【全文公開】定年退職した夫が書いた「感謝のVBAマクロ」に、妻はこう返した
関数之助、定年の日——
人生の「最後のコード」は、妻・弥生に捧げる。
若き日、失敗ばかりのマクロ愛。
時を経て、ようやく感情も変数名も整理できた関数之助が40年目に書き上げた 「感謝のVBAラブレター」。
⸻
【最終章】
「Sub 君ニ老ヲ捧グ」
⸻
【VBA全文:感謝のマクロ】
Sub 君ニ老ヲ捧グ()
Dim 年月 As Integer
Dim わしノ愛 As Double
Dim 記憶 As String
Dim 今ノ君 As Object
年月 = 40
わしノ愛 = 1000000 '単位:セル越しのまなざし回数
Set 今ノ君 = CreateObject("Scripting.Dictionary")
今ノ君.Add "名前", "弥生"
今ノ君.Add "変わらぬ笑顔", True
今ノ君.Add "味噌汁の出汁", "Excelより深い"
記憶 = "若き日、弁当の卵焼きがハートだったこと"
Debug.Print "弥生へ"
Debug.Print "君の隣で「=IF」文ばかり書いていたわしじゃが、"
Debug.Print "人生に「ELSE」はいらなんだ。常に「THEN 君」じゃった。"
Debug.Print "40年分の失敗を数えたら、セルが足りぬ。"
Debug.Print "けれど君は、それを一度も「#VALUE!」とは言わなんだ。"
Debug.Print "毎朝「君」セルに向けて入力した感謝の気持ち、"
Debug.Print "そろそろ保存せねばと思うてな…"
MsgBox "弥生よ、愛しておる。いつまでもわしのシートでいてくれ。", vbInformation
Call 老イノ共有()
End Sub
Private Sub 老イノ共有()
Dim シート As Worksheet
Set シート = ThisWorkbook.Sheets.Add
シート.Name = "第二の人生"
With シート
.Range("A1").Value = "君と行きたい場所"
.Range("A2").Value = "・温泉"
.Range("A3").Value = "・昔の弁当屋"
.Range("A4").Value = "・娘の家(孫に小数点の話をする)"
.Range("B1").Value = "君に聞きたいこと"
.Range("B2").Value = "・わしの作った味噌汁、初めておいしかった日はいつか"
End With
MsgBox "新しいブックを開いてくれんか。今度は、" & _
"「ふたり用」のやつを。"
End Sub
⸻
【追伸】
「40年前、君を“オブジェクトとして”しか見れなんだ。でも今は違う。君は、わしの唯一のSet対象。唯一無二の参照先じゃ。」
⸻
【弥生、そっと返した言葉】
「…じゃあ私は、Option Explicit ね。
これからも、ぬかりなく、あなたを受け止めてあげるわ。」
⸻
【Excelは閉じられたが、心は保存された】
めでたし、保存形式:愛.xlsm
⸻
