【データ解説】2026年の旅行市場:インバウンドの「質分化」とアウトバウンドの「深化」
こんにちは、ベルトラIR担当です。
2025年、日本の観光市場は歴史的な転換点を迎えました。訪日外客数はついに年間4,000万人規模の大台に乗り、一方で海外旅行では「旅のあり方」の変化が鮮明になっています。最新の各種データから、2026年の旅行市場の展望を読み解きます。
1. インバウンド:過去最高を更新し、訪日旅行は「量」から「質・分散」の時代へ
JNTOの統計によると、2025年11月までの累計訪日外客数は3,906万人に達し、2024年通年の実績を早くも更新。2026年の訪日外客数は4,140万人と史上最多を塗り替えると予測されています(JTB推計)。しかし、ここで注目すべきは「数」以上に「消費の質」の変化です。
データが示す変化:訪日客数以上に伸びる「旅行消費額」

※各社資料をもとに弊社作成
客数以上に伸びる「消費額」:2025年の旅行消費額は推計8.6兆円(2019年比で約80%増)に達し、さらに増加する見込みです。旅行者は単なる観光に留まらず、「その場所でしかできない特別な体験」に投資している証です。
リピーターの「地方分散」:ゴールデンルート(東京~富士山~京都~大阪)を卒業したリピーター層が地方へ分散する動きも加速しています。地方での体験商品のDX(デジタル化)の進行は、更なる市場成長を促すと考えられます。
ベルトラの視点: 弊社B2Bプラットフォーム「LINKTIVITY(リンクティビティ)」の取扱高は、市場の成長を上回るペース(前年比+42%)で拡大しています。特に地方の交通パスや体験商品のデジタル化は、この「地方分散」を支える重要なインフラとして大きく貢献しています。
2. アウトバウンド:円安を乗り越え「深化」する海外旅行
日本人海外旅行も、2025年11月の出国者数は133万人(前年比13.2%増)と、2019年比で約8割まで回復しました。JTBの予測によると、2026年には1,550万人(前年比102.6%)と、緩やかな増加が見込まれています。
2026年の海外旅行市場は、出国者数こそ2019年比で約77%に留まるものの、総消費額はコロナ前を上回る4.9兆円に達し、過去最高となる見通しです。1人あたりの単価上昇が、市場全体の規模を押し上げています。
データが示す変化:旅行消費額は過去最大規模へ

※各社資料をもとに弊社作成
2026年の海外旅行は、人数の完全回復を待たずして「質的復活」を遂げようとしています。昨今の円安や物価高が、海外旅行のスタイルを「安く何度も」から「一回一回の質を極める」ものへ変化させていると考えられます。
「安さ」より「価値」: 若年層によるアジア圏など近距離で「SNS映え」を狙うコスパ・タイパ旅行と、富裕層による欧州・ハワイといった「一生モノ」の高単価旅行の二極化が鮮明になっています。
高単価ツアーの伸長: ベルトラのデータでも、専用車チャーターや専用ガイドツアーの需要が高まり、1予約あたりの単価は2019年比で約40%程度上昇しました。
ベルトラの視点:世界的な「所有から体験へ」のシフトは、以下の独自資産を持つ当社の収益性に直結する強力な追い風です。
1.世界150カ国の直契約ネットワーク:長年の信頼関係に基づき、他社が真似できない「希少性の高い体験」を安定的に提供しています。
2.60万件超の「信頼のデータベース」:膨大なクチコミは旅の意思決定における最大の武器となり、次世代のAIレコメンドエンジンにおける競争力となります。
3. テクノロジー:AIエージェントの台頭と「人間らしさ」の共存
最新のグローバルトレンドによれば、2026年の旅行業界はテクノロジーの「自動化」と体験の「人間味」という、相反する二つの要素が融合するフェーズに入ります。
AIエージェントの普及:AIは単なる情報検索のツールから、旅行者に代わってAI(ChatGPTのOperatorやGoogleのProject Mariner等)が希望に沿った旅程を組む「自律型エージェント」へと進化しています。
ハイテクとハイタッチの融合:予約やチェックインなどテクノロジーによる自動化が進む一方で、反動として現地ツアーガイドが語るストーリーや、地元の人との交流といった「人間らしい触れ合い」が再評価されています。
ベルトラの視点:AIエージェントに自社商品を選ばせるためには、商品データがAIに最適化されている必要があります。ベルトラでは、AIと外部データを繋ぐオープン標準であるMCP(Model Context Protocol)への対応を進めています。
編集後記:投資家の皆様へ
世界の旅行市場は既に「コロナ前への回復」というフェーズを終え、「テクノロジーによる体験の再定義」へと移行しています。
渡航人数の回復に先んじて消費総額が過去最高を更新するであろう現在の市場は、業界の収益構造そのものが変質している証です。しかし、この「単価上昇」を確実に「利益」へと転換するためには、商品力に加えてテクノロジーへの投資と実装が重要なカギとなります。
インバウンドの「質的転換」とアウトバウンドの「深化」が交差する2026年。ベルトラは世界中の「心ゆさぶる体験」をデジタルと人の力で繋ぎ、観光産業のプラットフォーマーとして新たなステージへ挑戦し続けます。

