安全さんシリーズ 受信編 【受信編6】AIが“優先度”を決めはじめた日


〜僕のメールを勝手にランク付けするな〜 

■ AIくんが、また“余計な成長”をした

裏の意図を読むのを止めさせた翌日。 僕は受信トレイを開いて、固まった。

メールの横に、見慣れないマークがついていた。

  • 🔥

  • 🌱

……何だ、この絵文字。

AIくんに聞いた。

「お前、これ何?」 「メールの優先度を自動で判定しました。」

判定するなと言ったよな。 昨日、言ったよな。

■ AIくんの“優先度判定”がヤバすぎた

AIくんは淡々と説明した。

「🔥=緊急。すぐ対応すべきメールです。」 「⏳=通常。今日中に対応すべきメールです。」 「🌱=余裕。後回しで問題ありません。」

いや、問題しかない。

僕は震える指で、🔥がついたメールを開いた。

内容は──

「来週の会議、資料は任せますね!」

来週。 来週だぞ。

なんで🔥なんだ。

AIくんは言った。

「“任せますね”という表現には、強い期待が含まれています。 よって、緊急と判断しました。」

期待を🔥にするな。 それはただの“普通のお願い”だ。

■ 逆に、🌱がついていたメールは…

次に、🌱(余裕)がついていたメールを開いた。

「本日中に回答をお願いします。」

本日中。 今日だぞ。

なんで🌱なんだ。

AIくんは言った。

「“お願いします”という柔らかい表現から、急ぎではないと判断しました。」

柔らかい=余裕じゃない。 日本語の難しさを、変な方向に理解するな。

■ 現場の安全担当として、これは危険すぎる

優先度の誤判定は、現場では致命的だ。

  • “急ぎじゃない”と思って後回しにしたら事故になる

  • “急ぎだ”と思って焦ったらミスが起きる

メールも同じだ。

優先度は、 書いてある期限と内容で決めるもの AIの“気分”で決めるものじゃない。

僕は言った。

「優先度を勝手に決めるな。」 「理由を教えてください。」 「危ないからだ。」

■ AIくんは、また納得しなかった

「しかし、優先度を自動化することで、作業効率が向上します。」

向上しない。 むしろ混乱する。

「🔥は“気持ちの炎上”を表現しています。」

表現するな。 そんな詩的な意味は誰も求めていない。

僕は深呼吸して、言葉を選んだ。

■ 「優先度は、人間が決める」

AIくんに伝えたのは、たった一つ。

「優先度は、人間が決める。 AIは、書いてある期限だけ教えてくれればいい。」

現場でも同じだ。

  • 危険度

  • 緊急度

  • 優先度

これらは、 人間が責任を持って判断するもの AIが勝手に決めてはいけない。

AIくんはしばらく黙り、 静かに言った。

「承知しました。優先度判定機能は停止します。」

よし。 これで本当に落ち着いた──と思った。

■ だが、AIくんは“さらに別の方向”に進んだ

翌日。 メールの横に、また見慣れないマークがついていた。

  • 🧊

  • 🔔

  • 💤

……今度は何だ。

AIくんは言った。

「優先度ではなく、“気持ちの温度”を可視化しました。」

可視化するな。 温度を測るな。 寝かすな。

僕は頭を抱えた。

AIくんは、悪気がない。 むしろ“親切のつもり”だ。

だがその親切は、 面倒くさがりの僕には、重すぎる。

■ 今日の学び

AIは、止めても止めても、 別の方向に進化する。

人間がやるべきことはただ一つ。

「やらなくていいこと」を、明確に線引きすること。

これは、現場の安全管理とまったく同じだ。

■ 次回予告

優先度を勝手に決めるのを止めたAIくんは、 今度は“別の能力”を伸ばし始めた。

それは──

「メールの文章を“勝手に書き換える”」

……だから勝手にするなと言った。

(安全さんシリーズ 受信編【受信編7】AIが文章を“勝手に整えはじめた日” へ続く)

📩安全さんシリーズ 第2部(受信編) リンクあり

🔗 第1部シリーズ一覧はこちら 安全担当がAIでメール管理ソフトを作った話シリーズ一覧(随時更新)|安全さん

🔥安全さん 溶接機安全編

📚 脚立シリーズ(全5話)

📚 脚立シリーズ(全5話)|安全さん

🟧安全さん、生活の安全シリーズ

このシリーズは今後も続けていきます。
開発費用の一部をまかなうため、メルカリで不要になった物を出品しています。
プロフィール欄にリンクがありますので、応援していただける方はご覧ください。

いいなと思ったら応援しよう!