見出し画像

上達にショートカットはあるか ―― ワークショップで出会う若者たちへ

このところ夏のワークショップが続き、若い人たちと出会う機会が増えている。 絵について言葉を交わすのは僕にとっても本当に楽しく、嬉しい時間だ。 こちらの問いかけにガンガン質問やツッコミを入れてきてくれる熱量もとても心地いい。

しかし、彼らと対話していると、どこか「近道(ショートカット)」を探そうとする傾向があるのを感じる。

「どうすればもっと早く上達できますか?」
「すぐにプロになれる簡単な方法はありませんか?」

……うん、その焦る気持ちは痛いほど分かる。

僕だって夜一人でパソコンに向かっているとき、息子に「もっと簡単なキー(ショートカット)があるよ!」と呆れられながら教わることがある。 「ほ〜っ!」と感心はするものの、頭と手が追いつかず、結局ちんたら時間をかけてキーを打っているのだから人のことは言えない。

では、絵の世界はどうだろうか。

ワークショップには「絵で少しでも収入を得たい」「プロになりたい」と相談に来る人も多い。 そんな参加者に、僕はいつもこう話す。

「本当に絵を描くことが好きで、ワクワクしながらその絵で誰かを喜ばせたいのなら、それは決して難しいことじゃないよ。大勢の人に認められる必要なんてない。自分が描いた一枚を『これ、好き!』と言って買ってくれる『たった一人』に出会えればいいのだから」

ここんところが実はすごく大切なのに皆、気付かない。
上の方、理想ばっかり見ちゃうから。。。

もっと認められたい
もっとたくさんの人に見てもらいたい

だって今描いた作品は一枚だけだよ。
100人が欲しいと言っても一人のところにしかいかない。
そこを見ていない。

けれど、プロとアマチュアを分ける本当の境目は、そこから先にある。
それは「自作に対するジャッジの厳しさ」だ。

「薔薇の園 笛の音は遠く」 水彩/ジーザスパステル F20

*このモデルさんはベルギーから日本に来ている子で自らもパフォーマー
ふと、そこに立つ・その瞬間に別世界に連れて行ってくれます*


「これで良し!」と自分で心から納得し、世に送り出せるかどうか。 プロになればなるほど、絵で飯を食うようになればなるほど、自作への基準は厳しく、どんどん高くなっていく。簡単には「これで良し」と思えず、苦しみ、もがき続けることになる。

だからこそ、良い作品を生み出すための魔法のようなショートカットなんて、存在しないのだ。

そしてもう一つ。「人に喜んでもらう」というのは、単に「見る人に共感してもらう」ということではないと思う。
逆だ。。。僕たちプロは、相手に共感してもらうために描くのではなく、「自分自身が、描く対象や相手にどこまで深く共感できるか」を問われているのではないだろうか。

小手先の技術だけでは辿り着けない場所がある。
だからこそ途方もなく、けれど絵描きという生き方は、最高に豊かで面白いのじゃないかな

と、、、ジーさんになった絵描きは偉そうに語る。


いいなと思ったら応援しよう!

vasenoir 村田 旭 僕はもう充分歳なので、、 頂いたチップは若手の応援の為に使わせて頂きます!! ありがとうございます