思い出のプレイリスト #7
ラン ラララララランランラン そんなメロディーを
涙声のまま 歌う君は
ああ 聞こえているのに 聞こえないように
消そうとしてるの「さよなら」
「東京」へ向かう ぼくを見送る 君の言葉はない
So 時として 恋人の 二人には 愛の深さ計る事件があり
So 別れるの 別れない 二人には 愛の答え出せず離れてゆく
悲しいね
ラン ラララが涙で 歌えなくなって
「ずっと待ってる」と つぶやく君
ああ 本当は抱き締め 慰めたいけど
素直になれない 僕は
どこまでもついて来て欲しかった その言葉言えずに
So 時として 恋人の 二人には 愛のせつなさにすれ違ったまま
So 別れるの 別れない 二人には 愛の行方知れず離れてゆく
悲しいね
So いつの日か「東京」で 夢かなえ ぼくは君のことを迎えにゆく
So 離れない 離さない 今度こそ どこまでもついて来いと言えるだろう
心から
作曲:はたけ
編曲:シャ乱Q・鳥山雄司
偽造テレカと、深津絵里似の彼女。新浦安から始まった「上京物語」
初めての就職先は、テレビ局の美術スタッフだった。
先代が街の電気屋から一代で築き上げたその会社は、急成長の真っ只中にあった。
現場には学歴なんて関係ない。
気合と体力、そして少しの「ヤンチャさ」を持ち合わせた連中がひしめき合っていた。
そんな社風を改革しようとした二代目社長の肝煎りで、若手社員に向けた社会人研修が行われることになった。
十代の社員10名が送り込まれたのは、ディズニーリゾートの隣駅、新浦安にある研修センター。
一泊二日のマナー研修だ。
だが、教わったマナーよりも記憶に深く刻まれているのは、研修初日の夜のこと。
同い年でノリの合う仲間と、消灯後の研修センターを密かに抜け出した。
駅前には、ディズニー帰りの観光客向けのホテルが立ち並んでいる。
そこで声をかけたのが、大阪からツアーで来ていた二人組の女の子だった。
居酒屋なんて開いていない時間。
僕らはコンビニでビールを買い込み、駅前のベンチで夜風に吹かれながら語り合った。
関西人らしいテンポの良い会話に、一瞬で引き込まれた。
その中の一人は、ショートカットで深津絵里によく似ていた。
一目で、恋に落ちた。
ポケベルと公衆電話の遠距離恋愛
研修センターの門限は24時。
連絡先を交換して、名残惜しさを抱えながら別れた。
当時はまだスマホなんて影も形もなく、携帯電話は一握りの金持ちだけの持ち物。
僕の腰にあるのは、黒いポケベルだった。
そこから、東京と大阪の遠距離恋愛が始まった。
実家の黒電話で長電話をするわけにもいかず、二日に一度は近所のボックス式公衆電話へ走った。
重なる十円玉の音。
バカにならない電話代を少しでも浮かせようと、渋谷にいる外国人から偽造テレカを買って凌いだこともあった。
若くて、青くて、必死だった。
思いが募り、三ヶ月後。
ようやく取れた連休に、僕は大阪へ向かった。
再会した僕たちは結ばれた。
「上京物語」が響く夜
けれど、十代の僕にとって、東京と大阪の距離はあまりに遠すぎた。
「いつか必死に働いて、彼女を東京に呼んで一緒に暮らそう」
そんな淡い夢を抱いていたけれど、会えない時間は少しずつ、二人の気持ちを削っていった。
結局、その夢が叶うことはなかった。
静かに終わりを迎えた恋。
別れた後、僕は独り、シャ乱Qの『上京物語』を口ずさんでいた。
「東京へ向かう ぼくを見送る 君の言葉はない」
大阪出身の彼らが歌うそのメロディは、大阪にいた彼女と、東京で泥臭く働く僕の空っぽな心を、優しく、そして痛いほどに埋めてくれた。
あの新浦安の潮風と、公衆電話から聞いた彼女の声。
今でも『上京物語』を聴くと、あの頃の青い熱量が昨日のことのように蘇ってくる。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
また次回作でお会いしましょう。
【編集後記】
当時の青い思い出を書き終えて、今はホーチミンの風に吹かれています。
同じ時代を駆け抜けてきた皆さんと、この場所で思い出を共有できることが今の僕の楽しみです。
「続きが読みたい」と思ってくださった方は、ぜひ**「スキ」や「フォロー」**を。その一つひとつが、僕の第二の人生のガソリンになります。
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