2025 JFL第21節 レイラック滋賀戦マッチレポート
7月27日、ホームで行われたJFL第18節で首位を走っていたヴェルスパ大分を相手にスコアレスドロー、9試合続けて勝利がないまま10位でサマーブレイクに突入した。1ヶ月のブレイク期間ではここまで積み上げたものをベースに、ディフェンスの強化、決定力の向上、そして何よりも勝ち切る強さを身につけるべく、チームとして一丸となってトレーニングに取り組んだ。そして迎えた第19節、菅原監督体制での3試合目はアウェイでの枚方戦。気温40度を超える暑さのなか善戦をしたが0-1で敗れてしまう。続く20節、アウェイでの浦安市川戦。拮抗した試合展開が続いたが79分に相手のミスを突いた井口椋介が冷静に決めて決勝点をあげる。夏の補強で飛鳥FCから加入した井口の移籍後初ゴールはチームに11試合ぶりの勝利をもたらす価値あるゴールになった。
20試合を終えてやっと5勝目を手にしたヴィアティン三重の順位は11位。優勝・昇格を掲げてスタートした2025シーズンは残り10試合、突きつけられた現実の厳しさを受け止めつつ、目の前の一戦に集中して1ヶ月半ぶりのホームゲームに臨む。相手はまたしても首位チームのレイラック滋賀。三連勝で勢いに乗る相手を止められるのか?長いトンネルの出口に差し掛かったチームはその勢いのまま連勝でトンネルを抜けられるのか?どれだけ苦しんでも選手たちの躍動する姿を観たい、チームと一緒に勝利の喜びを分かち合いたい、そう思う3,000人を超えるアツいファン・サポーターがラピスタに集まった。
第21節 スターティングメンバー
GK:1 森
DF:5 饗庭・6 上田・19 児玉・22 伊東・24 池田
MF:16 町田・20 金
FW:11 加倉・41 梁・77 井口
SUB:17 稲葉・3 伊従・13 安西・28 野口・47 荒川・18 青戸・40 村上

スコア
ヴィアティン三重 0-1 レイラック滋賀
(前半:0-0 / 後半:0-1)

ハイライト
19節 枚方戦、20節 浦安市川戦レビュー
ブレイク明けの19節・枚方戦はアウェイ たまりくで行われた。この日のキックオフ時間は14:30、試合開始時の気温は40度を超えていた。試合は短いパスを繋いでボールを保持する枚方、それに対して前線から厳しいプレスをかけてボールを奪いに行くヴィアティン三重。試合の入りは悪くなかったが、8分に最終ラインの裏を狙ったロングボールを入れられあっけなく失点。早い時間に失点し追いかける展開になる。後半に入ってシステムを変更、山田の1トップから2トップに変更、さらには途中交代で加倉が入ったことで流れが良くなる。しかし71分に山田が退場処分になり再び苦しい状況に。数的不利ながらも積極的にシュートを狙う場面を何度も作ったがゴールを奪うことはできず0-1で敗れた。

続く20節はアウェイでブリオベッカ浦安・市川戦。相手は勝点31で7位につけている。スタメンには前節で良い働きを見せた加倉・梁が入り、バランスが良くなった2トップ(5-3-2)のシステムで臨む。中盤には2試合スタメンから外れていた松浦が戻ってきた。試合は終始激しいボールの奪い合いが続き互いにチャンスは少ないまま推移。前節で敗れはしたが課題としていた守備の強度と前への推進力を高めたヴィアティン三重は浦安市川に良い形を作らせない。後半に入っても互いに一歩も譲らない展開で試合は進んだが79分に相手陣内でルーズボールを拾った松浦が相手DFの裏を狙った長いボールを放り込む。ボールは相手DFの守備範囲に落ちたがファーストタッチでミス、そこを狙っていた井口が見逃さずに奪い、GKとの至近距離での1対1を制して先制ゴール。値千金の決勝ゴールを奪った。この8月に飛鳥FCから移籍新加入、終始ハードワークを続けた井口が持ち味を発揮し、チームに11試合ぶり(5/18・枚方戦以来)となる待望の勝点3をもたらした。


勝利の自信を携えて首位の滋賀に挑む
前節、待望の今季5勝目を上げたヴィアティン三重。長い長いトンネルの出口にさしかかり、苦しい状況でも諦めることなくトレーニングに取り組んできた選手たち、そして選手たちを信じ、変わらずその背中を押し続けてきたサポーターたちは忘れかけていた勝利の喜びと興奮を存分に味わった。それから1週間、復活・上昇の足がかりを掴んだヴィアティン三重の前に立ちはだかるのは首位を走るレイラック滋賀。残り10試合、滋賀、Honda、青森、沖縄と上位陣との闘いを残している。先のことはさておき、相手が首位であろうがどこでああろうが目の前の闘いに全集中。またこの日はおよそ1ヶ月半ぶりのホームゲーム、そして今季二度目の花火フェス。首位に勝利して復活・上昇の巨大花火を打ち上げられるのか。試合前に行われるヴィアティンサポーターのホーム恒例儀式・オレンジの円陣のボルテージは最高潮に達していた。

今節のスタメンと布陣は前節とほぼ同じ。前節でイエローをもらった松浦が累積警告で出場停止、その松浦に代わって金成純が入った。枚方戦で退場になった山田は今節も出場できない。サブには9試合ぶりに復帰の野口、6試合ぶりの荒川、2試合ぶりの村上が入った。

前日に降った大雨は上がり、やや気温は下がったもののじっとりと身体にまとわりつく湿度を感じる中、18時にヴィアティン三重ボールでキックオフ。キックオフと同時に猛然と滋賀ゴールに迫る。ブレイク明け後の2試合、そしてこの試合も立ち上がりは前線から厳しいプレッシャーをかけに行く。2トップの加倉・梁が寄せ、それに連動して井口もプレッシャーをかける。入りの10分まではヴィアティン三重の勢いが勝ったが10分ごろから滋賀の時間帯を迎える。短いパスを丁寧に繋ぐ滋賀、ヴィアティン三重のプレッシャーをかいくぐってボールを前に運ぶ。

自陣で奪って速い攻撃に持ち込むヴィアティン三重、しっかり繋いでヴィアティン三重ゴールを目指す滋賀、互いに奪っては運びを繰り返し相手ゴールに迫る。序盤から見応えのある闘いが繰り広げられる。13分にはショートカウンターから加倉のクロスにダイレクトで梁が合わせてシュートを放つ。クロスバーに跳ね返ったボールはゴールラインを越えたかに思われたがノーゴールの判定、前半最大のチャンスは決められなかった。

◢◤HIGHLIGHT◢◤#JFL 第21節 HOME
— ヴィアティン三重 【公式】 (@Veertien_TSC) September 13, 2025
vs #レイラック滋賀
⌚️前半14分
高い位置でボールを奪うと #加倉広海 からのクロスに #梁賢柱 がダイレクトで合わせる💥
このシュートは惜しくもクロスバーに弾かれて先制ならず🦁💦#JFL #ヴィアティン三重 pic.twitter.com/2lua8F6MH0
鋭い縦パスを狙う滋賀、深いところまで差し込まれる場面はあったがスリーバックの饗庭・上田・伊東の3人が集中した守備で跳ね返す。裏を狙われた場面でもしっかり付いてチャンスを潰す。セカンドボールは五分五分、もしくは六分四分で勝っている。井口・金のしつこい守備も効いている。また、菅原監督が繰り返し口にする「前への推進力」については新加入の井口を中心に、マイボールになったあとは全員の意識が前に向かっていることが随所に見て取れた。

お互いにゴールに迫る場面を何度も作ったが決定的な場面は13分、梁が打ったシュートの場面のみ、その他は良く攻め、良く守りダイナミックな試合展開で息つく間もなく前半の45分が終わった。30分までに5本のシュートを打ち、首位チームを相手に臆することなく積極的な姿勢を貫いたヴィアティン三重、手応えを掴んで前半を終えた。あとはフィニッシュのみ。

先制を許し、必死に追いかけるも届かず
前半は共に無得点、先制点が欲しいヴィアティン三重は後半開始早々にチャンスを迎える。高い位置でボールを奪った加倉が中に折り返し梁がシュート、こぼれ球を拾った金から加倉へクロスを入れ頭で合わせるが相手に寄せられてミートできず。その直後にも自陣で金が奪って児玉が運び逆サイドの池田に出してシュート、これも相手選手に当たってしまう。前へ前へと気持ちを見せるヴィアティン三重に対し、堅い守備で跳ね返す滋賀、簡単にはものにできない。

その直後、左サイドから簡単にクロスを上げられゴール前で頭で合わされたがGKモリケンの正面、落ち着いてキャッチして凌ぐ。しかしその1分後、相手の最終ラインからDFの裏を狙って大きく蹴られたロングボールに対して守備が曖昧になり滋賀#77・北條に収められてしまう。ゴール正面、中央に運ばれ児玉が付いてはいたがプレッシャーが弱い。そこでエリアの外で完全にフリーになっていた滋賀#10・人見にスイッチしそのままシュート。やや前にポジションを取っていたモリケンの頭上を越えるコントロールショットがサイドネットに突き刺さった。後半開始5分、先制を許し追いかける展開に。

まずは追いつきたいヴィアティン三重、ここから猛攻開始。54分、自陣でのスローインから井口が裏を狙ったパスを出す。広大なスペースに走る金、中央を走る梁へパスを入れる。全力で戻る滋賀DF陣、ギリギリのところで追いつき梁のシュートを阻止。

60分には交代で入った野口が左サイドから運んでカットイン、逆足の右を振ったが惜しくも相手GKの正面。64分には上田のロングフィードから左サイドで梁、金が細かく繋いで野口が1対1をかわしてクロスを入れる。右サイドからゴール前に走り込んだ池田が頭で合わせたがわずかに枠を逸れた。相手DFも必死に身体を寄せて簡単にはやらせてくれない。


怒涛の攻撃を見せて前掛かりになるヴィアティン三重、そこを突いてカウンターを狙う滋賀、途中交代で入った森本を走らせる。ハイラインを敷いていた最終ラインの饗庭が即座に追いかけ間合いを見計らってスライディング、森本の抜け出しを阻止する。攻撃も守備も自信を持ったプレーを見せスタジアムが湧く。

80分を過ぎ守りに入る滋賀はしっかりとブロックを組んでヴィアティン三重の攻撃に対応する。ヴィアティン三重は交代で入った選手たちがそれぞれに持ち味を発揮して攻勢をかける。左サイドから勝負を仕掛ける野口竜彦、縦横無尽に駆け回る荒川永遠、青戸翔・村上弘有のツインタワーに正確なロングフィードを供給する安西海斗、前へ前へと必死にボールを入れ、滋賀ゴールに迫る。

86分、左サイドから勝負を仕掛けた井口が変化を付けたドリブルでポケットを取り、中へマイナスのクロスを入れる、フリーの荒川、数歩ステップバックして左脚を振るも相手のブロックに当たってしまう。
◢◤HIGHLIGHT◢◤#JFL 第21節 HOME
— ヴィアティン三重 【公式】 (@Veertien_TSC) September 13, 2025
vs #レイラック滋賀
⌚️後半43分
華麗にパスを繋ぐと #井口椋介 がグラウンダーのクロスを上げる💫
そして #荒川永遠 が枠内へシュートを放つもブロックされてしまい同点ゴールならず🦁💧#JFL #ヴィアティン三重 pic.twitter.com/jmjAxvmUnL
90分には相手ゴール正面で野口が落としたボールから井口がミドルシュート、ここもまた相手のブロックに弾かれこぼれ球を荒川がダイレクトボレー!しかしまたしても飛び込んできた相手選手のブロックに当たり枠を逸れる。90+1分には安西のアーリークロスを村上がゴール前で落とし青戸が飛び込もうとするが惜しくも相手GKがキャッチ。あと一歩のところでことごとく跳ね返された。


ラスト10分間はヴィアティン三重怒涛の攻撃にスタジアムは歓声・絶叫・悲鳴ともとれる声が飛び続けたが、最後までゴールを決めることはできずにアディショナルタイムの4分が経過、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

首位の実力、敗戦の中で掴んだ手応え
首位のレイラック滋賀を相手に0-1で敗戦。試合全体を振り返ると圧倒された場面はほとんどなく、相手に与えた決定機は50分の失点シーンのみだったと言える。90分に渡って積極的な守備と攻撃を続け、何度も何度も相手ゴールに迫り、最後まで期待させるフットボールを魅せ続けた。

しかしたった一度のチャンスを決めて勝ち切ったレイラック滋賀、それに対して再三のチャンスを決められずに敗れたヴィアティン三重。試合後インタビューでゲームキャプテンの饗庭が言ったように「JFLは隙の突きあいで1点取るか・取られるのかのリーグ」、これに尽きる。前節は相手のミスを突いて勝ち切ることができたが、今節はたった一度の守備の緩みを突かれて決められてしまった。

ただ、FWの加倉は自らの責任を感じながらこう言った「1点取られても、1点取れば負けないし、FWとしては責任を感じています」。これもその通りで昨シーズンからずっと掲げてきた「複数得点」を奪うことができれば一度の緩みであれば取り返すことができる話だ。

ただ、それが簡単じゃない。虎の子の1点を守ろうとゴール前で捨て身の守備を見せたレイラック滋賀の選手たち。早く1点が欲しくてシュートを急ぐヴィアティン三重の攻撃。結果として相手の気迫が終盤の猛攻をことごとく跳ね返すパワーを生み、それを乗り越える冷静さとひと工夫が足らなかったヴィアティン三重はゴールを奪うことができなかった。「あと一歩届かなかった」という言葉では簡単に片付けられない差がそこにはあった。

0-1での敗戦という結果は、ただただ現実を突き付けてくる。しかしこの試合を終えて多くの人たちが感じたようにポジティブな要素がたくさん見て取れた。ピッチに立った選手たち全員がハードワークを続け、DF陣は饗庭を中心に相手の強力な3トップに対応し、積極的なインターセプトを何度も見せ攻撃の糸口を掴んだ。FW陣はチーム最年長、今年33歳になる加倉を筆頭にハードワークを続け、前への意識を持ち続けて滋賀ゴールを目指した。

新加入の井口は90分の間フルに走り続けて攻撃でも守備でも相手に脅威を与え続けた。また井口の加入はチームに大きな変化をもたらしている。これまでは右ウイングバックの池田の負担がかなり大きく、良くも悪くもチームの要になっていたが、井口が加入してからの3試合ではその負担が随分と軽減されている。井口は豊富な運動量で高い位置からの守備もでき、低く下がっての守備もでき、奪ってからドリブルで運び、パスを受けてキープすることもできる。その結果、池田に余裕が出て今までになかった連動性も生まれている。

どれだけポジティブな要素を並べても試合に負けたという事実は変わらないが、これだけアグレッシブにゴールに向かうヴィアティン三重の姿を見られたのはいつ以来だろうか。菅原監督体制になって5試合目、ここまで苦しんできたチームが新しい取り組みを始めたからと言って、結果を出すことは簡単じゃないと菅原監督は言う。しかしその歩みは着実に実を結びつつあると
感じさせる内容だったように思う。そしてこんなふうにアグレッシブに闘うヴィアティン三重の試合をもっと観たいと思った。そう感じた人はこの日ラビスタに集まった3,015人の中にも多くいたのではないだろうか。

「ヴィアティン頑張れー!!!!」
試合中、スタンドのあちこちから大きな声が聞こえてきた。そして試合に敗れて肩を落とす選手たちを迎えるスタンドからも聞こえてきた。試合が終わっていたにもかかわらず。
優勝・昇格、恐らくそんな言葉を気にしていないであろう子どもたちは目の前で闘い抜いた選手たちに心から湧き出てくる声を届けた。
「ヴィアティン頑張れー!!!!」

勝利を掴むことはできなかったが、この日の彼らの闘いぶりは応援するに値するものだった。大人も子どもも、なりふり構わず叫ぶ姿がそれを物語っていた。
だからこそ、選手たちは自信を持って、勝利を求めて次の闘いに向かって欲しい。闘いは続く、Never Stop Challenging.

公式記録

