M1グランプリ2025 〜テレビ的に最高の漫才とは〜2

前回は3組目のカナメストーンまで書いたので、今回は4組目のエバースから書こうと思う。

昨年、惜しくも1ポイント差で4位になったが見事すぎる構成で展開するエバースの漫才を存分に見せつける事はできた、そしてハードルが上がる中で優勝候補とも言われた今年、エバースの1本目はその期待に応えるどころか、その高い期待さえも超える漫才を見せつけた。

序盤で今回のテーマである、ツッコミの町田に車になって欲しいという入りは、ちょっと飛びすぎかなぁとは思ったが、この前提があるからこその展開ではあるし、結果的に町田が車になる事によって全てが展開していくので、飛びすぎなのは仕方ないと思う。

そこからの展開はあまりに見事。佐々木のズレを町田が修正し、修正したと思ったら言いすぎた町田のズレを更に展開させていく、ここまでの構成力をもった漫才はなかなか無いのだが、あえて上げるなら2021年のオズワルドの友達のネタに近いのかもしれない。

町田という強いキャラを持ってるエバースだが、町田はツッコミでしかも、キャラ漫才では無い。
何かに属するキャラでは無くあくまで町田は町田。
バカとか天然とか、あえて名前を出すならオードリー春日のような強いキャラ設定では無く、あえて等身大の町田という存在がエバースの象徴である。

だがしかし、そのエバースの象徴である町田はあくまで会話劇の中での個性であり、スパイスであって、エバースの最大の長所は精密な会話の構成力だ。
その構成力に町田というスパイスが加わるのが、エバースの唯一無二のオリジナリティなのだが、2本目をやった、最終決戦ではご存知の通り勝てなかった、それは後に最終決戦でのネタを論じながらまた話したいと思う。

そして、5組目に登場したのが真空ジェシカ。
昨年は3位に終わったが、ピアノが大きくなるアンジェラアキのネタはもしかしたら、1番話題を集めたネタだったかもしれない。

毎年確実に決勝にあがり、奇想天外なボケと唯一無二の存在感をしっかり出してきている、そんな真空ジェシカだが、今年は出順が少しだけ悪かった気がする。

あまりに4組目のエバースが完璧すぎた為、エバースの作った空気がまだ残っていたと思う。
いつも通りボケの川北は、5組目に選ばれるやいなやすぐに違う方向に向かうボケをしたり、せり上がりでも上の階かと思ったとボケたが、エバースの余韻が少し残ってるこのタイミングでの出番は、少しずつ真空ジェシカの空気にしていくべきだったかもしれない。
でも、そこを計算してやる事は真空ジェシカらしく、川北らしくはないので、これは出順の妙と言わざるをえない。

そして、ネタが始まってからツッコミのガクが車椅子テニスの選手が2回連続で車のネタを引いたというツカミは、ガク本人も終了後後悔していたが、確かに分かりにくかった。真空ジェシカのネタ終了後なら、ネタの審査と関係無いし、たしかに2本連続で車のネタをやっていたなあと見てる側も共感できたが、まだネタフリの段階でペーパードライバーの話を川北が言ってすぐは、見てる側はこれからやるネタを分かっていないのでさすがに早かったと思う。
後の反省会でガクはしきりに、このツカミを反省していたが、ボケの川北は珍しく真面目に他のも合わせてツカミが長すぎたとフォローしていたので、そういうのも含めて、真空ジェシカなのだと思う。

真空ジェシカの川北は、よく自分達の事を偽漫才師と言うが、真空ジェシカはどこまでもアーティストだと思う。番組やお客さんに迎合するのではなく、やりたい時やりたいボケをしていく、そして、真空ジェシカという個性そのものが、もはやネタになっていく。

ガクは間違いなく優勝を目指しているが、川北は優勝にこだわってる素振りは見せない。もしかすると、このM-1という若手芸人の誰もが素になって喜んでしまう舞台だからこそ、あえて自分達を貫きとおす事が誰もできない、唯一無二の真空ジェシカの存在感たる所以であり、誰も勝てない部分なのかも知れない。



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