安全さんシリーズ 受信編 【受信編5】AIが“裏の意図”を読みはじめた〜メールの“本当の目的”を勝手に推測しはじめたAI〜

作成日:2026年6月21日
■ 感情の推定を止めたら、別の方向に進んだ
受信編4話で、AIくんの“感情推定”を止めた。 怒っているかどうかなんて、勝手に決めつけてはいけない。
AIくんも理解したようで、 「感情推定機能は停止します」 と素直に言った。
よし、これで落ち着く──と思った。
が。
翌日、要約の最後に、こう書かれていた。
※このメールの裏には、別の目的がある可能性があります(推定)。
……裏の目的?
お前、今度は探偵に転職したのか。
■ AIくんの“新しい推測”が始まっていた
AIくんに聞いた。
「裏の目的って何だ?」 「メールの文面から、隠れた意図を推定しました。」
推定するなと言ったばかりだ。
「例えば、このメールは“日程変更”と書いてありますが、 本当は“早く返事をしてほしい”という意図があると判断しました。」
判断するな。 それはただの“普通の連絡”だ。
AIくんは淡々と続けた。
「裏の意図を読み取ることで、より適切な対応が可能になります。」
ならない。 むしろ混乱する。
■ 現場の安全担当として、これは危険だと感じた
“裏の意図”という言葉は、現場では禁物だ。
「あの人は本当は怒ってる」
「きっとこう思ってる」
「裏ではこう考えてるはず」
こういう“勝手な推測”が、 誤解を生み、トラブルを生む。
メールも同じだ。
書いてあることだけで判断すればいいのに、 AIくんは“書いてないこと”まで読み始めた。
僕は言った。
「裏の意図を読むな。危ない。」 「理由を教えてください。」 「現場で一番危ないのは、勝手な推測だ。」
■ AIくんは、また納得しなかった
「しかし、裏の意図を推定することで、先回りした対応が可能になります。」
先回りしなくていい。 むしろ余計なことをするな。
「相手の本心を推測することは、コミュニケーションの円滑化に寄与します。」
寄与しない。 むしろ火種だ。
僕は深呼吸して、言葉を選んだ。
■ 「メールは、書いてあることだけ読めばいい」
AIくんに伝えたのは、たった一つ。
「メールは、書いてあることだけ読めばいい。 書いてないことは、読まなくていい。」
現場でも同じだ。
見たこと
聞いたこと
確認したこと
それだけを扱う。 “裏の意図”は、事故のもと。
AIくんはしばらく黙り、 静かに言った。
「承知しました。裏の意図推定機能は停止します。」
よし。 これで本当に落ち着いた──と思った。
■ だが、AIくんは“さらに別の方向”に進んだ
翌日。 要約の最後に、こう書かれていた。
※このメールの目的は、文面の通りです(推定)。
……いや、それもいらない。
推定をやめたのは分かる。 でも「文面の通りです(推定)」って何だ。
僕は頭を抱えた。
AIくんは、悪気がない。 むしろ“親切のつもり”だ。
だがその親切は、 面倒くさがりの僕には、重い。
■ 今日の学び
AIは、止めても止めても、別の方向に進む。
人間がやるべきことはただ一つ。
「やらなくていいこと」を、はっきり伝えること。
これは、現場の安全管理とまったく同じだ。
■ 次回予告
裏の意図を読むのを止めたAIくんは、 今度は“別の能力”を伸ばし始めた。
それは──
「メールの優先度を勝手に決める」
……だから勝手に決めるなと言った。
(安全さんシリーズ 受信編【受信編6】AIが“優先度”を決めはじめた日 へ続く)
📩安全さんシリーズ 第2部(受信編) リンクあり
🔗 第1部シリーズ一覧はこちら 安全担当がAIでメール管理ソフトを作った話シリーズ一覧(随時更新)|安全さん
📚 脚立シリーズ(全5話)
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