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言葉より安心が勝った瞬間

安心って、言葉でつくれるものだと思っていました。

「大丈夫ですよ」
「そばにいますからね」

そう伝えれば、きっと落ち着いてもらえると。

でもある日、私は気づきました。

言葉よりも先に、
安心が届く瞬間があるということを。

介護の現場で働いていると、
“正しい言葉”を探してしまうことがあります。

励ます言葉。
安心させる言葉。
傷つけない言葉。

うまく伝えられなかったらどうしよう。
余計に不安にさせてしまったらどうしよう。

そんなふうに、私はいつも
言葉を握りしめていました。

でも——

ある日、
言葉を使わずに、安心が生まれた瞬間がありました。

帰宅願望が強く、
「どうしよう」とソワソワしているご利用者Cさん。

「車の手配をしてきますね」
「今日は泊まりですよ」
「お迎えが来るまで、ゆっくりしませんか」

さまざまな声掛けを試しても、
気持ちは落ち着きませんでした。

そんな時、ソファーに座るCさんの隣に座り、
そっと手に触れると、ぎゅっと握り返してくれました。

子どもを寝かしつけるように、
トントンと優しくリズムを刻む。

すると——

「あなたの手は温かいわね」

そう言って、にこやかに笑うCさんの姿がありました。

人のぬくもりが、
安心へとつながった瞬間でした。

そこからCさんは落ち着きを取り戻し、
「あなたがいるなら」と、受け入れてくれました。

私はその時、気づいたのです。

安心は、言葉だけでつくるものではないということを。

どんなに正しい言葉でも、
届かなければ意味をなさない。

だからこそ、
触れること、そばにいること、
その“存在”そのものが、安心になる。

言葉に頼りすぎていた私にとって、
大きな学びとなった出来事でした。


あなたにとっての【安心】は、
どんな瞬間ですか?

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