創作大賞2026に向けて、前回受賞者が考える一番大切なこと

 note創作大賞2026が間もなく開始、ということでnoteがざわつき出した今日このごろ。前回受賞者のひとりとして何かアドバイスめいたものを書いたほうが良いのかな、と思ったので下書き画面を開いたのですが。何よりもまずお伝えすべきことはやっぱりコレかなと。


 それは――

……


…………


………………



応募すること。

 以上!



 ……真面目な話、創作大賞2025にてミステリ部門・新潮文庫nex賞をいただいた拙作『薄雲花魁 謎解き座敷』は、当初は応募する予定ではありませんでした。最初に書いたのが2019年なので、6年前(当時)の作品でした。いくつかの公募に出して、それなりのところまで行った記録もあるのですが受賞には至らなかったので、何か足りないんだろうなあ、と投稿サイトの片隅に埋もれさせていました。

 創作大賞、それもミステリ部門に応募しようと思ったのは、確か「このミス」大賞の歴代受賞作を眺めていて「古代エジプトものや日常のささやかな謎もミステリの範疇に入るなら、時代劇もイケるイケる!」と思ったからだったような。それでも、もう一作のファンタジー中編のついでのつもりだったし、カクヨム版からほとんど手を加えずに転載しただけだったんですよね。

 それで授賞に至ったのだから何が起きるか分からないものです。

 というわけで、まずは応募しないと何も始まらない! ということで、眠っている作品や、他のコンテストではご縁に恵まれなかった作品もどんどん応募してみると良いのではないかと思います。
 落選や投稿サイトでのポイントは、単にタイミングが悪かっただけかもしれないですし……場所(サイトやコンテスト)、審査レーベルによって評価がいくらでも変わることは、拙作で証明済ですし!


 そのうえで、拙作の場合これが良かったかもなあ、というポイントをいくつか考えてみます。

・ネタの分かりやすさと新規性のバランス
 ミステリ・謎解き要素のある時代劇、は決して斬新なアイディアではないし、何なら遊郭舞台のものや花魁・遊女が探偵役の作品もあります。その点では「薄雲花魁~」の設定は「あるある」の範疇に入ると思います。

 一方で、「吉原から出ることができない花魁が、聞いた情報で謎を解く安楽椅子探偵もの」とするとちょっと目新しいのではないかと思います。加えて「ワトソン役は謹厳実直な新米同心で、花魁の推理を受けて市中を駆け回る」まで行くと、凸凹バディものとしての「分かりやすさ」「安心感」も出たのではないかと思います。

 というわけで、審査側・読者側にあるていど馴染みのあるジャンルや枠の中で「おっ」と思ってもらえるような「捻り」があると良いのかもしれません。

・十万字で完結済
 創作大賞の文字数規定はほかのコンテストに比べると緩くて、少なめの文字数でも参加できる――のですが、出版社・レーベル側としてはやはり「商業化できるかどうか」は重要な項目になっているのではないかと思います。そして、その商業化可能性には、アイディアや文章力もさることながら、大前提として「一冊にできるボリュームがあるかどうか」も含まれるのではないでしょうか。

 「受賞したら加筆する準備、あります!」と思ってる方はいると思うし、私もそう思って出した中編もありますが、あちこちでの発信を見るに、編集者・編集部は作者の自主性をとても尊重してくださっているようなので、大幅な加筆改稿は積極的に提案しづらそう……と思っています(個人の推測です)。

 また、「そのまま本にできそうな作品」と「大幅な加筆が必要な作品」が最終候補に残ったとしたら、前者のほうが有利になりそうな気もします。なので、できる限り「書籍一冊分」を意識して構想すると良いのではないでしょうか。(逆に言うと、「上限いっぱいの文字数を使った上で物語としてはまだまだ序盤」な作品も厳しさがあるかもしれません)
※なので、公式の告知の「一部の部門では、文字数規定などの応募要項が昨年から変更となります」とは、「書籍一冊分」に近づけるための下限切り上げなのかなーと思っているのですが、違ったら笑ってください。

 応募数がえらいことになる創作大賞ですが、小説の各部門に関していえば、現実的に商業化・書籍化可能なボリュームがある作品に限れば他サイトのコンテストや一般的な公募とさほど変わらない競争率になるのではないかと思っています。


・ただし拡張性がある

 上記で「書籍一冊分で完結」が大事と書きましたが、「薄雲花魁」について言えば、あくまでも「第1巻」として・ひとつの事件の決着はついているという形であって、新たな事件や謎を発生させる余地は大いに残しております。あわよくばシリーズ化できる……という点は、もしかしたら選考に当たって加点になっているのかもしれません(時代物でほど良い事件やトリックを考えるの、大変なのですけれどね)。


・キャラクターの癖

 花魁の安楽椅子探偵×堅物同心のワトソン、という組み合わせが(たぶん)面白いと思ってもらえそう……というのは上述の通り。さらに、「薄雲花魁」には、脇でも続編に使えそうな(これもたぶん)濃いめのキャラを配しました。キャラクター文芸を志向すべく頑張った、とも言えるでしょうか。

 具体的には、頼れる先輩同心、主人公と同年代の早とちりな岡っ引き、花魁の妹分の振袖新造など。個人的なお気に入りは、薄雲花魁の馴染みの大店の隠居ですね。金と暇を持て余しているので、続編があるなら色々な事件や面倒ごとを持ってくるポジションをやってくれそうで!

 「キャラクターを好きになってもらう」は面白いと思ってもらうための重要なポイントでしょうし、続編の展開の布石にもなるのでキャラ立ては頑張ると良いのではないかと思います。

・スキやフォロー数は気にしなくて良さそう
 「薄雲花魁 謎解き座敷」、受賞発表前はTalesでは完全に埋もれていたと思います。ランキングに関わる数値は、恐らくは審査に関係なさそうなので、自信作を出した後はどっしりと構えていて良いのではないかと……!

 受賞後に創作大賞の「中の人」や編集さんとお話したところだと、とても丁寧かつ熱心に読んで・探して・審査されているのが窺えました。ですので、「ポイントで足切りされる」「適当にちょっと読まれてジャッジされる」というようなことはないと思います。(運・相性・タイミングなど色々絡むはずですし、何より授賞枠は限られているので、不本意な結果になる方はどうしても出てしまうと思いますが……)

 Talesに限れば、現状の総合ランキング上位のPV等を見ても、小説家になろう・カクヨム等の他サイトとは桁がいくつか違うので……Talesでの数値が商業化に向けての絶対的な指標とはならないことは、審査する側も承知しているであろうと思います。(念のために。現在ランキング上位作品がどうこうということではなく、サイト丸ごと「未発掘の鉱山」状態なのではないかなーと思っています。切っ掛け次第・出会い次第でどの作品も輝く宝石になり得るのではないかと!)


 ちなみに今年の私ですが、前回の結果を踏まえて「旧作でも・他所で落ちた作品でもチャンスがあるのでは!?」と希望を託して、お気に入りの旧作を引っ張り出そうと思っています。
 具体的には、「薄雲花魁」の少し前の時代の、大名家の離婚劇を恋愛部門に。現代舞台のサスペンスホラーをホラー部門に出してみようかと。今度こそしっかり磨いてからお出しするので、去年よりも真面目に・前向きな姿勢で臨むつもりです。
 エッセイ部門にも挑戦してみたいし、余裕があれば新作も――と、思いが先走っている感もあるかもしれないのですが。


 だって、去年の授賞式に出席できなかったのがじわじわ悔しくて残念なので……どうやらOB・OG受賞者も呼んでいただけるようではあるのですが、どうせならチケットは自力で取りたいものですから。

 応募作品の紹介・宣伝等は追々noteの記事としても上げていく予定です。その際はよろしくお願いいたします。

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