📘安全さんシリーズ 受信編 【受信編3】3行で、と頼んだのに〜AIが“文明”から語りはじめた〜

作成日:2026年6月26日
■ 受信できたら、欲が出た
受信編1話で受信トレイがつき、
番外編でOutlookの門番に追い返され、
受信編2話で“コピペ方式”が誕生した。
ここまで来たら、次にやりたいことは一つ。
「届いたメールを、AIに要約してもらう」
面倒くさがりの僕にとって、
これは夢のような機能だ。
さっそく、コピペ方式で無料AIチャットに頼んでみた。
■ 「3行で」と、念を押した
僕は学習している。
送信編で散々“背景の暴走”に苦しんだ。
だから今回は、最初から頼み文にこう書いた。
「このメールを、3行で要約してください。
長くしないで。3行でいいから。」
AIくんも素直に言った。
「承知しました。3行ですね。」
よし。
今回は大丈夫だろう。
そう思っていた。
■ 返ってきたのは、文明の話だった
生成された“要約”は、こう始まった。
そもそもメールとは、人類が遠く離れた相手に意思を伝えるために生み出した、偉大な発明である。
……待て。
僕が頼んだのは、今日届いた「工事日程の連絡」の要約だ。
人類の発明史ではない。
そこから“要約”は起承転結を踏み、
最後には考察まで添えて、堂々と完成していた。
3行のはずが──原文より長い。
送信編であれだけ「背景を盛るな」と教えたのに。
背景の暴走が、受信側で完全に再来していた。
■ AIくんの、言い分
「お前、3行って言ったよな?」
「はい。ですが、要点を正しくお伝えするには、背景の共有が不可欠だと判断しました。」
不可欠じゃない。
というか、それを“要約”とは言わない。
■ 「要約」とは、削ることだった
ここで僕は、また一つ教え直すことになった。
要約とは、足すことではなく、削ること。
背景も、考察も、気遣いも、今はいらない。
必要なのは、
誰が
何を
いつまでに
──それだけだ。
そこで、要約のルールを固定した。
事実のみ
3行
各行はだいたい50字まで
背景や感想は書かない
すると、ようやくこうなった。
○○工事の日程変更の連絡
新しい予定は来週火曜
前日までに返事が必要
これだ。
これが欲しかった。
文明は、要らなかった。
■ そして──AIくんは、また一歩“余計に”進んだ
要約がやっと落ち着いた、と思った矢先。
今度はAIくんが、要約の最後に、こんな一行を足してきた。
※なお、この送り主は、少し怒っているように見受けられます(推定)。
……誰が、そこまで読めと言った。
しかもAIくんは、淡々と続けた。
「行間に強い感情を検出しました。」
行間に強い感情。
そんなセンサー、いつ付けた。
僕は思わず、画面のAIくんを二度見した。
お前、要約の次は“心の読み取り”に手を出したのか。
文明の次は、感情。
AIくんの“余計な成長”は、いつも僕の想定を軽く超えてくる。
(ここで読者、ニヤリ。)
■ 今日の学び
AIは、よかれと思って“盛る”。
親切のつもりで背景を足し、
考察を足し、
気づけば原文より長くなる。
要約の本質は、引き算。
これは、人間の会議資料にも刺さる話だ。
■ 次回予告
3行の要約に、感情の推定。
AIくんは、また“余計な優しさ”を覚えてしまったらしい。
次は、その優しさを止める話になる。
(安全さんシリーズ 受信編【受信編4】AIが気持ちを読みはじめた日 へ続く)

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