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N° 111.[伊藤のヨタばなし] 宇宙調理に関して:宇宙調理理論 ロードマップ 2-10.標準化・量産モデル設計


最終的に得られた知見をベースに「ISO規格」「Artemis協定」レベルの保存食品仕様を策定し、量産および国際共同利用に向けた設計を確定する。]

今の世界情勢では、Artemis II が2026年初頭の有人試験飛行を終え
NASAは食品について「微小重力で扱いやすいこと、くずを出さないこと、安全で安定していること、さらに mass・volume・power の制約に合うこと」を明確に重視しています。
NASAの最新リスク整理でも、月周回・月面向けの現行フード供給と調製能力は
NASA Standard 3001に達しておらず、乗組員個別対応もまだ不足しているとされています。
つまり、いま必要なのは「保存できる食品」から一段進んで、
国際ミッションで共通に使える保存食品の合格基準を決めることだと思います。

その意味で、Artemis Accords は非常に重要です。
NASAは2026年5月時点で、Artemis Accords の署名国が67か国に達したと発表しており、これは月面利用が単独国家ではなく、多国間の共通原則の上で進んでいることを示しています。Artemis Accords 自体も、月やその先の探査を安全・平和・繁栄のために行う共通原則をまとめた枠組みです。
したがって、ロードマップ②-⑩は、単なる技術仕様ではなく、
国際共同利用に耐える運用規格の入口として設計することを目的の一つとして進めていきたいと思います。

この章で標準化するべきものとして、大きく4つ。
第一に、食品そのものの仕様です。
どの保存食品が、どのミッション長・どの作業環境・どの栄養要求に対応するのかを、クラス分けして定義します。

第二に、包装の仕様です。
水蒸気や酸素をどれだけ通しにくいか、シールがどれだけ強いかを測れる形にします。

第三に、再加水・再加熱・喫食の操作仕様です。
宇宙飛行士が短時間で扱えることが重要です。

第四に、量産・流通・記録の仕様です。
誰が作っても同じ品質になり、追跡でき、国際共同利用できる形にすることです。
ISO 22000は、食品チェーン全体で食品安全を管理するFSMSの国際規格で、HACCPの考え方を統合しています。
包装については、ISO/TS 21975がポリマー系ナノコンポジット膜のバリア性評価として
酸素・水蒸気・UV-Vis透過などの測定項目を定めています。
これらは、宇宙用保存食品の基礎線になります。

ここでの「何を合格とするのか」は、次のように整理できます。

安全性では、ISO 22000に沿った食品安全管理ができていること。
栄養性では、ミッション期間を通して主要栄養素が十分に残ること。
包装性能では、WVTR/OTR などのバリア性能が目標内で、シールが破れないこと。ISO/TS 21975がまさにこの「バリア性を測る」ための考え方を与えています。
操作性では、再構成に必要な手順が少なく、短時間で済み、失敗しにくいこと。
官能性では、保存前との差が許容範囲内で、反復摂取しても受け入れられること。
循環性では、包装材や残渣を回収・再資源化できること。
この6点をそろえて初めて、月面基地での標準仕様として合格とみなせます。

ロードマップ②-①〜②-⑨を統合すると、
標準化の中心は「食品をどう作るか」ではなく、
「どの条件を満たせば月面で使ってよいと認めるか」に移ります。
つまり、保存食品を、緊急食・通常食・嗜好食のようなクラスに分け、
それぞれに、保存期限、重量、体積、再構成時間、官能下限、包装性能、廃棄後体積までを割り当てる設計です。
ISOは世界中の専門家が合意して作る国際規格の仕組みであり、
こうしたクラス分けと合格基準の設計と相性が良いです。


ここでの集約として、
「この“伊藤のヨタばなし“では、保存技術、包装、再構成、官能、循環利用を統合した評価基準を定義し、月面基地において継続利用可能な保存食品の国際標準化を目指す。」

次回は、もう少し追加考察を入れたいと思います。

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ということ事で今回はここまで。
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