エアコンより階段の壁を選ぶ猫
12歳の愛猫バニラと、夏の過ごし方の話です。
夏はまだですが、今日は少し暑くて、
今年も早々にバニラの夏スタイルが始まりました。
例の、あの格好で。
我が家では、
夏になると外出中もリビングのエアコンをつけたままにしています。
バニラのためです。
電気代のことは、毎年一瞬だけ考えます。
そして毎年、すぐに考えるのをやめます。
温度は適正、環境も快適。
人間としては、それなりに誠意を見せています。
帰宅したら、バニラがいません。リビングにいません。
「まさか、どこか閉じ込めたか」と少しだけ嫌な想像をしながら探します。
います。階段にいます。
壁に足をつけて、おなかもぴったり壁につけて、
体をなるべく広げた状態で、静かに寝ています。
見た目としては、かなり平らです。
猫というより、何かの薄いものに近い状態です。
廊下は涼しくありません。むしろ普通に暑いです。
「なんでそこなの」と思いながら、
抱き上げてリビングに連れて戻します。
せっかく冷やした空間に返却します。
これで安心、と思います。
数分後、いなくなります。
嫌な予感がしますが、確認しに行きます。
います。
同じ場所に、同じ格好でいます。
一度リビングに戻されたことは、完全になかったことになっています。
ここまでくると、こちらも少し冷静になります。
おそらくバニラにとっての快適は、室温ではなく、
壁のひんやりとした感触なのだと思います。
エアコンは空気を冷やします。
でも階段の壁は、触れた部分の体温を直接持っていく。
理屈としては分かります。
分かりますが、だったらこのエアコンは何のためにあるのか、
という気持ちにはなります。
人間は空間を整えます。
バニラは、触れたときの感覚で場所を選びます。
どちらも間違ってはいません。
ただ、最終的に勝つのは、いつもバニラのほうです。
夏はまだこれからです。
それでもバニラの夏だけは、毎年少し早く始まります。
場所は決まっていて、格好も変わりません。

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