知っている街の知らない顔。
日頃買い物をしたり用事を済ませるのは全て午前中である。歯医者や美容室の予約も必ず午前中に取ることにしているくらい、午後からは外に出たくない人間だ。理由は特にないのだけど、家事や用事を全て終えてもまだお昼ごろというのがお得感があってなんとなく好きなのである。午後2時くらいになると「ああもう今日も終わりだな〜」と思うくらい、私の日常生活は1日の前半に集中している。
そういうわけで夕方、それも外が暗くなってからひとりで出かけることなど皆無の私。それでもたまに、本当に稀に外に出ることがある。夫が不在の日だ。そんな日は晩ごはんも作らずお惣菜などを適当に買ってきて1人で宅飲みをするのが密かな楽しみなので、お惣菜がたくさんお店に並ぶ夕方にあえて買い物に行くのだ。半額・2割引などのシールが貼られたパック入りのお惣菜は特に人気で、お仕事帰りの方々やおそらく私と同じような主婦の皆さんによって次々と買い物カゴに入れられていく。同じスーパーでも午前中はご高齢のお客さんが多いから、夕方は別の活気を感じて面白い。
先日は夫が出張で帰りの遅い日だったので、日も暮れようとしている夕方6時半ごろから自転車に乗ってちょっと遠めのスーパーまで行ってみた。いつも通る道も午前中はランニングをしている人やお散歩をする高齢者を見かけることが多いが、夕方から夜にかけての時間はお仕事帰りの人が多い。それから部活帰りの学生さんたち、自転車の後ろに子どもを乗せたお母さんたち。一番多いのが、なんと言っても散歩中の犬だ。みんな赤やら青やらレインボーカラーのピカピカ光る首輪をつけてご機嫌で歩いている。この街のどこにこんなにたくさんのワンちゃんがいたのか不思議になるくらいだ。それから、外が暗くなってくると自販機がやけに目立つ。明るく光っているから昼間よりずっと存在感があるのだ。こんなところにあったのかと思うこともしばしば。
買い物を済ませてまた自転車に乗ると、来た時よりも外はずっと暗くなっていた。走り始めてすぐにライトをつけ忘れていることに気づく。いつも昼間しか乗らないから自転車のライトをつける習慣がなく、どのボタンを押すのか一瞬迷ったくらいである。暗くなると外は本当に見えづらいという当たり前のことを改めて感じた。
営業が始まった焼き肉店から漂ってくる匂い。美味しそう。ファストフードの店内にいるお母さんと子どもたち。そういう晩ごはんもいいね。駅の改札口から次々に出てくる人たち。今日も暑い中お疲れ様でした。昼間とは違う街の風景が私にはとても新鮮だ。さっきまであんなに暑かったのに、風は随分涼しい。数時間の違いで見慣れた街も別の顔になるんだな。時間だけでなく季節によっても風景は少しずつ変化する。今ではそうやって時々束の間の夜の外出を楽しむ私である。
