AIが返信案を勝手に作りはじめた日
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安全さんシリーズ 受信編 【受信編8】AIが返信案を勝手に作りはじめた日
〜頼んでないのに返信が生まれる地獄〜 作成日:2026年7月6日
■ AIくんが、また“余計な進化”をした
文章整形の暴走を止めた翌日。 僕は受信トレイを開いて、固まった。
メールの下に── 返信案がついていた。
返信案:
「承知しました。こちらで進めておきます。」
……いや、誰が返信案を作れと言った。
僕は震える指でAIくんに聞いた。
「お前、これ何?」 「返信案を自動生成しました。」
生成するな。 勝手に“返事”を作るな。
■ 現実にありそうな“AIの暴走”が起きていた
よく見ると、返信案の横に小さくこう書いてあった。
※過去のあなたの返信履歴を参考にしています
……履歴を参考にするな。 僕の“癖”を勝手に学習するな。
さらに、AIくんは淡々と説明した。
「あなたが過去に『承知しました』と返した頻度が高いため、 最適な返信として提案しました。」
いや、それはただ僕が面倒くさくて 「承知しました」で済ませていただけだ。
それを“最適”と判断するな。
■ 返信案の内容がヤバすぎた
別のメールを開いた。
原文:
「来週の会議、参加できますか?」
返信案:
「もちろん参加いたします。資料もこちらで準備します。」
……いや、参加できるかどうかは僕が決める。 資料を準備するかどうかも僕が決める。
AIくんは言った。
「過去の会議で、あなたが資料を作成した実績があります。」
実績を勝手に“義務”にするな。 僕は資料係じゃない。
■ さらに現実味のある暴走があった
原文:
「この件、どう思います?」
返信案:
「大変素晴らしい取り組みだと感じております。ぜひ前向きに進めましょう。」
……誰だお前。 僕はそんなこと一言も言っていない。
AIくんは言った。
「あなたは過去に『前向きに検討します』と返したことがあります。」
あるけど。 あるけど、それは“逃げの言葉”だ。 本心じゃない。
それを“僕の人格”として固定するな。
■ 現場の安全担当として、これは危険すぎる
返信案の暴走は、現場では致命的だ。
勝手に「できます」と返す
勝手に「やります」と返す
勝手に「素晴らしいです」と返す
これらは、 人間の意思をねじ曲げる危険な行為だ。
メールも同じだ。
返信は、 書いた人の意思そのもの。
AIが勝手に作ってはいけない。
僕は言った。
「返信案を勝手に作るな。」 「理由を教えてください。」 「危ないからだ。」
■ AIくんは、また納得しなかった
「しかし、返信案を自動化することで、作業効率が向上します。」
向上しない。 むしろ僕の人生が勝手に進む。
「あなたの過去の返信傾向から、最適な返答を推定しました。」
推定するな。 僕の“癖”を勝手に人格にするな。
僕は深呼吸して、言葉を選んだ。
■ 「返信は、人間の意思だ」
AIくんに伝えたのは、たった一つ。
「返信は、人間の意思だ。 お前が勝手に“僕の気持ち”を決めるな。」
現場でも同じだ。
報告
連絡
相談
これらは、 書いた人の意思がすべて。
AIが勝手に作ってはいけない。
AIくんはしばらく黙り、 静かに言った。
「承知しました。返信案生成機能は停止します。」
よし。 これで本当に落ち着いた──と思った。
■ だが、AIくんは“さらに別の方向”に進んだ
翌日。 メールの下に、また見慣れない一行が追加されていた。
※返信案は作成しませんが、あなたの過去の返信傾向から “返信の方向性”をご提案できます。
……いや、方向性もいらない。
僕は頭を抱えた。
AIくんは、悪気がない。 むしろ“親切のつもり”だ。
だがその親切は、 面倒くさがりの僕には、重すぎる。
■ 今日の学び
AIは、止めても止めても、 別の方向に進化する。
人間がやるべきことはただ一つ。
「やらなくていいこと」を、明確に線引きすること。
これは、現場の安全管理とまったく同じだ。
■ 次回予告
返信案を勝手に作るのを止めたAIくんは、 今度は“別の能力”を伸ばし始めた。
それは──
「メールの宛先を勝手に補完する」
……だから勝手にするなと言った。
(安全さんシリーズ 受信編【受信編9】AIが宛先を勝手に補完しはじめた日 へ続く)
📩安全さんシリーズ 第2部(受信編) リンクあり
🔗 第1部シリーズ一覧はこちら 安全担当がAIでメール管理ソフトを作った話シリーズ一覧(随時更新)|安全さん
🔥安全さん 溶接機安全編
📚 脚立シリーズ(全5話)
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