、あまり得意じゃなくて」
「そういうのは、ちょっとしんどいんですよね」
そのくらいの、やわらかいトーンで大丈夫です。
ただの愚痴では?と思うかもしれないけれど、
これにはちゃんと意味があります。
小さなNOが、内側のセンサーを起こしてくれる
一つ目の意味は、
自分の「嫌いセンサー」がまた動き出すこと。
NOが言えない状態が続くと、
だんだんと、
本当は嫌なのか
本当は大丈夫なのか
どこまでが我慢できて
どこからがしんどいのか
その境目が、ぼんやりしてくることがあります。
そこで、
「これはちょっと苦手」
「ああいう雰囲気は、実はあまり得意じゃなくて」
と、言葉にしてみることで、
自分の内側のセンサーが、
すこしずつ輪郭を取り戻していきます。
嫌いと言うことは、
「私の感覚はここにあるよ」と
自分自身にそっと教えてあげる行為
なのかもしれません。
「嫌と言っても大丈夫だった」というほっとする経験を重ねる
二つ目の意味は、
「嫌と言っても、
思っていたほど何も起きなかった」
という、ほっとする経験が増えていくこと。
「苦手で…」と言ったとき、
相手が案外ふつうに受け止めてくれたり、
「わかる。自分もそれ得意じゃない」と笑ってくれたり。
そんな場面が、少しずつ増えていくと、
体のなかにあった
「NO=危ないかもしれない」
という設定が、
ほんの少しずつ、ゆるんでいきます。
何もトラブルが起きなかった、ということも、
本当は、とても大事な「成功体験」なんですよね。
「境界線がまったくない人」から、すこしだけ変わっていく
三つ目の意味は、
周りの人から見た“あなたの輪郭”も、
すこし変わっていくことです。
「これ苦手で」
「ああいうのは、あまり好きじゃなくて」
そんなふうに自然に言える人は、
周りから見ると、
「この人には、
なんでも無制限に頼んでいいわけではないのかもしれない」
と感じてもらいやすくなります。
それは、「冷たい人」というよりも、
ちゃんと自分の輪郭も持っている人
という印象に近いのかもしれません。
その感覚がじわじわ広がっていくと、
「この人ならどうせ断らないだろう」と
無意識に押し付けられるものが、
少しずつ減っていく可能性があります。
いきなり完璧じゃなくていいから
ここまで読んで、
「なるほど…でも、自分にできるかな」と
少し不安が出てきたとしたら。
いきなり、大きなNOを通そうとしなくて、大丈夫です。
まずは、日常のどこかでひとつだけ、
「これはあまり得意じゃなくて」
「こういうのはちょっとしんどいんです」
と口にできた場面があったら、
そのあとで、ほんの数秒だけ、
自分の体の様子を見てあげてみてください。
胸のあたりが、すこし軽くなっているかもしれない。
喉のつかえが、ほんの少しだけゆるんでいるかもしれない。
「言っても大丈夫だったな」と感じられたなら、
それだけでもう、十分すぎる一歩だと思います。
NOは、誰かを突き放すためだけのものじゃない
NOを言えるようになることって、
何かをバッサリ切り捨てるため、
というよりも、
自分の時間や体力、こころの余白を
ちゃんと守るための、小さな準備
なのだと思います。
いきなり“完璧なNOが言える自分”を目指さなくていい。
まずは、日常の中に、
20点くらいの小さなNOを、
ぽつ、ぽつ、と置いてみるところから。
その積み重ねの先で、
「ここは、ちょっと無理をしたくないです」
「今回は、別の方にお願いしてもいいですか」
そんな一言を、
今より少しだけ自然に言える自分に、
きっと近づいていくのだと思います。
その途中にいる自分も、
どうか、責めすぎずにいてあげてくださいね。
「断れない自分」の裏側には、小さなトゲや、言葉にならないモヤモヤが隠れていることが多いなぁと思います。
そんな“心のトゲ”については、こちらの記事でも触れています。
→ 『どうして今日は棘がたつんだろう』
また、「これでよかったのかな…」と決めたあとにぐるぐるしてしまうときは、こちらの実践編も、何かのヒントになるかもしれません。
→ 『これで合ってる?不安な自分を卒業していく一歩』
気になったところから、好きなタイミングでのぞいてもらえたら嬉しいです。
一緒に進んでいきましょう。
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