保育園からの帰り道
いまは高校生の長男がまだ保育園児だったころの話。
平日の朝はEテレの「おかあさんといっしょ」を途中まで観てから家を出る。
「ポコポッテイト」というコーナーが終わるのが、8:06だったと記憶している。
「ポコポッテーイト、ちゃんっ」 と音楽が終わったタイミングでテレビを切る。
切るタイミングが遅いと次のコーナーを観たがるし、タイミングが早いと「なんで切るんだよぉ」と泣き出す長男。
だから、絶妙なタイミングでテレビを切るため、私は8:04くらいからリモコンを握っていた。
そこから息子がぐずらないように、靴下を履かせ、玄関まで連れて行って靴を履かせて家を出る。
歌を歌ったり、お話しをしたりしながら保育園まで手をつないで歩く。
途中、友達に会うと嬉しそうに保育園に足早に向かってくれるので、私としてはラッキー。
なんとか息子がくずりませんように。保育園までスムーズに行きますように。そう願いながら歩いた。
息子を送って、遅くとも8:35には保育園を出たい。
そうすれば、9時からの仕事に間に合う。
8:45になってしまった時はもう絶望的な気持ちになりつつ、保育園から職場までダッシュした。
仕事が終わり、保育園に息子を迎えに行った後は、もう何も用事がないので私もようやく肩の力が抜ける。
いったん荷物を置いてから、また外に出る。
夕方の散歩をしないと気が済まない子だったので、それにも付き合う。
そんな毎日を送っていたある日。
私は仕事で何かトラブルがあって、とても気持ちが落ち込んでいて、イライラしてもいた。
仕事が終わり、保育園のお迎えへ。
職場を出たら気持ちを切り替える。 保育園までの道を歩きながら、仕事モードが少しずつ抜け落ちていき、お母さんモードになっていく。
息子と手をつないで家までのいつもの道を歩く。 少し坂を登ったところがあり、そこからきれいな夕焼けが見えた。
わあ、きれいだね。
そんな夕焼けを見ていたら、急に叫びたくなってきた。
「ママ、夕陽に向かって叫んじゃおうかな。」と息子に言ってから、叫んだ。
バカやろーーー!!
息子は、きょとんとしていた。
少しして、「ぼくも、やるー。」 と息子が言った。
「ママはー、ママはー、おしごとがんばってるぞー!!」
息子が夕陽に向かって叫んでいた。
泣いた。
その後のことはよく覚えていない。
ただ、涙で夕陽がにじみ、オレンジ色だけが心に残っている。
