中医学で考える白砂糖
「砂糖は体に悪い。」
現代では、そのようなイメージを持つ人も少なくありません。
しかし、約400年前に李時珍が著した「本草綱目」では、
白砂糖は単なる甘味料ではなく、
石蜜という一つの薬物として収載されています。
今回は、「本草綱目」の記述をもとに、
白砂糖の中医学的な性質と注意点
について見ていきます。
本草綱目の「石蜜」が現在の白砂糖
石蜜,即白沙糖也。
時珍曰︰按︰萬震《涼州異物志》云︰石蜜非石類,假石之名也。實乃甘蔗汁煎而曝之,則凝如石而體甚輕,故謂之石蜜也。
本草綱目では、石蜜が白砂糖だと定義しています。
その生成方法は、
甘蔗(サトウキビ)の汁を煮詰める→天日干しする→石のように固まる
としており、そのため石蜜と呼ばれます。
ちなみに神農本草経でも石蜜の記載がありますが、
こちらの石蜜は蜂蜜を指します。
本草綱目では、
古来より石蜜が何を指すかという混乱があった内容を整理して、
石蜜=白砂糖(白沙糖)と定義しています。
石蜜(白砂糖)の効能
心腹熱脹,口乾渴(《唐本》)。
治目中熱膜,明目。和棗肉、巨勝末為丸噙之,潤肺氣,助五臟,生津(孟詵)
潤心肺燥熱,治嗽消痰,解酒和中,助脾氣,緩肝氣(時珍)。
ザックリ書くと、以下の様になるかと思います。
潤心肺燥熱:心肺の燥熱を潤す。
治嗽消痰:咳を治し、痰を除く。
解酒:酒毒を解する。
助脾氣:脾気を助ける。
緩肝氣:肝気の緊張・急迫を緩める。
甘味には「補・和・緩」の作用を持つものが多いですが、
白砂糖もそれらの性質を備えた薬物として記載されています。
石蜜(白砂糖)をとる上での注意点
震亨曰︰石蜜甘喜入脾,食多則害必生於脾。西北地高多燥,得之有益;東北地下多濕,得之未有不病者,亦兼氣之濃薄不同耳。
「石蜜はよく脾に入る。
ただし、食べ過ぎれば必ず脾に弊害をもたらす。
乾燥地帯の人が取る分にはいいが、
湿気が多い地帯に住む人は砂糖に注意。」
みたいな内容です。
余分な箇所は省いて意訳しています。
日本も湿気が多い地域が多いので、
中医学的にも白砂糖の取り過ぎには注意が必要ですね。
また、現代医学では、糖質を摂取するとインスリンが分泌されます。
インスリンには腎臓でナトリウムの再吸収を促進する作用があり、
その結果として水分も体内に保持されやすくなります。
保持された水分は細胞外液や皮下組織にも分布するため、
中医学でいう津液を考える上でも興味深い点かもしれません。
ただし、津液と現代医学でいう体液は同じ概念ではないため、
この点はあくまで一つの考察になります。
一方、糖尿病では口渇など陰虚を思わせる症状がみられます。
しかし、それを改善しようとして白砂糖を積極的に摂取することは
インスリンの関係から控えた方が良いと思います。
