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「生徒指導に”勝ち負け”はいらない」

「"あいつに勝った"」
その言葉を聞いて私は静かに職員室の席を外した。

私が学校現場にいたときの違和感のひとつに、生徒指導の際「勝ち負け」の価値観で行っている人たちがいることでした。

おそらく、そこには教員の指導に対して、児童や生徒が降参したら「勝ち」で、生徒が反発してきたり、論破されてしまえば、「負け」なのでしょう。

教員の中には、生徒に「勝った」ことを誇らしく自慢している人もいました。この話を聞くたびに私はなんとも言えない虚しい気持ちになりました。

そもそも生徒指導に「勝ち負け」のものさしを当てはめるのはナンセンスなのではないか、とも思います。

「負けた」生徒は反省する子も中にはいるかもしれませんが、ほとんどの子はその先生への恨みや憎しみの気持ちが沸き起こります。

結果、その先生を「敵」認定するでしょう。

これ以降、心のシャッターを下ろしてしまう可能性があります。

その子にはもう、その先生の言葉は響かない。表面上は従っているように見えても、心はとっくに閉じています。

重要なことは、生徒がなぜ指導受けることになったのか、生徒自身が「納得感を得られる」ことではないでしょうか。

私が大切にしてきたのは、指導の後に生徒が「ありがとう」とつぶやく、あの小さな瞬間でした。勝ち負けではなく、その一瞬のために私は教壇に立っていました。せっかく指導するのなら、最後は感謝で終えられたほうがお互い気持ちの良いものです。

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