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【創作大賞2024応募作ファンタジー小説部門】カザン #4

2020年7月


 
■■■
2020年に戻ってきたら、7月になっていた。
スマホの日付は7月4日(木)で、アメリカの建国記念日だ。
朝6時42分。外は雨。菫色の雨が降っている。
雨が菫色に見えるのは、夏の朝から午前中いっぱいだと聞いたことがある。
 
きれいな淡い紫煙る雨。強い雨ではないが、ずっと降り続いている印象だ。
 
部屋に変わりはない。でもちゃんと、扇風機が出してある。テーブルには、ダイソーで買った携帯用のファンとマスクが置かれている。僕は、毎日生活していたのか?
 
「おはよう」スマートスピーカーからカザンの声がした。
「おはよう、やっぱりいるんだ?」
「そうね、いるわ」
「7月になっている。どうしてなんだい?」
「タイムリープがずれただけよ。あなたの意識がビッグデータの中で私たちの年代まで来た時も2020年は時間が進んでいる。あなたの肉体は普通に生活を続けていた」
「意識はないのに?」
「無意識でも生活はできるわ。その程度のつまらない生活なら」
「つまらない生活は、余計なお世話だね」
「朝起きて、決して健康的とは言えない朝食を食べて、身支度をして、リモートの講義を部屋で受けて、怯えながらそそくさと外へ出てコンビニで食料の買い物して、後はゲーム三昧。つまらない生活だわ」
「…」
 
久しぶりに大学へ出かけた。マスクをして、傘をさして。
前期の試験、レポートの提出はメールで送ってあるので、そのために大学に行くのではない。アルバイトの情報を取りに行くために出かける。
 
僕はこの大学にこの春に入った。ICTの最先端を学ぶためだ。アルバイトもその方向のベンチャー企業か、手っ取り早く家庭教師を選びたい。そのため大学の求人情報を見に行くのだ。
 
大学に着くとすぐに学生課がある1号館に入り、学生課の前の廊下に広げてある掲示板を見に行った。勿論、アルバイト情報は学生課のHPにも掲載される筈なのだが、この時期掲載件数は極端に少なく、また単純作業のような職種ばかりだったので、ひょっとしたらと思い、掲示板を見に来る事にしたのだ。
 
やはりこの時期は、求人は全く無くてがっかりした。
 
昼時だったので、学食に行った。学生課にしても、学食にしても、僕はこれまで行ったことがない場所ばかりの筈だった。何故なら、僕はこれまで一度も大学に来た事がない筈だからだ。それでも、何も違和感なくスムーズに移動している。カザンが言う通り、やはり僕の肉体は、今日まで普通に2020年で暮らしていたんだろう。何故ならスマホに履歴として残っている僕のスケジュールでは、5月~7月までの間で僕は2回ほど学内に来ている事になっているからだ。しかも2回とも学生課への用事で、用が済むと学食で昼食を食べて帰っている。 
 
受け入れるには、多少心のパワーが必要だ。
 
学食で、カツ丼を食べていると、スマホがバイブが鳴った。
スマホを取り出すと、画面にカザンが現れた。
「スマートウォッチでずっと見てたわ。ここがあなたの大学?」
「そう」
「令和チックね。どれもこれも古めかしい」
「令和チック?僕にとっては昭和チックだけどね」
「昭和?昭和って、令和の一つ前?」
「いや二つ前。昭和→平成→令和だから」
「大昔じゃん。遺跡みたいなところで勉強してるんだね?」
「ほっといてくれよ、そんな事。僕、今、食事中なんだ。ちょっと食べさせてくれるかな?」
「いいけど、何を食べているの?」
「カツ丼」
「って、何?」
「カツ丼を知らないの?22世紀にはない?」
「知らないわ、カツ丼」
「豚カツを卵でとじて、ご飯の上に乗せる」
「豚カツって何?」
「豚肉をパン粉をつけて揚げたもの」
「豚肉?豚って、あの動物の豚?」
「そう」
「やっぱり、歴史の授業で聞いていた通り、その時代の人は、豚を飼育して、殺して食べているの?」
「イヤな言い方するなあ。でも、そういう事になるね」
「どうして?」
「普通に栄養摂取のためだよ。肉は重要なたんぱく質の摂取源だからね。君たちは何を食べているんだい?」
「気持ち悪い!」
 
カザンが画面から消えた。
 
学食を出て、地下鉄の駅に向かって歩いていると、後ろから声がした。
「おう、サカキじゃね?」振り向くと、高崎が傘もささずに、手を振ってきた。高崎は予備校時代からずっと一緒の地元の友達だ。僕は二浪、彼は三浪。お互い今年入学した仲だ。高崎は断りもせずに僕の傘の中に入ってきた。
「高崎、どうしたの?授業はないだろ?」
「ギャンブル同好会設立に向けて、諸々調整のため。」
 
彼は浪人時代、予備校に行かず、いつも雀荘かパチンコ屋にいたぐらいギャンブル狂だった。この大学に入ってまでギャンブル同好会?
 
「本当に作るの?ギャンブル同好会。」
「作るさ。ギャンブルは数学の謎を解くための最大のモチベーションになる。」
 
そう、彼は数学科に入学した。
 
「ちょっと、行かね?パチンコ?30分で2万発出る台が出たんだ」
「えっ、そうなの?」
 
甘い言葉につられ、高崎と連れ立ってパチンコ屋に向かった。
 
2人でJRに乗り、飯田橋へ出た。僕は地下鉄で茗荷谷に帰るつもりだったので、反対方向だ。僕の傘に二人で入りながら歩き、駅前の商店街の中のパチンコ屋の前に着いた。
「この店がな、よく出るんだよ。」高崎は自慢気に話した。
騒がしい店内には、マスクをした人ばかり、無言で台に向かっている。マスク。年齢、性別、統一感のない人々。無言の眼差し。喧しいぐらいのBGM。台から出るキンキンする音。
 
慣れない僕は、心臓がバクバクしていた。仕送りは、部屋の家賃を含めて12万円。どうやり繰りしても足らない。不足分をバイトで稼ごうと思っていたのだが、仕事がない今は、仕送り額を3万円増やしてもらっている。僕は母一人、子一人で育ってきた。父は、僕が3歳の時に事故で亡くなっていた。母が精いっぱい働いて送ってくれている仕送り。これをどうにか増やせないかと、高崎の言葉につられ、初めてパチンコをすることにした。
 
高崎は色々と説明してくれたが、ほとんど理解できなかったので、とにかく玉を出してハンドルを握った。並びで座ることができなかったので、高崎はだいぶ離れた自分の席で打ち始めた。他の客と同じマスク姿で、無言で。
 
打ち出すとスマートウォッチが振動し始めた。見ると、カザンの顔が映し出されている。
 
「そこ、どこなの?煩すぎるんだけど」
「パチンコ屋」
「そんなに煩いところが快適なの?」
「金を稼ぐためさ」
「お金?ああ、歴史で勉強したわ。お金って、そんなに大事なの?」
「大事さ、生活するためにね。そっちの時代にはお金はないの?」
「お金なんてないわ。あるのはLPだけ」
「LP?なんだそりゃ?」
「うるさくないところでゆっくり説明するわ。お金が大事なのね?」
僕はかいつまんで事情を説明した。仕送りの事、家賃の事、食費の事、ゲームの課金の事、仕事がない事。
「分かったわ。このゲームはどうすればよいの?」
「液晶の数字が揃えばいいんだ」
「分かった。任せて」
 
それから僕の台はずっと当たりっ放しとなり、1時間半で6万発を出した。換金して、粘る高崎を置いて、家に帰った。 
 
電車を乗り継ぎ、1時間後には家に帰りついた。夜の始まりのころ、電車はいずれも普通にラッシュアワーを迎えていた。
 
混み合う車内。マスクを外して話す若者、年寄り、サラリーマン。息が詰まりそうになる。早く着け、祈りながら息を浅くしてドア前に立っていた。ウィルスの事だけが心配だった。
 
やっとの思いで最寄り駅に着いた。僕は階段を走って上がり、地上に出た。地上に着くとホッとした気分になった。何だか空気が新鮮な気がした。しかし、その時に気がついた。傘を高崎に預けたままだという事を。途端に僕はブルーになった。傘は高崎が返してくれるだろうから心配はしていない。高崎はそういうところはしっかりしたヤツだ。でも、この雨の中を傘無しでマンションまで歩くのはキツイ。駅から北西に20分ほど歩かなければならないし、坂をだいぶ上る。雨はずっと降り続いている。濡れて少し肌寒いし、上京する前に買った新しいスニーカーがズクズクになっているのがすごく気になる。気分が滅入る程にずぶ濡れになり、僕はマンションに着いた。
エレベーターの中を水浸しにするのが憚れたので、僕はぼたぼたと水滴を垂らし、ふらつきながらゆっくり3階まで階段を上がった。
それまで体調が悪かった覚えはないし、熱も出てなければ寒気も感じないのに、全身ずぶ濡れだと何故かふらつく。これはどういう現象だろうと思った。ただ濡れただけなのだが、服が水を吸って重くなってるからか、濡れた服が肌に張り付く違和感からなのか、兎に角気分が悪く感じ足元がふらつくんだ。
 
ドアを開け、明かりをつけると、駅前で買ったウナギの蒲焼弁当をテーブルに置く。
「おかえりなさい」スピーカーからカザンの声がした。
「ビックリした。ドキドキさせるなよ、心臓に悪い」と言いながら、僕は濡れて張り付いている靴下を剥ぐように脱ぎ、スニーカーを洗濯機の上に干しに行った。うちの洗面所には乾燥ファンがついているからだ。
「ビックリする事ある?私がいることは知っているでしょう?」
「知ってても、やっぱりビックリするよ。この部屋に僕は一人で住んでいるのだから」
「私も住んでいるのよ。いい加減きちんと理解したら?」
「ううん…」膝下まで濡れているパンツを脱ごうとして、ためらった。替えの下着とルームウェアをもってシャワールームに向かった。
 
脱衣所で濡れた服を脱ぎ、シャワーを浴びた。風邪を引いては元も子もないので、十分に熱い湯を被って温まってから出た。
 
部屋着を着て部屋に戻ると、持っていったバッグからほんのり光が零れていた。バッグを開けるとスマホの画面が光っていた。スマホを取り出すと、3Dスコープが立ち上がった。カザンが出てきた。出てきたカザンは、等身大のように見えた。姿は、相変わらずリアルな二次的アイドルのようだ。アーモンド形の瞳。僕を見つめている。
 
「どうしたあ?」声が掠れる。美しさに慌てている。
「それは何?」買ってきた弁当を指さした。
「ウナギの蒲焼」
「ウナギ?」弁当を開けて見せた。タレの甘辛い香りが辺りに広がる。
「いい匂いね」
「えっ、匂いが分かるの?」
「分かるよ。HANDANが情報を集めてくれる」
「そうなんだ。ウナギはぜいたく品だからね、なかなか食べられない。君のおかげだよ、今晩ウナギにありつけたのは」
「お金が入ったから?」
「そうそう、パチンコ屋もビックリしてたよ。本当にありがとう」
「あんな事、簡単よ。そんなにお金が大事なの?」
「そう言えば、そっちの時代はお金がないんだって?」
「そうよ、LPだけ」
「そうそう、そのLPって何?なんでお金がないの?どうやって、生活しているんだい?」
「また、一度に質問は一つだけよ。まず、LPはライフポイントの事」
「ライフポイント?」
「そう、私たちは基本的に35歳で肉体的な寿命を終える事になっているの」「えっ、何の事?何を言ってるの?」
「人間は、自然界では色々と厄介な存在になっているんだけど、大体35歳を過ぎると色々の病気になったりするので、基本的にいったん35歳で寿命が来る事が法律で決まっているの。」
「35歳を過ぎると、何らかで殺されちゃうの?」
「基本的にはそう。安楽死だけどね。でもそれが条件によって、ちょっとずつ色々と違ってくることになってて…私たちは生まれてからずっと、ヘルスメーターと一緒に暮らすことは話したよね」
「ヘルスメーター、うんうん、聞いた。ヘルスメーターって、ロボットだろ?」
「ライフパートナーよ。ミリがいないと私は生活できない」
「ミリって言うんだ。そんなに大切な存在なんだ」
「そう、ミリは私の体調を1日中測定してくれている。健康な状態を維持し続けるとLPをもらえる」
「LPをもらえると、何を得するんだい?」
「ずっと、LPを貯め続けて34歳と11か月の日に貯まったライフポイントをミリから発表されるの。貯まったポイントによって、寿命がどれぐらい伸びるかが分かる」
「それで、長生きできるんだ?どれぐらい伸びるんだ?」
「それは分からないんだけど、更にLPの量次第で、寿命を迎えた後で『意識』として生きることができる」
「『意識』として?仮想空間で生き続けるのか?」
「そう」
「それはどれぐらい生き続けるの?」
「それは公表されてないからよく分からないんだけど、たぶん永遠に生き続けると思う」
「永遠に?それは可能なのか?まあ、可能だわな」
「困るのは、誰が『意識』として生き続けているのかが分からない事」 「そうか、そうだね。でも、それって、困る事?」
「そりゃ、そうよ。意識となった人たちは私たちみたいにこれから『意識』になる事を目指す者の足手まといになる場合があるもの」
「足手まとい?何で?」
「私たちは、仕事も勉強も成果を出す毎にLPを貯められる。LPをいっぱい貯めたいから一生懸命に勉強するし、仕事をする。そして、一定量のLPが貯まったら『意識』になる事を約束される。でも、例えば私が学んでいる大学の教授が『意識』だったら、私がどうなろうと彼には関係ない。だって、彼はもう『意識』になっているわけだから。だから、場合によっては私の努力を無視して、自分の好みだけで私を評価する事があってもおかしくはない」「そうか、そうだね。既に『意識』になってる人には、評価は関係ないもんな。だとすると『意識』化出来た人々は、ある意味、特権階級みたいなもんなんだなあ。でも、それって見分けはつかないの?」
「つかないわ。あなたも私がリアルな存在かどうか、分からないでしょう?」
「そうだね。随分生きにくい時代だね。なんでそんな制度?HANDANが決めたの?」
「私たちの社会制度は全部HANDANが決めたわ。彼はいつも正しい。だから、みんな従うの」
「35歳までしか生きられなくても?ずっと、同じ部屋で一生過ごしても?」「感染対策だもの、仕方ないわ。自然界における人間の存在を適正化するために必要な事なのよ」
「適正化?」
「あなた、ピュシスとロゴスを知っている?」
「知らない。何語なの?」
「古代ギリシア語よ。ピュシスは自然、ロゴスは言語」
「そうなんだ…で、それって、何を意味するの?」
「自然界的には、地球上のあらゆる生物はピュシスに属するはずなの。でも、人間は違った。ロゴスを得たからよ。ロゴスは人間に精密で濃厚なコミュニケーションをもたらした」
「確かに、読んで書いて話してコミュニケーションを取るのは人間だけだと聞いた事あるよ」
「そのコミュニケーションの結果、人間だけが文明を切り開いたの」
「なるほど。それで人間は進化し続けるわけだ」
「進化も退化もしているわ。人間は一方でピュシスに属し続けているからよ。自然界には厳しい遺伝子の掟があるわ」
「掟?」
「自然界では、全ての生物が『産めよ、増やせよ』という掟の下に生存している。その掟はウィルスにも適応されている」
「そうか、だから自分たちの種を増やすために突然変異してまでも、ウィルスは繁殖し続けるんだ」
「そう。だから人間は厄介なのよ。ピュシスとロゴスの狭間で生き続けなければならない。ロゴスだけに頼ったり、ロゴスを超えられるような錯覚をしてはいけない」
「ピュシスの一員である事を決して忘れてはいけない、という事だね」
「そうね」
「ここまで、ずっと同じ結論になる話を繰り返ししているような気がするんだけど、結局君は、その警鐘を鳴らすために僕に会いに来たのかい?」
「違うわ。そんなことをあなただけに話しても無力だという事ぐらいは分かっている」
 
カザンは俯き、黙り込んだ。話すのを躊躇っているように見えた。
 
僕は、彼女が口を開くのを待った。
 
カザンの唇が動いた。
 
「私たちはHANDANから過去を動かす事を禁止されている」
「うん」
「それが正しい事は分かっているの」
「何が?」
「35歳でいったん寿命が来る事。そこからLP次第で『意識』になれる事」「感染予防対策や、君が言う自然界の掟的には正しいんだろうけど…」 「でもね、やっぱり死にたくないの。リアルに生きたい。リアルに生きてもね、何も良い事ないと教えられているし、肉体を失う事に大した意味がない事も知ってる。でも、やっぱり生きれるなら生きたい。そんな風にね、思う人が多くなってきてるの。私の時代でも」
「HANDANに背いてまでも?」
「…」
「そうだよね、分かるよ。リアルな肉体で生きたいよな。それが人間だよな、結局のところ…HANDANには分からねえだろうけどね」
「何でなんだろうね?」
「あったかいからじゃない?」
「あったかい?何が?」
僕は立ち上がり、カザンの前に立った。そして、カザンを抱きしめた。3Dホロスコープなので実感はない。ただ何となく抱きしめているフリをした。フリの筈なのにカザンの身体は、何だか冷たい感じがした。
 
「ほらね、僕の身体はあったかいだろう?あったかいのがリアルなのさ」「そうね、そうかもね」
 
ゆっくりカザンの身体を離した。顔を覗き込む。少し泣いているのか? 肩が震えている。
 
「心拍数が上がっている。体温も0.3度上昇。ヤバい、ミリに怒られちゃう」「アドレナリンが出てるから感情が高ぶるんだよ。人間だから仕方がない」
「でも、LP的には減点になるわ。今日はポイント獲得できずになっちゃう。それって、まずいのよ。何とかしなきゃ…」
「深呼吸してみたら?あと、ストレッチはどうかな?」
「やってみる」
ホロスコープのカザンが部屋の広いところに移り、深呼吸を始めた。それが何だかおかしかった。
「やっぱりすぐには心拍数は下がらないわ。ホント、どうしよう?」  「人は、心と身体が一体だから、心が動くと、身体はどうしても反応してしまう。いつも同じ状態を保ち続けるのは難しいんだと思うよ。」
「そうね、とっても難しいわ」
ついに、カザンは声をあげて泣き始めた。声は次第に大きくなり、号泣となった。いつまでも続く泣き声、嗚咽。全部吐き出させようと思って、僕はずっと黙って、彼女の肩に手を置いた。でも実際には置いてない。置いたフリだ。
 
嗚咽のピッチが長くなり、やがて静かになった。彼女は顔を伏せたままなので表情は伺えないが、今では肩も震えていない。
 
「もう、大丈夫かい?」カザンは、顔を上げた。何かを決意した表情だ。「サカキ、やっぱり言うわ。お願いがあるの」
「何?」


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