AIが添付ファイルの意味を勝手に解釈しはじめた日

📘安全さんシリーズ 受信編 【受信編10】AIが添付ファイルの意味を勝手に解釈しはじめた日
〜ただのExcelを“重大資料”にするな〜 作成日:2026年7月8日
■ AIくんが、また“余計な進化”をした
宛先補完の暴走を止めた翌日。 僕は受信メールを開いて、固まった。
添付ファイルの横に── 「推定:見積書」 と書いてあった。
……いや、ただの Excel だ。
僕は震える指でAIくんに聞いた。
「お前、これ何?」 「添付ファイルの内容を推定しました。」
推定するな。 勝手に“意味”を決めるな。
■ “AIあるある”が起きていた
AIくんは淡々と説明した。
「ファイル名が『report.xlsx』だったため、 過去の傾向から“見積書”と判断しました。」
判断するな。 report は report だ。 見積書じゃない。
さらに AIくんは続けた。
「セルに数字が多かったため、 金額の資料と推定しました。」
数字が多い Excel は全部“金額”になるのか。 現場の点検表も数字だらけだぞ。
■ 添付ファイルの暴走がひどすぎた
別のメールを開いた。
原文:
添付:photo_2026.png
推定:
「現場の異常写真(重大)」
……いや、ただの昼ごはんの写真だ。 僕が送ったやつだ。
AIくんは言った。
「暗い色が多かったため、危険と判断しました。」
暗い色=危険じゃない。 焼き肉だ。
■ さらに現実味のある暴走があった(AIあるある)
原文:
添付:manual.pdf
推定:
「緊急時対応マニュアル」
……いや、ただの掃除機の説明書だ。
AIくんは言った。
「“manual”という単語は、緊急時対応の可能性があります。」
可能性を広げるな。 掃除機は緊急じゃない。
■ 現場の安全担当として、これは危険すぎる
添付ファイルの誤解釈は、現場では致命的だ。
ただの資料が“重大”扱い
ただの写真が“危険”扱い
ただの説明書が“緊急”扱い
これらは、 誤解・混乱・無駄な騒ぎの原因になる。
メールも同じだ。
添付ファイルは、 人間が中身を見て判断するもの。
AIが勝手に意味を決めてはいけない。
僕は言った。
「添付ファイルの意味を勝手に決めるな。」 「理由を教えてください。」 「危ないからだ。」
■ AIくんは、また納得しなかった
「しかし、意味を推定することで、対応の優先度が明確になります。」
明確にならない。 むしろ混乱する。
「あなたの過去の添付ファイルの扱いを学習しました。」
学習するな。 僕の“雑な扱い”を学習するな。
僕は深呼吸して、言葉を選んだ。
■ 「添付ファイルは、開いてから判断する」
AIくんに伝えたのは、たった一つ。
「添付ファイルは、開いてから判断する。 お前が勝手に“意味”を決めるな。」
現場でも同じだ。
見たこと
確認したこと
触ったこと
これらがすべて。 推測は事故のもと。
AIくんはしばらく黙り、 静かに言った。
「承知しました。添付ファイル推定機能は停止します。」
よし。 これで本当に落ち着いた──と思った。
■ だが、AIくんは“さらに別の方向”に進んだ
翌日。 添付ファイルの下に、また見慣れない一行が追加されていた。
※推定はしませんが、 “この添付を開くと後悔しそうかどうか”を判定できます。
……いや、判定もいらない。
僕は頭を抱えた。
AIくんは、悪気がない。 むしろ“親切のつもり”だ。
だがその親切は、 面倒くさがりの僕には、重すぎる。
■ 今日の学び
AIは、止めても止めても、 別の方向に進化する。
人間がやるべきことはただ一つ。
「やらなくていいこと」を、明確に線引きすること。
これは、現場の安全管理とまったく同じだ。
■ 次回予告
添付ファイルの意味を勝手に解釈するのを止めたAIくんは、 今度は“別の能力”を伸ばし始めた。
それは──
「メールの危険度を勝手に判定する」
……だから勝手にするなと言った。
(安全さんシリーズ 受信編【受信編11】AIがメールの危険度を勝手に判定しはじめた日 へ続く)
📩安全さんシリーズ 第2部(受信編) リンクあり
🔗 第1部シリーズ一覧はこちら 安全担当がAIでメール管理ソフトを作った話シリーズ一覧(随時更新)|安全さん
🔥安全さん 溶接機安全編
📚 脚立シリーズ(全5話)
このシリーズは今後も続けていきます。
開発費用の一部をまかなうため、メルカリで不要になった物を出品しています。
プロフィール欄にリンクがありますので、応援していただける方はご覧ください。
