見出し画像

50代の学生時代。好きな子に電話するのは命がけ| 50代にエールを込めて

私と同じ50代にエールを込めて


今の子は知らない。

昔は、人を好きになるにも勇気が必要だった。

LINEは無い
DMも無い
既読も無い

好きな人と話すには、
電話するしかなかった。

しかも家に。

今思うと、あれは恋愛じゃない。

ただの度胸試し。

まず好きな子の電話番号を知らない。

だからタウンページを見る。

あの分厚い電話帳。

パラパラめくる。

同じ苗字を探す。

住所を見る。

「これじゃね?」

友達と盛り上がる。

今なら完全にアウト。

でもあの頃は必死だった。

ついに番号を見つける。

メモする。
何回も見る。

すぐには電話できない。
怖いから。

心の準備が必要。

意味もなく深呼吸。
水を飲む。
友達に相談。

このときの友達は、
面白くなることしか考えていない

「いけるって!」

いや、お前がかけろ。


家では
居間に置かれた黒電話。

なぜか電話にはオカン手製の
カバーがかかっている。

あの頃の電話は家族共有。

逃げ場が無い。

受話器を持つ。

ダイヤルを回す。

ジーコ、
ジーーコ
ジーーーーコ

あの黒電話の、
指を入れて回す感触。

今の子はテレビでしか知らない。

途中でミスると最初から。

そして時代は、プッシュフォンに。

ピッ、
ピッ、
ピッ。

でも、ちゃんと押せてるかわからない。
今みたいに押した数字の色が変わらないから。

でもあれだけで未来感があった。

だって宇宙戦艦ヤマトでさえ
波動砲は引き金の時代

電話は変わっても緊張はなにも変わらない。

呼び出し音。

……。

……。

……。

ここで、
お父さんが出る。

「……はい」


終わった。


男子の声はだいたい裏返る。

「あっ…あの…○○君いますか…」

いや、
娘に電話してる。

名前も言えてない。

後ろでは
友達が笑い転げて泣いている。

うまくいっても
長電話なんかできない。

親が横を通る。

テレビの音。

麦茶の氷の音。

母親の

「いつまで電話してるの!」

全部が早く切れと
暗黙のプレッシャー。

だから公衆電話を使う。

電話BOX。

あの小さな密室。

夏は暑い。
汗がダラダラ吹き出してくる。

冬は寒い。
電話BOXが真っ白に曇る

好きな子に電話する時だけ、
世界から切り離された気がした。

10円玉を入れる。

話す。

でも、
公衆電話は残酷だった。

時間が来る。

「ピーーーッ!」

焦る。

追加の10円。

また入れる。

公衆電話の上には
10円玉が積み上がっている

恋愛してる時の10円は、
異常に早く消える。

手を繋いだ事のある奴はすごい奴だった。

Aをしたことある奴はヒーローだった。

Cを経験済みの奴はスーパヒーローだった。

どうやったん?
なんて言ってしたん?
やわらかいん?
めっちゃ聞く。

経験のない俺たちからしたら
未知の世界。


しばらくすると
みんなテレフォンカードを持っていた。

財布に入れて。

少し大人っぽくて。

角が欠けていく。
印刷がかすれていく。

あれも青春だった。


恋に敗れ去った奴もいた。

夜。

駅前。

緑色の電話BOX。

震える声。

「……好きです」

今みたいに、
軽く送信できない。

ちゃんと、
命を削っていた。

だから、
振られた時のダメージも大きい。

受話器を置く。

ガチャン。

そのまま、
電話BOXの中でしゃがみ込む。

外は車の音だけ。
冬の白い息。
コンビニの灯り。

世界が終わった気がする。

でも翌日
普通に学校へ行く。

好きな子もいる。

友達もいる。

何も無かった顔をする。

あの頃の恋愛は、
不器用だった。

でも熱があった。

会うのも大変。

話すのも大変。

気持ちを伝えるのも大変。

だから、
「もしもし」の一言に、
全部が入っていた。

もう、
あの電話番号は覚えていない。

タウンページも無い。

電話BOXも減った。

でも、あの夜の緊張だけは、
今でも身体が覚えている。


懐かしいと思ったあなた
スキやフォローをお願いします🤲


いいなと思ったら応援しよう!

COOL|家族を守り抜くと決めた日から よろしければ、応援を宜しくお願いします🤲