【詩】誤った音楽による間接的殺人
崩壊へ導く三拍子に酔う
心優しき痴れ者と
来る日も来る日も海に向かい
全休符を指揮する女は
出会った瞬間
互いの瞳の中に
切望と絶望をみた
遡及の許されない
この作り物のような寒く美しい世界で
それでも二人は必死に生きた
だが彼らは
三拍子と全休符とを掛け合わせ
海と崩壊とを関連づけようなどと
いつしかあべこべで致命的な混迷に陥った
——誤った音楽は豪快なる三拍子で
彼らの手を引き 導いた——
やがて二人が打ち上げられた浜辺には
切り取られた音符が散在していた
果たして殺人か心中か
二人は息をひきとった
行方をくらました楽譜の
策略のその意味さえ知らぬまま
