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300円の麺を啜りながら「本当の豊かさ」に震えた日。|ベトナム駐在生活のリアル(生活編)

「駐在員」と聞けば、多くの方は専属運転手付きの車でオフィスへ乗り付け、夜は毎晩のように会食に明け暮れるエリートを想像されるかもしれません。
正直に申し上げます。 そのイメージは半分は正解ですが、もう半分は、日本では考えられないほどの「天国」と「地獄」が交互にやってくるジェットコースターのような日常です。(ことベトナムにおいてはw)


1. そもそも、お前は何者なんだ?

本題に入る前に、「この文章を書いているのは誰なのか」というお話を少しだけ。
私は、日系企業に勤務するサラリーマン野郎です。2023年から縁あって、ベトナムのホーチミンに駐在。
……卒業年度を書くと一瞬で年齢がバレてしまうので、そこは割愛(笑)

ベトナムとの最初の出会いは、大学2年生のバックパッカー時代。 当時はスマホの地図もなく、ただ熱気と排気ガスに圧倒されて「二度と来るか!」と思った記憶しかありません。ところが人生は分からないもので、気づけば私は「駐在員」としてこの地に戻ってきました。

久しぶりのベトナムは、「怪物」のような成長を遂げてました

2. 「ベトナムのイケメン」という全能感

さて、ここで一つ、友人には口が裂けても言えない話をしましょう。実は、ベトナムに来てからというもの、私の人生に「モテ期の確変」が起きています。
日本での私の市場価値は中の下。しかし、この国では、カフェに入れば店員さんから「ハンサムですね」と微笑まれる。日本ではあり得なかった「天国」のような全能感がここにあります。
「日本国内で書類選考落ちレベルだった私が、ターゲットを変えて海外に進出したところ、クライアント (現地女子) の要件定義にガチハマりして、即内定が出続けている状態」です。

(重要) やはり恋愛においても、自社の強みを磨く3C分析以前に、どの市場で戦うかというPEST・5F分析がいかに重要かを痛感しました。
日本国内という競合の多いレッドオーシャンではなく、『日本人駐在員』という属性がプレミアム扱いされるベトナムへ市場をピボットした瞬間に、私の価値は爆上がり。

つまり、私がイケメンになったのではなく、単にマクロ環境が私を勝たせてくれただけ。恋愛も、最後は環境要因 (PEST) ですね(笑)。
この自己肯定感の爆上がりこそ、ベトナム駐在がもたらす最大の (そして非公認の) 福利厚生かもしれません。

「※なお、ベトナムでのモテ期確変については、あくまで私個人のPEST分析の結果であり、すべての日本人に内定(マッチング)を保証するものではありません。あしからず。」

出典:私の経験

3. 進まないタクシーと、自由すぎる運転手

しかし、そんな「全能感」を一瞬で粉砕してくれるのが、ベトナムの圧倒的なカオスです。
先日も、大事な商談のためにタクシーに乗り込みましたが、車は一向に前へ進みません。窓の外を見れば、日本では考えられないほど大量のバイクが、歩道をも埋め尽くして波のように押し寄せてきます。

効率化の概念が「強制終了」される瞬間

極め付けは、渋滞の真っ只中でタクシーの運転手が「お腹が空いたから」と突然路肩に車を止め、パンを買いに行ってしまったことです。
「いや、これから商談なんだが……」と絶句する私を余所に、運転手は満足げにパンを頬張りながら戻ってきました。

オフィスではベトナムにおける経営戦略を熱弁している私が、ここでは「パン待ちの渋滞」に翻弄される。この理不尽なまでのカルチャーショックが、たまらなく愛おしくなってくるのです。

4. 30階のレジデンスと、300円の魂の味

現在の私の生活は、常にこの極端なコントラストの中にあります。
住まいについては、30階の豪華なレジデンス。 しかし、私が一番「生きている」と実感するのは、夜景を眺めるベランダではありません。

排気ガスにまみれた歩道で、今にも壊れそうなプラスチックの椅子に座り、300円のフォーを啜っている瞬間です。

排気ガスを浴びたこの麺とスープは薬物

1,000万の年収や、日本より数段上の「イケメン扱い」という特権があろうとなかろうと、ベトナムの熱気の中では、この一杯のスープが何よりも魂を救ってくれます。

5. 最後に

日本で「安定したキャリア」という名の、整備された高速道路を走っていた私が、今ではベトナムの路地裏で、言葉も通じないおばちゃんと300円の麺のトッピングを巡って交渉し、いつバックレるか分からないタクシー運転手の挙動に一喜一憂しています。

もし、この記事を読んでいる方の中に、「最近、自分の市場価値に限界を感じている」とか「日々のKPIに魂を削られている」という人がいたら、一度ベトナムへ遊びに来てください。

3C分析を捨てて、PEST分析 (マクロ環境の暴力) に身を委ねる快感。 これを味わえば、日本での悩みなんて「誤差」レベルに思えてくるはずです。

私は明日も、「高度外国人材の活用」を役員に提言し、その足で300円のフォー屋さんのおばちゃんと「トッピングを巡った交渉」をカタコトのベトナム語でしてきます。

それでは皆様、また路地裏のプラスチック椅子の上でお会いしましょう。



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