「ヴァージン・パンク Clockwork Chronicle」梅津泰臣監督ヤバすぎとは思ってましたが... 攻殻機動隊好きは要チェックです
◆あの梅津泰臣監督がシャフト制作で帰ってきた
梅津泰臣監督がシャフト制作の劇場アニメで帰ってきました。
私が監督を知ったのは『ガリレイドンナ』(2013) と『ウィザード・バリスターズ 弁魔士セシル』(2014) から。SF的な未来都市や乗り物、ガジェット、立ち回りのカッコよさ。特に女性キャラのカッコよさやバトル、メカの空間的な動かし方に痺れました。
まさに理屈やストーリーではなく、心で見る作品。ブルース・リーの名言「Don't think, feel(考えるな、感じろ)」を体現した作品群です。
その後、監督の伝説的な代表作『A KITE』(1998) や続編『KITE LIBERATOR』(2008) を見て、最初から凄い作品を作り続けている方なんだと改めて認識しました。

◆『攻殻機動隊』好きにこそ観てほしい理由
本作は『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995 押井守監督) がお好きな方にぜひ観てほしい作品です。
似ているという意味ではありません。共通点はありますが、むしろ以下の点で同じ方向性を持つ、新たな特異点となる作品だと感じました:
SF的な要素の方向性
バトルのリアルさの追求の仕方
アニメ表現としての限界への挑戦
過去になかった全く新しい構図や見せ方
とにかく細かいカットがどんどん切り替わって飽きさせない。監督のインタビューにもありましたが、流行りの長回しやスローモーションは使わないのが梅津監督の個性。そこにらしさがあるのですね。
◆2099年、ソーマディアが支配する世界

舞台は2099年。医療用人工人体技術「ソーマディア」が進歩した社会です。
人類は病気や怪我から解放された一方で、この技術を悪用した犯罪が跋扈。桁違いの身体能力を持つ犯罪者に生身の警察では対処できないため、バウンティハンターによる殺処分が認められ、莫大な懸賞金が動く社会となっています。
そんな社会で人生を狂わされた14歳のヒロインの物語。
よくある「少女が武器を持って戦う」というシンプルな話ではありません。『攻殻機動隊』がそうであったように、身体と精神(心)の関係や、それに伴う表情のあり方など、アニメとしての繊細な表現が描き分けられています。声優もその違いを演じ分けるという、高度な表現の連続です。
◆圧倒的なバトルシーケンス
真骨頂は、動きの止まる場面がないくらい連続で展開していくバトルシーケンスの圧倒的な表現。
空中での舞踏のような動きのバトルアクションが素晴らしく、これまで見たことのない動きやポーズ、決めカットの数々。日本のアニメ最先端の表現を堪能できます。
◆読み応えたっぷりのパンフレット

パンフレット(全80ページ)は、スタッフの対談満載。セル(透明なシート)と背景が交互に収録され、撮影効果の前後が続けて見られる豪華な作りです。
それぞれのこだわりや苦労した点が詳細に紹介されており、読むと何回も観に行きたくなる充実ぶり。印象的だったのは以下の点:
制作の徹底ぶり
監督がスーパーアニメーターすぎて、全カットをチェック・修正
企画から上映まで10年
脚本は8年前に最終話(今回は第1話)まで完成済み
独自の表現手法
普通のアニメでよく使う手法を禁止項目として列挙
リアル方向に振ることで、他にない表現を追求
豪華スタッフ陣
美術面では、ポルトガルの風景をロケハンしつつ、未来都市としての乗り物や建物を融合。美術設定の横田晋一さん、美術監督の本庄雄志さん、船隠雄貴さんといった豪華な面々が、監督の高いハードルを見事にクリアしています。
◆続編への期待
本作「Clockwork Chronicle」は第1弾とのこと。このクオリティで制作するには時間がかかりそうですが、早く続きが観たいです。

公式サイト
PV
上映情報
https://virgin-punk.com/#theater
監督インタビュー記事 (ネタバレあり)
