「単なる旅行OTAではない」——外部アナリストが立てた問いと、私たちの答え
2026年6月、独立系調査会社のノーチラス・キャピタル株式会社が、ベルトラ(東証グロース:7048)を対象とした企業調査レポートを公開しました。
👉 ノーチラス・キャピタル|ベルトラ企業調査レポート(2026年6月)
公開情報をもとに、第三者がベルトラを分析した全46ページの資料です。レポートの冒頭に、こんな定義があります。
ベルトラは、単なる日本人向け体験旅行OTAではない。
アウトバウンド向けOTA事業で利益体質を確立しつつ、LINKTIVITYを通じて訪日観光のB2Bチケット流通インフラを構築する、需要側と供給側の双方に基盤を持つ複合型旅行企業である。
私たちが「デュアルエンジン」と呼んでいるものを、外部の目線でこう言語化してもらいました。この定義は、ベルトラが今後も成長できる根拠——競合には真似できない固有の強みを指しています。
オンライン旅行ビジネスで難しいのは、「旅行者(需要側)」と「体験を提供する事業者(供給側)」の双方との関係性です。どちらか一方に強いプレイヤーは多く、例えばKlook、GetYourGuideといったグローバル大手は「需要側」の集客力を持ちますが、日本の鉄道・観光施設と深く接続するサプライヤー基盤は持ちません。逆に、個々の観光施設や交通事業者は「供給側」にいますが、世界中の旅行者に届ける流通網を自前で持つことは難しい。
ベルトラはOTA事業(VELTRA)で「需要側」に、LINKTIVITYで「供給側」に、それぞれ深い接点を持ちます。双方を押さえているからこそ、競合他社が入り込めない取引が生まれ、ネットワークが広がるほど参入障壁が高くなる構造です。
ただし、定義は宣言ではなく実績で証明するものです。この競合優位性は本物か。そして2026年、私たちはそれをどう示すのか。レポートが立てた問いを軸に解説していきます。
1.OTA事業の利益率改善は本物か
レポートが「最も注目すべき変化」と表現したのが、OTA事業の営業利益率です。2024年12月期の11.2%から2025年12月期には23.2%へ、1年で12ポイント改善しました。
ただしレポートは同時にこう問いかけています。「この改善は一過性の費用削減か、それとも構造的な収益力の確立か」。
2025年の改善は、費用管理の側面が大きかった。これは事実です。テレビCMなどの大型広告投資を抑制し、人員と外注費を見直しました。
では2026年はどうか。広告コストを絞り続けるだけでは、予約件数は伸びません。今年取り組んでいるのは、「売上成長以上に利益を伸ばす仕組み」への転換です。具体的には2つの軸で動いています。
ひとつは営業レバレッジの最大化です。これまでは多くの旅行先・商品ジャンルに広く経営資源を分散していました。2026年はその方針を変え、「勝てる市場・商品・UX(顧客体験)」への集中投下に切り替えています。たとえば高付加価値な体験商品へのシフトにより、同じ予約件数でも手数料単価が上がれば利益率は改善します。
もうひとつはB2B連携による予約の拡大で、ベルトラクルーズにおける読売旅行・ジェイエスティとの連携がその代表例です。自社広告で集客するのではなく、すでに大きな顧客基盤を持つパートナーの販売網に乗ることで、集客コストを抑えながら予約件数を積み上げられます。
利益率の維持と予約件数の積み上げを両立できるか——ピークシーズンの夏休みを含む、2026年の3Q(7~9月)が最初の答え合わせになります。
2. LINKTIVITYの赤字はいつ終わるのか
レポートは、LINKTIVITYの2025年12月期を「営業収益は前年比+34%で成長しているが、営業損失2.62億円が継続」と整理しています。
「成長しているのになぜ赤字なのか」—シンプルに言うと、インフラを先に作っているからです。
LINKTIVITYは現在、サプライヤー(鉄道・観光施設)側に接続するためのシステム開発と、販売チャネル(海外OTA・旅行会社)側を拡大するための営業投資を同時進行しています。ネットワークが広がるほど、追加コストをかけずに取扱高が増える構造になる。その臨界点に向けた先行投資が、今の赤字の主因です。
レポートの試算によれば、取扱高が約350億円水準に達した時点で黒字化が視野に入るとされています(2025年12月期の取扱高は推計約260億円)。現在の年率成長が続けば、2026〜2028年の射程に入ります。私たちも同様の見通しを持っています。
今年の焦点は、赤字幅をどこまで縮小できるか。今後の開示で確認いただける数字です。
3. 「複合型旅行企業」はAI時代に通用するか
レポートが長期リスクとして指摘するのが、AIエージェントや生成AI検索の普及による「集客構造の変化」です。従来のSEO・自社サイト流入に依存したOTAモデルが揺らぐ可能性がある、という指摘です。
この問いには、危機感と手応えの両方を感じています。
AIが旅行を提案する時代に求められるのは、「構造化された独自在庫」です。ローカルな体験商品や顧客データを持つ事業者は、必然的に強くなります。ベルトラが20年かけて積み上げてきた体験商品データと、LINKTIVITYを通じたサプライヤーとの直接接続は、まさにその条件に当てはまります。
もちろん、その優位性をAPI連携や商品データの整備として具体的に実装できるかが問われます。この領域への投資は2026年の重要テーマの一つであり、進捗はIR noteでもお伝えしていきます。
2026年、「定義」を証明する年
レポートは、結局一つの問いに収束しています。
「5期ぶりの黒字転換は出発点に過ぎない。利益成長の再現性を、四半期ごとの実績で示せるか」
これは私たちも同じ認識です。「需要側と供給側の双方に基盤を持つ複合型旅行企業」という定義は、宣言ではなく実績で証明するものです。
次の答え合わせとなる8月の2Q決算後には、このIR noteで解説記事を公開いたします。
レポートの全文はこちらからご覧いただけます。財務三表サマリー、競合比較、バリュエーション分析など、IR noteでは触れていない詳細な分析が含まれています。
👉 ノーチラス・キャピタル|ベルトラ企業調査レポート(2026年6月)
本レポートはスポンサードリサーチであり、ノーチラス・キャピタル株式会社がベルトラ株式会社から対価を受領して作成したものです。内容はノーチラス・キャピタル社の独立した判断によるものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。

