「気仙沼まち大学祭’25」|事象と証言、そして声を通じて気仙沼市の”まちづくり”と”ひとづくり”を知る
2025年2月9日、日曜日。宮城県気仙沼市で「気仙沼まち大学祭’25」が開催された。
気仙沼市が推進する「気仙沼まち大学構想」から生まれた市民主体のさまざまなチャレンジが集い、学び・対話・協働・共創を楽しく体感できるお祭です。
気仙沼市では、東日本大震災以降、人に根差した復興の取り組みを数多く実施している。多くの被災自治体がハード中心の復旧を力強く進める中、ハードの復旧と並行する形でソフトの復興にも力を入れた自治体は、恐らく稀有だったと思われる。
ソフトの復興は、誰もが大切だと理解していた一方で、そこに力を注ぐことは、ハードの復旧へ注ぐ力を削ぐリスクがある大きな挑戦だったためだ。結果となる現在の状況を見れば、気仙沼市のチャレンジは功を奏したと見え、おかげで様々な人々が主体的に行動する活力のある街になりつつある。
「気仙沼まち大学祭’25」は、そんな人に根差した復興を推し進めてきた気仙沼市において、人材育成やまちづくりなどに関する成果報告を内包したお祭りだと感じる。なお、昨年が第一回であり、この日行われたのが第二回である。筆者は昨年、謎の病に冒されて参加できなかったことから、今回初めて参加した。今年は謎の病に冒されなくて良かった。

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気仙沼市の”まちづくり”の歴史と現在を深く知られる「気仙沼まち大学祭’25」
「気仙沼まち大学祭’25」は、大きく分けて以下のプログラムで構成されていた。
気仙沼まちづくり年表展示
awcまんまるマルシェ
チャレンジャーズピッチ vol.16
気仙沼まち大学運営協議会&人材育成プログラム報告会
気仙沼まちづくり年表サイドストーリー
今回、一通り見て回ったため、それぞれについて感想を書こうと思う。なお、餅撒きには間に合わなかった。
気仙沼まちづくり年表展示&年表サイドストーリー
圧巻の世界が広がっていた。気仙沼まち大学運営協議会の方々が気仙沼市内の各地域(公民館)を巡り、住民との対話を通じて得た情報に加えて現存する膨大な資料の数々を参照し、事象と証言に分け、年表などの展示物としてデザインした空間である。かつて見たことないほど歴史と積み重なった想いの数々で満ちており、温かみが感じられた。




年表サイドストーリーでは、年表の制作ディレクションを行っていた志田氏、チーフの成宮氏が、サイドストーリーとして制作過程で出会った物語の数々や今回の展示のディレクションについて語るとともに、参加者からの質問に答えている。
昔から脈々と様々な形で行われてきた気仙沼市におけるまちづくりの歴史について知る機会となっただけでなく、気仙沼市がどうして人というものに対して類稀なほどの熱量を投じ続けているのか、その背景を知られたように思えて、これまで知らなかった気仙沼市の一面を垣間見られた思いだった。
また、『個々人の在り方として進取の気性に富んでいる』といったワードは、まさに市内外から多種多様な人々が訪れ、多様な人々を受容し、各々が活躍している気仙沼市を見事に表している言葉だと感嘆せずにいられなかった。
今回公開された展示については、気仙沼市で行われてきたまちづくりに関する事象を歩いて体感できるようにしたいといった想いや証言に重きを置き、ただ掲示するのではなく、吊るして漫画の吹き出しのようにすることで、生きた言葉として感じられるようにするといった想いがあることを知り、今回の展示に対する感動がより一層深まった。
awcまんまるマルシェ
awcまんまるマルシェは、気仙沼市で女性の人材育成に取り組んでいるwomenseyeが実施しているアクティブウーマンズカレッジの修了生たちによるマルシェである。修了生たち起点のマルシェとなっており、過去8期にわたって行われてきたアクティブウーマンズカレッジの各期の修了生たちの多くが携わっている。



PIER7の3階で、修了生が物販や美容に関するワークショップを開いており、多くの人々が訪れて賑わっていた。筆者としては、入り口すぐの場所にあった食品に関する展示が印象的だった。とくに麺類のスープをすべて飲んだ場合の塩分量と残したときの塩分量の違いは、知ってはいたものの改めて具体的な数字とともに見せられると感じるものがあり、学びがあった。おかげで昼食のラーメンはスープを残すことに成功した。
チャレンジャーズピッチ vol.16
PIER7の軽運動場では、チャレンジャーズピッチが開催されている。ローカルベンチャーズラボの修了生が、会場に訪れた聴衆を前にしてローカルベンチャーズラボで経験したことの話に加えて、今後何をやっていきたいか、今までやってきた活動をどのようにしていきたいかピッチしている。

登壇者は、気仙沼市から喫緊のローカルベンチャーズラボに参加した3名に加えて、現在気仙沼市で活動している1名、そして福島県で活動している1名の計5名である。加えて、ローカルベンチャーズラボにてメンターを務めていた1名が発表している。
環境再生型漁業の構築
ごきげんの種を気仙沼から全国へ
個人事業主型コーディネーターから経営・マネジメントへのシフト
福島から世界を目指すnaturadistill川内村蒸留所
人生の根っこを育み、生きる力を養うモリノネ
といったテーマについて各登壇者から話を聴けている。筆者としては、やはり小林氏がぬま大学の裏側でローカルベンチャーズラボの取り組みも進められていた事実を知ったのが印象的だった。限界を感じていことを契機としてローカルベンチャーズラボに参加したといった話であったが、新たな挑戦を始めるに至る限界とは何だろうかと思いそうになった。日々追われるように生き、余裕のない生活をしている筆者には、学びの多い話だった。
また、福島県の川内村で進められているクラフトジンの話の中で触れられた、事業としてクラフトジンを選んだ理由も印象的だった。クラフトジンならば、地域の持つ様々な魅力を材料にできる視点は、とても新鮮な視点で、そうした考え方もあるのかと気づきを得られた。なお、naturadistill川内村蒸留所で作られているジンを3月8日・9日に気仙沼市で購入できるイベントが行われるとのことである。
場所は、昨年の11月にshunshunsou POPUPを開催した、太田地域のHAMACHIDORI GALLERYである。ぜひ訪れて欲しい。詳細は、Instagramあるいは、公式のウェブサイトを確認して欲しい。
naturadistill (ナチュラディスティル)川内村蒸溜所:Instagram / Website
HAMACHIDORI GALLERY:Instagram
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気仙沼まち大学運営協議会&人材育成プログラム報告会
チャレンジャーズピッチの後、気仙沼市で行われている人材育成プログラムに関する報告会が行われている。報告を行ったのは、以下3つのプログラムである。
アクティブコミュニティー塾(50-60代中心のプログラム)
アクティブウーマンズカレッジ(女性中心のプログラム)
ぬま大学(20代-40代中心のプログラム)
それぞれ気仙沼市で活躍するリーダーの育成や発掘をテーマに展開されている人材育成プログラムであり、東日本大震災以降、気仙沼市が復興において重要視してきた人材育成をテーマとして扱う重要な取り組みである。
アクティブコミュニティー塾は、自治会などの地域活動に取り組む人々と密接に関わっているプログラムで、地域の今を支える重要性を強く感じる取り組みだった。アクティブウーマンズカレッジは、先述のマルシェで登場しているが、ダイバーシティが注視される現代において、地域で活躍する女性を増やし、支える上で貴重なプログラムに感じている。
ぬま大学は、筆者のnoteにおいて度々書いているため改めて書くのは控えるが、地域の次代を担う人材を育成する上で必要性の高いプログラムであり、また参加者の多くが移住者などの市外の人々である点に鑑みれば、関係人口を増やす上でも大切なプログラムに感じる。
報告会では、各々のプログラムに関する報告が行われただけでなく、今抱えている課題や今後発展させる上で考えられる課題についても話されている。それぞれ幾ばくか異なる課題が語られつつも、プログラム終了後の受講生との関係づくりや点から面への拡大など、気仙沼市を発展させる上で、共通の課題がある様子もうかがえた。
こうした課題、そして今回の報告会を踏まえて、来年度これらのプログラムがどのような形で行われるか、期待するばかりである。なお、これまで通りであるとぬま大学は4月に説明会・募集が行われ、5月から開始となる。今後新しい情報が出ると思われるため、ぜひInstagramなどを確認して欲しい。
「気仙沼まち大学祭’25」は今まで知らなかった気仙沼市の一面を垣間見られる稀有な機会だった
「気仙沼まち大学祭’25」に初めての参加となった今回、気仙沼市についてこれまで知らなかった多くのことを知られたように感じる。事象や証言の数々に触れ、気仙沼市でこれまで行われてきた”まちづくり”の歴史について知られたのは、「気仙沼まち大学祭’25」に参加したからこそである。
詳細のすべては記憶できていないが(主に記憶力の問題で)、数十年にわたり何万人もの人々の想いや行動を経て、今の”まちづくり”があると知られたのは確かである。年表や証言の数々に出会えなければ、こうした知見を得ることは一生なかったのではなかろうか。そう思えるだけで、心から訪れて良かったと感じる。
チャレンジャーズピッチやawcまんまるマルシェでは、地域で様々な取り組みをしている方々が、どんなことをしているのかを直接目で確認できたし、報告会を経てこれまで知らなかった人材育成プログラムを知り、気仙沼市が人材育成にかけている想いを今まで以上に感じられた。これも「気仙沼まち大学祭’25」に参加したからこそ感じられたものだと思う。来年がどのような形になるか分からないが、ぜひ来年も参加したい。
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