【脊髄損傷 小さな前進ノート①】
気づかなかった“最初の異変”
この記録を書こうと思ったのは、
あの時の感覚を忘れたくないと思ったからです。
現在は退院し、
リハビリを続けています。
少しずつできることも増えてきました。
だからこそ、
入院直後や動けなかった頃の感覚は、
時間とともに薄れていく気がしています。
でも、
あの時は本当に辛かった。
そして当時は、
何が起きているのか分からなかった。
もしこの記録が、
同じような症状で悩む人や、
家族、医療者、
誰かの理解につながるなら、
意味があるかもしれないと思い、
書き残すことにしました。
今振り返ると、
あれは明らかに異常でした。
でも当時の自分には、
何が起きているのか分かりませんでした。
最初に強く感じるようになったのは、
脚に力が入りにくい感覚でした。
立ち上がりや歩行で、
うまく踏ん張れない。
「なんかおかしい」
そんな違和感がありました。
さらに、
尿も出しづらい。
腹部も張っていました。
ただその時は、
脊髄の問題とは全く思っていませんでした。
自分はその前から、
2年ほど腰痛で通院していました。
内服。
牽引。
電気治療。
いわゆる一般的な腰痛治療です。
もちろん、
当時の時点でどこまで脊髄の異常が進行していたかは分かりません。
ただ結果的には、
問題は単なる腰痛ではありませんでした。
その後、
急に脚に力が入らなくなりました。
そして、
自力で立てなくなりました。
昨日までできていたことが、
急にできなくなる。
これはかなり怖かったです。
救急外来では、
まず導尿をされました。
その時、
1L以上の尿が出ました。
今思えば、
かなり強い排尿障害が起きていた状態でした。
導尿後のことは、
今でも覚えています。
張っていた腹部が、
急にへこんだ。
腹部の痛みも、
かなり楽になりました。
それまで自分では、
「お腹が張っている」
感覚でした。
でも実際は、
尿が大量に溜まっていた状態だったのです。
自分の場合、
尿が漏れる感覚はありませんでした。
だからこそ、
危機感を持ちにくかった。
実際には、
膀胱にどんどん尿が溜まっていたのです。
脊髄は、
単に脚を動かす神経ではありません。
排尿・排便など、
自律神経にも深く関わっています。
特に、
胸椎下部〜腰椎レベル、
さらに仙髄に関わる障害では、
排尿・排便障害が起きやすくなります。
自分の障害部位は、
胸椎11・12レベルでした。

このあたりは、
脚の運動だけでなく、
膀胱や直腸の機能にも関係する神経経路が通っています。
そのため、
脊髄障害では、
尿が出せない
尿意が分からない
逆に失禁する
便秘が強くなる
便意が分かりにくい
といった症状が起こります。
また、
脊髄損傷は障害部位や程度によって、
症状がかなり違います。
強い痙縮が出る人。
温度感覚異常が出る人。
発汗異常が出る人。
神経障害性疼痛が強い人。
自分には出ていない症状でも、
他の方には強く出ることがあります。
特に、
もっと上位の胸椎や頸髄障害では、
発汗や体温調整など、
自律神経への影響がさらに強く出ることもあります。
しかも厄介なのは、
「動けない」
よりも、
排泄障害の方が生活に影響することも多いという点です。
歩行障害は周囲から見えやすい。
でも、
排尿・排便障害は見えません。
だからこそ、
当事者しか分からない苦しさがあります。
今思い返すと、
もっと前からサインはあったのかもしれません。
10年ほど前、
長年続けていたバレーボールで、
ジャンプ着地した瞬間から、
両足裏にしびれが出ました。
最初は、
むずむずするような違和感でした。
ただ、
日常生活はできていた。
だから病院には行きませんでした。
そして時間とともに、
その感覚に“慣れてしまった”。
今振り返ると、
あの頃から、
黄色靱帯骨化症による脊髄圧迫が始まっていた可能性も
あるのかもしれません。
もちろん、
今となっては正確には分かりません。
ただ、
脊髄疾患というのは、
突然起きるだけではなく、
長い時間をかけて進行していることもある。
今はそう感じています。
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