【毎週ショートショートnote】骨折祈願
骨折祈願の神社がある。
誰かの骨折を願うと、実際に折れる。
七日後、自分の骨も、願った分だけ折れるけれど。
ただし、報いが来る前に別の誰かの骨折を願えば、それだけ先延ばしにできる。
祈るたび、負債は積み重なっていく。
最終的に、自分に返ってくる本数が増えるだけ。
最初は些細な仕返しだった。
ペンを隠されたから、指を一本。
三日後、本当に折れたと聞いて震えた。報いが怖くて、すぐに次の誰かを願った。
それからずっと、毎週。
今、僕の中には百本を超える“借り”が眠っている。
もうやめたい。うわさにもなっている。
でもやめた瞬間、全部返ってくる。
脚も腕も、肋骨も、顎も、全身が折れて、終わる。
自分の身体がどこから崩れていくか考えるだけで、動悸がする。
だから今日も願う。名前を書いて、折れる部位を選ぶ。
ただの作業。感情なんか、とっくに消えた。
逃げ場はない。
日々重ねていく、罪の総量に怯えるだけ。
……ふと、思いつく。
首を折れば、全てが終わるのではないか、と。
たった一つで、帳消しになるのではないか、と。
ああ、それなら。
もう少しだけ考えてみようか。
誰の名前を書くよりも、慎重に。
(473文字)
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